コロンビアにおける取り組み
私たちは、多くのFARCの元戦闘員が居住し、経済状況や格差などが深刻であるために特に脆弱な状況に置かれるコロンビア南部カケタ県の社会復帰キャンプやその周辺地域社会を拠点に、FARCの元戦闘員の社会復帰・社会統合支援の強化を目指し活動しています。具体的には、社会復帰キャンプにて多目的職業訓練センターを建設・運営し、ケアカウンセリング・職業訓練・ビジネスマネジメント研修・ライフスキルトレーニング・市民教育研修などのリハビリテーション支援、地域コミュニティとの和解に向けた対話セッションなどを実施しています。センターには、周辺地域コミュニティの人々もアクセスし様々な支援を共に受けることができる環境を創り、FARCの元戦闘員と地域社会の人々の交流や相互的な理解を促しています。
元戦闘員に対するケアカウンセリングでは、紛争中のトラウマ的な経験、社会復帰への過程で地域社会の人々から深刻な差別を受けた経験、和平合意後の元戦闘員の暗殺事件による自身や家族の身の安全への不安、といったメンタルヘルスに係る問題に対し、適切なケアを提供しています。また、彼らの過去の経緯や現在・未来など地域社会の中で生活していくことへの想いを受け止めながら、社会復帰に向けた前向きな意識づけを行っています。
また、多くの元戦闘員が政府による月々の手当により生計を賄っている状況や、国際機関などによる支援を受けて習得した職業・ライフスキルや知識などを適切に活用できず就業・起業や進学に至らないといった状況を踏まえ、長期的な経済・社会的な自立に向けた職業訓練・ビジネスマネジメント研修を提供しています。併せて、今後の生活目標、地域社会の人々との人間関係構築、異なる立場や政治的思想を持つ人々を含む多様性の容認、ジェンダーに基づく暴力の防止、コロンビアの平和の実現に向けた元戦闘員の重要性や可能性、などを扱うライフスキルトレーニング・市民教育研修なども行っています。こうしたプログラムの実施には、元戦闘員のメンターとなり彼らの社会復帰プロセスに伴走する政府機関職員を巻き込み、彼らが主体的にプログラムを進めていくための能力強化研修も実施しています。
さらには、元戦闘員と地域社会の人々との相互理解や信頼関係構築を進めていくために、FARCの戦闘員、国内避難民(IDPs)を含む地域コミュニティの人々、政府機関、民間企業などを繋ぎ対話プログラムを実施し、長期的な和解に向けた土壌を創っています。