活動内容

インドネシア

平和のあり方を
捉え直し
共に実現する

テロに関与し収監された受刑者が、暴力ではなく平和的に生きていくことを目指し、彼らへのリハビリテーション・社会復帰支援に加え、地域社会との和解促進や過激化防止の取り組みを行っています。

2023年以降、インドネシア国内でテロ事件は発生していないものの、イスラム国(ISIS)を支持するジェマー・イスラミア(2024年6月に解散宣言)の分派や、ジャマー・アンシャルット・ダウラといった過激主義組織によるテロのリスクは依然として存在しています。実際、2010年代後半にかけて警察や国軍による大規模な摘発が行われましたが、刑務所では社会復帰に向けたケアや支援が十分とは言えず、過激な思想を持ったまま刑期を終える人も少なくありません。

同時に、脆弱な若者の過激化リスクも高まっています。一部のモスクやSNSなどを拠点に、社会的不満を煽るメッセージや過激なコンテンツが拡散され、若者が過激化する事例が報告されています。これに対し関係省庁は技術的な規制措置を講じていますが、かえって若者たちの反感を招くケースも見られます。

このように、東南アジアの中でも特にテロのリスクにさらされているインドネシアにおいて、私たちはこれまでの経験を活かした独自の取り組みを実施しています。

インドネシアにおける取り組み


テロに関わって収監されたジェマー・イスラミアやジャマー・アンシャルット・ダウラなどの過激主義組織の元メンバーに対してリハビリテーション・社会復帰の支援を行うとともに、地域社会との和解促進および過激化防止、そして支援体制の強化に向けた取り組みを行っています。

①リハビリテーション・社会復帰支援


インドネシアの監獄島として知られる中部ジャワ州ヌサカンバンガン島の最高セキュリティ刑務所において、かつて過激主義組織に所属していた受刑者への支援を展開しています。特に元リーダー格や自爆テロの首謀者は一般の刑務所から隔離され、厳重な監視下に置かれていますが、このような環境では国家や社会に対する不信感や不満が高まり、社会復帰への意欲が生まれにくいという課題があります。

私たちはソマリアやイエメンで培った知見を活かし、そうした受刑者に対して支援を行っています。インドネシアでは、経済的困窮や強制といった理由よりも、宗教・思想的動機で組織に参加するケースが多いため、対話を軸とした取り組み(カウンセリング、宗教再教育セミナー、幻滅対策セッションなど)に重点を置いています。

対話の場では彼らの考えや思想を受け止めた上で「それらの実現に暴力は本当に最適な手段なのか」という視点から議論を深めます。実際にテロに関与し服役した経験を持つ彼らだからこそ、暴力に頼らない手段で社会に貢献する道を共に考えることを重視しています。

②和解促進と地域を巻き込んだ過激化防止


元受刑者が社会復帰後、再び過激化することなく地域の一員として生きていくためには、受け入れ側である地域社会の理解と支援が不可欠です。私たちは、元受刑者と地域社会の対話の場を設けることで相互理解と和解を促進するとともに、政府当局や地域社会と連携し、若者の過激化を防ぐための啓発活動にも取り組んでいます。

③支援体制の強化


受刑者の社会復帰を支える刑務官や保護観察官に対し、ニーズ評価やカウンセリング手法、関係構築に関する研修を実施しています。さらに、刑務所内のカウンセリングルームの整備や、受刑者、刑務官、保護観察官が利用する研修センターの改修といったインフラ整備も進め、現地の支援体制の持続的な強化を目指しています。

過去に実施した取り組み

若者のオンライン過激化防止

インドネシアでは、過激主義組織に加担する若者の多くが29歳以下と言われており、インターネットやSNSの普及に伴い、そうした若者を狙ったオンラインでのリクルート活動が急増しています。私たちはトヨタ財団の支援のもと、彼らが自身のアイデンティティの振り返りや家族・友人といった周りの人々の存在に気づくことを通じて暴力への加担を防ぐため、SNSでの動画配信や国内外の専門家によるオンラインセミナーを実施してきました。

最初はイスラム教徒ではない日本人に何ができるのかと考えていた。でも実際、彼らとフラットに自分の過去を振り返り、実生活に根ざしたフォローアップを受けることは、非常に有意義だった。

— 過激主義組織ラスカーヒスバ 元メンバー / アリフィン

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