活動内容
イエメン

すべての若者が
武器ではなく
希望を持てるように

非常に複雑な要素が絡まった紛争とされるイエメン内戦の中で、多くの若者や子供たちが兵士として動員されています。私たちは彼らが武器を置いて希望を持ち直すことができるように、現地政府と協働のもと、武装勢力からの投降の受け入れと促進を行うとともに、脱過激化と社会復帰に向けたリハビリテーションを行っています。

10年以上にわたる激しい紛争により、イエメン共和国は甚大な被害を被っています。特に2014年に内戦が勃発してからは、イランが武器や無人機などの兵器を支援しているとされるアル・フーシ派の蜂起により、事態はさらに泥沼化しています。さらに、フーシ派とサウジアラビアの支援する暫定政府という2つの勢力以外にも、UAEが支援する武装勢力や、アラビア半島のアルカイダ(AQAP)及びイスラム国(IS)などといった暴力的過激主義組織に加え、国内の複雑な部族制度が事態をより深刻なものにしていると考えられています。その結果、2015年以降300万人以上が難民となり、2021年半ばまでに3,000万人が食糧危機に陥ると推定されるなど、同国は最も緊急度の高い人道的危機に直面しています。

しかし、より懸念されるのは、それらの危機を生み出している紛争当事者に関わる問題です。一例として、武装勢力や暴力的過激主義組織の支配地域にいる若者や子供たちが勧誘される問題が挙げられます。実際、彼らが強制的にテロ行為に加担させられたり、家族の経済的負担を軽減するためにやむなく組織に参加したりするケースが後を断ちません。

また、若い世代が過激化し暴力に訴えることで、地域コミュニティの間に亀裂が生じ、すでに紛争によって苦しめられている同国において更なる憎しみの連鎖が発生しています。そのため、仮に若者や子供たちが武装勢力や暴力的過激主義組織から脱退したとしても、社会に復帰することは難しく、再過激化したり、再び組織に戻ったりするリスクが極めて高い状況が続いています。このように喫緊のニーズがあるにもかかわらずさまざまな要因から十分な取り組みがなされていないことを踏まえ、私たちはソマリアなどでの経験を生かし、イエメンにおいても事業を展開しています。

イエメンにおける取り組み

DRRプロジェクト

イエメンが直面している問題を解決するため、2020年5月からの準備期間を経て、2021年6月より、脱過激化・社会との接点構築・社会復帰(DRR)プロジェクトが開始されました。本プロジェクトでは、若者や子供たちを中心として、武装勢力や暴力的過激主義組織からの投降兵や帰還兵に対して、包括的な支援を展開しています。

対象となる若者や子供たちの能力向上を実現することで、地域社会の経済力向上や、地域社会のニーズ充足、地域の安定化等を見込むことができます。

私たちは現地NGO、地方政府、日本在住のイエメン人等といった様々なカウンターパートと協力し、南西部タイズ州で事業を実施しています。タイズ州は、武装勢力や暴力的過激主義組織からの投降兵や帰還兵が帰還する地域として重要であることから、活動地域として選定されました。

①ケアカウンセリング

対象となる若者や子供たちの抱えている問題を受け止め、平和的な手段を用いてそれを解決するために彼らが何をすべきか共に考えることで、彼らの人生における新たな目標を打ち立てることをサポートしています。ケアカウンセリングは一人一人に対して何度も実施することで、信頼関係を築いていきます

②職業訓練・ライフスキルトレーニング

若者や子供たちに、将来の雇用に必要なスキルや基礎教育を週4回提供しています。トレーニングの種類は5つあり、自由に選ぶことができます。最も人気のある太陽光発電設備の設置とその管理をはじめとして、自動車やバイクのメンテナンス、溶接、装飾と彫刻、英語教育があります。また、地域社会でどのように生きていくのか、獲得したスキルを実生活でどのように生かすかなどを考えるライフスキルトレーニングも行っています。

③社会との和解セッション

月に1度、地域のリーダーと若者や子供たちを招き、相互理解を深めるための対話セッションを開催しています。

④幻滅対策セッション

対象となる若者や子供たちが期待通りにいかない現実に直面してしまったとき、再過激化のリスクが高まります。そのため、彼らに厳しい現実を克服できるような心構えを事前に持ってもらうことが必要です。釈放後に起こりうる障害について話し合うとともに、その問題に対する解決策を共に模索しています。本セッションは、1人当たり最低3回行っています。

⑤対話型イスラム教講義

イスラム教の講師とともに、聖典に基づいた和解、罪、許し、平和などのテーマを学ぶだけでなく、それについて共に議論したり考えたりする講義を、週に1回行っています。

⑥長期フォローアップ・モニタリング

プログラム終了に際して、彼らの身元引受人に連絡をとり、適切な関係を築くとともに、その後も状況に応じて長期的なサポートを行っています。

⑦脱退支援活動

武装勢力や暴力的過激派組織の既存メンバーの投降や離脱を促進するとともに、地域社会の過激主義思想に対する理解と認識の向上に向けて、様々な活動を行っています。例として、武装勢力や暴力的過激派組織の構成員の家族への働きかけ、地域社会での平和構築に向けた啓発活動、地方政府に対して平和構築や暴力的過激主義へのアプローチの呼びかけ等があります。

武器を置いて投降することはとても怖かった。
けれど今は、その選択は正しかったと思っているんだ。

— 反政府武装組織アル・フーシ / アデル

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