個人でできること
アンバサダー
の声

Vol.70 森田 晴美 さん

2025年7月10日


私たちの活動を継続的に支えていただいているアクセプト・アンバサダーの声を紹介する本コーナー。

「アンバサダーの声」第70弾は、社会福祉事業に従事されている森田 晴美(もりた はるみ)さんです。


森田様、今回はお忙しい中インタビューをお引き受けくださりありがとうございます。

まずはじめに、バックグラウンドやご経歴を簡単に教えてください。

仕事は、地方自治体と連携して社会福祉事業を展開する会社で「相談員」をしています。かねてより「社会病理」「更生保護」「メンタルコーチ」に関心がありました。

そのきっかけは、高校受験の失敗にあったように思います。当時、滑り止めで入学した高校は、第一志望と比較して決して偏差値が高いとは言えない高校でした。そこは、自分と同じ受験に失敗した子もいれば、いわゆる“やんちゃで荒れた”子たちもいるところでした。しかし、純粋な子もいれば利口な子もいて、魅力的で尊敬する子がたくさんいると感じていました。同時に、この高校にいる子たちは「埋もれてしまっているだけじゃないか。生い立ちや環境次第ではもっとポテンシャルを発揮できるのではないか」と高校生ながらに感じていました。

このような関心事から、大学では「心理学」を専攻しました。

現在の仕事で大切にしていることは、社会福祉事業の対象である人たちを、一人(孤独)にしないこと。個々人のアビリティを引き出し、可能な範囲で自立して安心した生活を営めるようサポートしていくことだと考えています。

▲香川に旅行されたときの一枚。右が森田様。


私も、「孤独にしないこと」はあらゆる面でとても重要だと感じます。

アンバサダーになっていただいた一番のきっかけは何ですか?

まずは、アクセプト・インターナショナルとの出会いから、お話しします。

2022年、NNNドキュメント’22 #2629「”テロリスト”とつくる未来」の放送を視聴し、その活動を知りました。番組では、東アフリカ・ソマリアという国で、イスラム過激派によるテロの犠牲国という解説がされていました。視聴時にテレビを見ながらPCで、“アクセプト・インターナショナル”、“永井”で検索をしていたことを覚えています。

わたしは「平和」が何よりも大切だと思っていますが、その反対語が「暴力」と「戦争」です。「“テロリスト”とつくる未来」という番組タイトルは、「暴力」や「紛争」を想像させ、一体どのような内容なのかと、無視することができないほど、インパクトのあるタイトルでした。約30分弱の番組の中では、

・ロケ地:東アフリカ・ソマリア
・データ:モガディシオ中央刑務所・収容者700人(2019年) 、テロ組織「アルシャバブ」の規模が7000人以上 等
・映像:永井代表の現地活動、受刑者の収容されている刑務所、教室、政府系事務所、受刑者へのアプローチ、アクセプト・インターナショナルの事務所とスタッフの働く様子 等

が簡潔にまとめられていて、番組が終わる頃には、これまでに無い「新しい国際支援」であることに感心していました。何が「新しい国際支援」と感じたかは、かねてより資金援助、食糧援助、学習援助、医療援助は知られていますが、「元テロリストである受刑者の更生保護」を実施する団体は、この時が初めてでした。

資金や食料はもちろん大事ですが、一時しのぎの援助である感が強いと思います。一方でアクセプト・インターナショナルの活動は、受刑者という人の考え方や行動を変える取り組みであり、それを変えることができたなら、持続的な効果が期待でき、更生した受刑者が増えていけば、その地域のテロリスト減少に期待ができると思いました。

この活動に強く関心を持ち、それからすぐに「アンバサダー」登録をしました。アンバサダーとなった後は、しばらくして「ドキュメンタリー上映会」に参加しました。上映会は、参加者をZoomで繋ぎ、(「NNNドキュメント」番組よりも)詳細で、具体的な説明、統計データ、映像・画像がありました。ここで、テロの被害者たちが、加害者を嫌悪し、社会から疎外し更生を阻んでいることが次なるテロを発生させる要因であることが、整理し理解できたように思います。TVの視聴では感覚で理解し関心を持つまででした。

アクセプト・インターナショナルが、ホームページに“憎しみの連鎖”という表現を使用していることにも合点がいきました。それを断ち切るという作業を、この団体が担おうとしているならば、応援したいと思いました。

そしてその活動は、人・地域・政府を動かす「気の長い取組みとなる」ことを予見したため、アンバサダーになりました。


テレビ放送が最初のきっかけだったのですね。アンバサダーへのご就任、本当にありがとうございます。ドキュメンタリー上映会でも、多くの仲間が増えています。

実際に、アンバサダーになってみていかがですか?

