活動内容
活動
アプローチ

武力ではなく平和的なアプローチでテロや紛争の解決に挑む。

私たちは、過激化リスクの高い人々や地域を対象とした過激化防止と、一度テロ組織に加入してしまった人への脱過激化・社会復帰支援などを行なっています。現場レベルでテロ組織に関わる人を減らすことを軸に、テロや紛争の解決を目指します。

従来、紛争解決は和平合意の締結によって行われてきました。これは、紛争当事者と対話することにより、解決を導く方法です。しかし、近年増加しており現在発生している紛争の約44%を占める「テロ組織が当事者として関与する紛争」においては、彼らと対話することが非常に難しく、国際社会は解決のための新しい方法を模索しています。

私たちは、テロリストやギャングなどの紛争当事者が脱過激化・社会復帰を果たせる道を築くとともに、自主的な投降(脱退)を増やすこと、そして、新たな加入者を生み出さないことで、紛争地域においてテロ組織の勢力を削ぐ取り組みを基幹事業としています。

誰もテロリストとして生まれた人はいません。そして、武力だけでは解決に向かわないことを私たちは歴史的に知っています。だからこそ、ワークショップやスキルトレーニング、カウンセリングなどの平和的な手法を用いて取り組んでいます。

活動地域

私たちは、テロや紛争の問題が深刻なものの、取り組みが少ない場所で活動をしています。

現在は、ソマリア、ケニア、インドネシア、イエメン、日本の5カ国でプロジェクトを実施しています。これまで、ナイジェリアや中国(新疆ウイグル自治区)でも活動を行ってきました。

画一的なプログラムとして実施するのではなく、実施国や現場の状況に応じて内容をアレンジすることで確かな成果を生み出しています。また、一人一人の状況把握を丁寧に行い、個別のフォローも充実させています。

過激化リスクが高い地域・人々に対する「過激化防止」に加え、いわゆるテロリストやギャングなどの紛争当事者が武器を置き、社会の中でやり直すことを支援する「脱過激化・社会復帰+投降促進」に特に力を入れることで、テロや紛争の解決に取り組んでいます。

  • 過激化防止

    過激化リスクが高い地域において、いわゆるテロ組織のリクルート対象となりやすい若者をはじめとした対象者が、組織へ加入しない道を選べるように支援しています。過激化の理由はさまざまですが、その多くは経済的困窮や社会からの排斥、過激な思想への傾倒が背景にあります。そこで、取り残された地域で不満を抱える方々の声に寄り添い、ライフスキルトレーニングや収入創出支援、社会での居場所づくりなどを行なっています。

  • 脱過激化・社会復帰
    +投降促進

    過激思想や違法行為からの脱却に加え、社会に出てからのやり直しを支援しています。具体的には、対象者が過激な行為に至った背景に耳を傾けながら、新たに若者として生きていく準備をします。その後、彼らの経済・社会的自立に向けたさまざまなトレーニングに加え、いつでも頼れる存在として長期的なフォローアップも行います。また、ホットライン番号や投降方法を記したリーフレットの展開やコミュニティとの対話により、いわゆるテロ組織からの自発的な投降(脱退)を促進しています。

この脱過激化・社会復帰において、私たちはこれまでの取り組みを踏まえ、RPAモデルという独自のフレームを構築しました。Re-define(再定義する)、Prepare(準備する)、Action(行動する)で、私たちの姿勢が整理されています。一方的に矯正・強制するのではなく、同じ人間として彼ら一人一人と向き合い、対話を通じて彼らのマインドと行動を変えていくモデルです。

アクセプト・インターナショナルのRPAモデル

  • RPAモデルは、2020年のパリ平和フォーラムにて地球規模課題の解決策として選出されました。フランスのマクロン大統領が主導し、国連事務総長や各国首脳が集まる同フォーラムは、世界をよくする解決策を紹介し議論する大規模なイベントです。日本からの選出は史上初となります。
  • 脱過激化
    幻滅対策プログラム

