個人でできること
アンバサダー
の声

Vol.76 前原 本光 さん

2026年5月31日


私たちの活動を継続的に支えていただいているアクセプト・アンバサダーの声を紹介する本コーナー。

「アンバサダーの声」第76弾は、世界各地でアーティストとして活動をされている前原 本光(まえはら もとみつ)さんです。

前原さん、この度はインタビューへのご協力ありがとうございます!まず、ご出身や現在のお仕事について教えてください。

絵本作家・音楽家として活動しているMotomitsu Maehara(前原本光)です。2011年から約10年間、フランス・パリを拠点にアーティスト活動を行い、現在は静岡県浜松市から世界に向けて作品を発信しています。フランスやアメリカを中心に絵本を出版し、音楽作品もリリースしています。

私自身、パリに移住した当初はフランス語が全く話せませんでした。しかし、楽器を持ってカフェやバーに行き、その場のミュージシャンと演奏したり、自分の絵を見せたりする中で、言葉を超えて人とつながることができました。音楽やアートが、人との縁を生み、人生を豊かにしてくれました。

そんな中、2015年11月13日にパリ同時多発テロが起き、私が活動していた地域のライブハウスも襲撃されました。この出来事をきっかけに、暴力や憎しみの背景にあるものを深く考えるようになりました。排除だけでは問題は解決せず、むしろ新たな憎しみを生む。そう感じた私は、微力でも音楽や絵本を通して人の心をつなぐ活動を続けてきました。

2025年にフランスで出版された絵本『LES OISEAUX MUSICIENS』(鳥の音楽家)は、言葉遊び、アート、音楽を結びつけた作品です。子どもたちにユーモアや希望を感じ取ってもらいたいという思いから制作しました。

この絵本は、フランスで「困難地域」とされる地域に暮らす子どもたちへの推薦図書として選出され、幼稚園や小学校で課題図書として使用されています。

▲フランスの「困難地域」の推薦図書に選ばれた絵本
『LES OISEAUX MUSICIENS』(鳥の音楽家)

アーティストとして言葉を超えて人とつながってきた歩みと、その後も「つなぐ」ことに尽力されているのが伝わってきました。

アンバサダーになっていただいたのは、どんなきっかけでしたか?

アクセプトインターナショナルを知ったきっかけは、Instagramで目にした「憎しみの連鎖をほどく」という言葉でした。

私自身、戦争や争いを止めるためには、単に対立する相手を排除するのではなく、憎しみの連鎖そのものを断ち切る必要があると以前から感じていました。そのため、その言葉に強く惹かれ、団体について調べるようになりました。

ホームページや動画を拝見し、アクセプトインターナショナルが、争いをなくすための根本的な課題に向き合っている非常に稀有な存在だと感じました。一般的には「悪」と見なされる人々に対しても、一人の人間として向き合い、心の奥にある苦しみや憎しみに働きかけていく。その姿勢と実践に深く心を打たれました。

アンバサダーを続けている理由も同じです。簡単には解決しない問題だからこそ、この活動の価値をより多くの人に伝えていきたいと思っています。

「憎しみの連鎖をほどく」こと、そのために私たちが大切にしていることに共感いただいて嬉しい限りです。

そんな前原さんがテロや紛争の解決に向けて必要なのはどんなことだと思いますか。

「争い」の奥に潜んでいるものは、人の心の状態だと思います。憎しみ、悲しみ、苦しみ、無力感、孤独、そして「自分は誰からも必要とされていない」という絶望。そうした感情が積み重なったとき、人は他人を傷つけたり、極端な思想に引き寄せられてしまうことがあります。

もちろん、政治や経済、歴史的背景など複雑な要因もあります。しかし、その根底には一人ひとりの心の痛みがあるのではないでしょうか。

だからこそ、テロや紛争の解決には、武力や排除だけでなく、人の尊厳を取り戻し、対話し、希望を育てることが必要だと考えています。時間はかかるかもしれませんが、人の心に向き合うことなしに、本当の平和は生まれないと感じています。

▲フランスの幼稚園や小学校にて
絵本の読み聞かせやワークショップを通して
人種や言葉を超え、一人ひとりの心と向き合っています。

まさに、平和な世界の実現には1人1人の心と向き合うことが欠かせないと思います。

今後、アンバサダーとして挑戦してみたいことはありますか。

「憎しみの連鎖をほどく」ために大切なのは、一人ひとりが自分の持ち味を活かすことだと思います。

私自身、紛争の解決に直接関わることはできないかもしれません。しかし、誰かを笑顔にしたり、心を少し軽くしたりすることはできるかもしれません。そうした小さな前向きな連鎖が、巡り巡って平和への道につながると信じています。

アーティストとしても、アンバサダーとしても、私にできる音楽や絵、アートを通して、人々の心を少しでも明るくできるような活動に挑戦していきたいです。

最後に読者に向けて何かメッセージをお願いします。

戦争や争いのニュースが絶えない時代です。そうした出来事に触れるたび、私たちの中にも、悲しみや無力感、ときには憎しみの感情が湧き上がることがあると思います。

しかし、そんな時こそ「憎しみの連鎖をほどく」というアクセプトインターナショナルの信念を思い出したいです。

遠い場所で起きている争いだけでなく、私たち自身の心の中に生まれる負の感情の連鎖にも巻き込まれないこと。それもまた、平和への一歩だと思います。

皆さんと手を取り合いながら、少しでも美しい日々を重ねていけたら嬉しいです。

▲出会った仲間たちとパリの路上で演奏。
すると、通りすがりの人々も手を取り合って踊り出し、
そこには自然と笑顔が生まれるそうです。


前原様、今回はお忙しいところインタビューにご協力いただきありがとうございました。

「『争い』の奥に潜んでいるものは、人の心の痛み」というお話が強く印象に残っております。そうした中で、前原様のアーティストとしての「つなぐ」ご活動は、人の笑顔を生み出していく大変意義深いものだと感じました。

「共に憎しみの連鎖をほどく」ため、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

インタビュー担当:南部壮太郎


【読者の皆様へ】
政府の意向に左右されない私たち独自の活動は、毎月1,500円から活動にご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様からのご支援があってこそ成り立っています。

皆様とともに、この日本から挑戦していくことができれば大変幸甚です。

アンバサダーの声