月に数回メールで「アクセプト・アンバサダー通信」を配信してくれることが嬉しいです。内容は、活動報告や広報(イベント開催、緊急支援 等)です。

そして何より、アクセプト・インターナショナルは、アンバサダーを放っておきません。(笑)

「トークセッション」や活動ボランティアの募集で、スタッフや同じ立場のアンバサダーの皆さんとの コミュニケーションの場を設けてくださるなど、時間があれば参加したら楽しそうと、思える企画があります。私はなかなか参加できていませんが、時間にゆとりがあり、活動的な方であれば、満足できるのではないでしょうか。もう少し時間にゆとりできたら、参加の機会を増やしていきたいと考えています。

▲三鷹の森ジブリ美術館にて。右が森田様


アンバサダー通信を発信している私としてはこれ以上なくありがたい言葉です。ありがとうございます!

今年、私たちはパレスチナの和平に向けた活動の情報を公開しました。パレスチナでの取り組みについてはどう感じていますか?

自治区という不安定な立場。複数の国が複雑に絡み合っていること。現地の方々の世代間の価値観のギャップ。過去に傷を負っている年配の方がいる一方で、若者たちは壁に囲まれた狭い地域で外の世界を知らずに生きていますよね。本当に複雑でソマリアよりも難しいんじゃないかなと思うこともあるほどです。

アクセプトさんとしては「やるしかない」ということだと思うのですが、「毎回、安全に帰ってきてください」ということだけはお伝えしたいです。それこそ、ソマリアやイエメンでの活動も続けるという意味でも、まずは自分を大事にしながら、そして持ち前の反骨精神で頑張っていただきたいと思います。


温かいお言葉と安全へのご配慮をいただきありがとうございます。私たちも、支援を継続的に行うという意味でも、引き続き安全管理を徹底して活動をしていきます。それゆえにオープンにできない情報もあるのが心苦しいのですが、応援してくださるアンバサダーの皆様にはしっかりとご報告できるよう努めていきます。

少し難しい話が続いてしまいますが、テロや紛争を解決するためにはどんなことが必要だと考えられていますか?

・孤独と貧困をなくしていくこと
・いい人間との出会いの機会を提供すること
・ゴールのみえにくい支援でも、支援を継続すること

です。他にもたくさんの地政、土地柄、事情に合わせて必要な事があると思いますが、少なくとも私の考える「テロ・紛争解決」に必要なこととは、アクセプト・インターナショナルの活動にすべて含まれていると思います。

この3つは、社会福祉事業の対象である人たちの相談をするうえでもすごく大切だと感じるんです。

そして、私が高校生ながら感じたことと同じように、子どもの頃の経験も重要だと思います。紛争地域の荒廃した中で生まれ育ち、小さい時から銃を持ったりテロに参加したりするのが当たり前になってしまっている場所で育った人たちが、また大人になって「テロに本格的に参加してみたい」という気持ちを持つことにつながっていくように思うんです。

まさに、「社会全体がどう変わっていくのか」が重要だと私たちも考えています。

最後に、読者に向けて何かメッセージをお願いします。

アクセプト・インターナショナルは、情報発信が頻繁で、公開情報も多く、信用できるNPO団体です。

ホームページには、「現在の状況」「活動報告」「次なる挑戦テーマ」「これから達成したい目標」など、次々とUPしています。常に躍動している印象です。他人が見ているときだけ、活動をアピールしているようなことを感じたことは、一度もありません。

今年2025年は、アクセプト・インターナショナルが、パレスチナ支援の本格始動と、第28回『地球倫理推進賞』『文部科学大臣賞』を受賞の年だとか。

自分が支援している団体が、活動の場を増やし、支援した人を増やし、パートナー団体を増やし、支援メンバーを増やし、団体そのものが逞しく成長していく姿を見ることができます。

そのような成長著しいアクセプト・インターナショナルをアンバサダーとして支援できる自分もまた、幸せだと感じています。

既にメンバー、アンバサダーであるみなさん、そして、現在アクセプト・インターナショナルに関心を持ち、応援を検討されていらっしゃる方は、ぜひ共に「アクセプト・インターナショナル」を応援していきましょう。


森田様、貴重なお時間を頂戴し、インタビューを受けてくださりありがとうございました!社会福祉事業でのご経験も踏まえながらお話しいただき、私個人としても大変学びになりました。

今後も、前例のない問題解決にともに挑んでいけたら幸いです。


インタビュー担当:南部 壮太郎


【読者の皆様へ】
政府の意向に左右されない私たち独自の活動は、毎月1,500円から活動にご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様からのご支援があってこそ成り立っています。

皆様とともに、この日本から挑戦していくことができれば大変幸甚です。

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