    社会に戻ったものの、思うようにいかなかったときに再過激化のリスクは高まります。だからこそ、起こりうる障壁を事前に洗い出し皆で対応策を検討することで、再過激化のリスクを抑えます。

  • 脱過激化
    和解に向けた対話プログラム

    コミュニティの代表者を招いて対話セッションを実施することで、社会側の考え方に触れ、和解に必要な要素を理解します。また、コミュニティの方々はテロリストや投降兵、ギャングの実情に触れてもらうことで理解を深めます。

  • 社会復帰
    スキルトレーニング / ライフスキルトレーニングプログラム

    経済的・社会的自立を目指して現場のニーズに合わせたスキルトレーニングや就労支援を実施しています。また、情報へのアクセスや周囲との関係構築をはじめ、厳しい現実の中で生きていくためのライフスキルトレーニングにも力を入れています。

  • 社会復帰
    長期カウンセリング

    社会に飛び立った後も参加者と連絡が取れる体制と、いざという時に頼ってもらえる関係を構築します。そのうえで、定期的なモニタリングとカウンセリングを実施しています。また、適宜ビジネスプランの相談や現金給付なども行い、社会復帰を後押ししています。

君たちは僕に希望を与えてくれた。
僕を変えたのは紛れもなく君たちさ。

— 元ソマリア人ギャング / アブディファター

1991年、ソマリア南部キスマヨ生まれ。ソマリア内戦の激化に伴い、幼少期に隣国ケニアに避難。不法難民として難民キャンプ周辺からナイロビに逃れ、ソマリア人難民移民居住区イスリー地区に流れ着く。そこから自分が生き延びるために、仲間を守るために、ソマリア人ギャング組織に加入。2014年にプロジェクトに参加。これまでマリファナなどの売買などで生活を成り立たせていたが、現在は後輩ギャングたちのケアや新規受け入れに精力的に参画している。

  • 国連人間居住計画(UN-Habitat)

    ハッサン・アブディカディール

    アクセプト・インターナショナルの考え方は、ソマリアはもちろん世界におけるテロに対する答えだ。テロ組織は見捨てられた人々にすり寄っていく。だからこそ、そのような人々をケアしなくてはならない。政府からも世界からも見捨てられた場所、人にコミットメントすることが今求められている。その中で、アクセプト・インターナショナルと共に価値あることを生み出せたらと思っている。

  • タワカルメディカルクリニック 院長

    アブディカディール・モハメド

    私たちは2013年から協働を開始したが、今やアクセプト・インターナショナルはこのソマリアとケニアの問題を根本的に解決する大きな仕事をしている。過激化した若者たちを変える鍵はアイデンティティや自尊心にある。過激化した若者たちをユースリーダーに変えていくという発想は非常にユニークなうえに有意義だ。

  • 元ソマリア人ギャング

    ジャンジェス

    俺は2015年の夏にアクセプト・インターナショナルのプログラムに参加した。これまで社会に相手にされたことがなかったから、俺たちに対して偏見無くフラットに接してくれたことにみんなで驚いたことを今でも覚えているよ。大切な時間だった。スキルトレーニングで手に入れた修了書を持って精一杯頑張って、今では街で電化製品関連の仕事を朝から晩まで毎日しているんだ。

自分が社会でどう思われているかは簡単に想像できる。
それでもやり直したい。

— 暴力的過激主義組織アル・シャバーブ投降兵 / アブディ

1996年、ソマリア中部バイドア生まれ。バイドアで育つも身寄りの家族が殺され、そこから叔父とともに生きることになった。テロ組織アル・シャバーブのリクルーターにモスクで勧誘されるとともに、すでにアル・シャバーブに賛同している友人たちからの圧力もあり、同組織に加入。軍事キャンプでのトレーニングを受けて活動をするも、1年後に投降を決意し仲間数人とともに投降。現在リハビリテーションプログラムに参加している。

テロと紛争のない世界を実現するために、
今世界で、あなたが必要とされています。