活動内容
国際規範制定に向けた取り組み

世界中で
テロや武力紛争に関わる若者を
平和の担い手に

テロや武力紛争に関わる若者たちが平和の担い手として生きていくことを世界的に促進するため、彼ら彼女らの権利やエンパワーメントに関する国際規範の制定に向けたアドボカシー活動や、当事者が主体となって活動するグローバルタスクフォースの運営、包括的なエンパワーメントプログラムの開発・実施などを行っています。

私たちは、これまで紛争地やテロ・紛争の影響を受けている国・地域で活動する中で、その最前線にいる戦闘員の多くが18歳から35歳の若者であることを認識してきました。また、そのような非国家武装組織に関わる若者(Youth Associated with Non-State Armed Groups: YANSAG ※1)の多くが、誘拐や脅迫、貧困、社会的排除、政府や国際社会への失望といった背景を抱えていること、そしてその多くが子どもの頃に武装組織との関わりを持っているという実態を目の当たりにしてきました。

昨今の国際的なアジェンダの中で「若者のエンパワーメント」や「平和構築における女性を含む若者の役割」が強調されるようになってきた一方で、多くの場面で若者戦闘員のような見えざる若者は取り残されてきました。 また、18歳未満であれば、戦闘員になった経験があったとしても、子どもの権利条約をはじめとする国際規範に基づき保護の対象となります。しかし、子ども兵として組織に加わった場合においても、18 歳を超えると保護や支援の対象からこぼれ落ち、単なる安全保障上の脅威と見なされてしまいます。

こうした現状は、彼ら彼女らが若者として、また紛争当事者として持つユニークな可能性を発揮することを妨げるだけでなく、暴力や憎しみの連鎖から抜け出すことをより困難にし、結果として持続的な平和の実現を阻む大きな障壁となっています。

そこで私たちは、設立10周年を迎えた2021年に「テロや武力紛争に関わる若者の権利宣言」(※2)を公表し、テロや紛争に関わる若者一人ひとりが、若者としての可能性を発揮し平和の担い手として社会に戻ることができるように、彼ら彼女らの権利やエンパワーメントに関する国際規範の制定に向けた取り組みを開始しました。

※1 YANSAG:Youth Associated with Non-State Armed Goupsの略称。いわゆるテロ組織を含む非国家武装組織に関わっている/関わった18〜35歳の若者のことを指す言葉として、新たに提唱しました。
※2 同宣言についてさらに詳しく知りたい方は、こちらよりコンセプトノートをご覧ください。

国際規範制定における取り組み

国際規範制定に向けたアドボカシー活動の実施

これまで見過ごされてきたYANSAGの存在、そして彼ら彼女らの権利やエンパワーメントに関する国際的な認識を高めるとともに、現場での活動をさらに推し進めていくことを目的として、 国連安全保障理事会や国連人権理事会などの関連会議における決議の採択を始めとした国際規範の制定に向けて、様々なステークホルダーとの連携・アドボカシー活動を実施しています。

さらに、より多角的な議論ができる場として、国際的な会議・シンポジウムを開催しています。会議では、日本政府や各国政府、国連機関などのアクターを巻き込みながら、専門家や実務家、政府関係者だけでなく、当事者であるYANSAGも参加できる機会を設けています。こうした場を通じて、彼ら彼女らが紛争当事者としての経験やそれに基づく平和への想いを共有し、自ら平和構築に関わることのできる機会を創出しています。 さらに、国連をはじめとした国際会議への参加やそこでの声明の提出、G7政府やG20政府に対するYANSAGに関するポリシーペーパーの発出、政策論文の発表等を通して、継続的な政策提言にも取り組んでいます。

また、これまで培ってきたネットワークやYANSAGに一貫して向き合い続けてきた経験を生かし、世界各地のYANSAGの実態や抱える課題、彼ら彼女らが平和の担い手になるための可能性や必要な支援ニーズを把握することを目的とした証言収集を行っています。テロや紛争の当事者となった経験を持つ彼ら彼女らだからこそ、今そうした組織にいる若者や国際社会に伝えることのできる力強い想いやメッセージを持っています。私たちはそれらを受け止め、国際社会へと発信しています。

Global Taskforce for Youth Combatants(GTY)の設立・運営

YANSAGの権利やエンパワーメントに関する国際規範の制定に向けた具体的な議論を国際的に喚起することを主導するため、若者戦闘員グローバルタスクフォース( Global Taskforce for Youth Combatants :GTY)を設立しました。GTYでは、各国のYANSAG、関連する分野の専門家や実務者、テロや紛争の被害者などのメンバーと共に、グローバルな啓発活動に加え、世界各地にいるYANSAGの証言収集、彼ら彼女らによる経験や平和への思いについてのブログポストの発信、国際的な会議の開催などを行っています。また、世界各地のYANSAGを支援する草の根プロジェクトやそうした当事者による取り組みへの助成事業も行なっています。

なお、GTYには世界各国の著名な専門家やポリシーメーカーの方々にアドバイザリーボードのメンバーとして参画いただいています。

GTYのwebサイトはこちら(英語):https://gt4y.org/

YANSAGが平和の担い手となるためのエンパワーメントプログラムの開発・実施

YANSAGへのインタビューで集めた証言や、これまで私たちが最前線の現場で培ってきた知見を踏まえ、彼ら彼女らがそれぞれの国や地域コミュニティで平和の担い手となる上で抱える特有の課題やニーズを分析し、そこに対応する包括的なエンパワーメントのためのプログラムを開発・実施しています。アクティブな紛争地や刑務所・社会復帰キャンプなど、各地の状況や環境に沿った柔軟性の高いプログラムを、各国の教育機関、各種スキルやエンパワーメントに関する支援を行う専門機関や組織と連携して進めています。

憎しみの連鎖をほどくために、
今世界で、あなたが必要とされています。