個人でできること
アンバサダー
の声

Vol.64 辻 芙実子 さん

2024年3月29日


私たちの活動を継続的に支えていただいているアクセプト・アンバサダーの声を紹介する本コーナー。

「アンバサダーの声」第64弾は、現在IT企業で人事のお仕事をされている、辻 芙実子(つじ ふみこ)さんです。


辻さん、インタビューへのご協力ありがとうございます!まずは、バックグラウンドやご経歴を簡単に教えてください。

大学でまちづくりに関心を持ったことから、卒業後は交通インフラ系の企業に就職して10年ほど働きました。たまたま配属で人事の業務に就いたことから徐々に組織のあり方にも関心が向き、「一人ひとりが自分らしく働ける状態とは?」ということを考えるようになりました。その関心から昨年転職し、現在はIT企業の人事をしています。

小2から社会人1年目まで続けたガールスカウト活動で、ボランティア活動に参加する機会が多かったため、昔からさまざまな社会課題に関心がありました。高校時代は環境問題に、大学時代はまちづくりにと、(お分かりになってしまうと思いますが…)興味がどんどん拡散していくなかで、数年前からウェブメディアの運営に関わる機会をいただき、会社員と並行してインタビューや記事執筆をしています。関心を持った社会事象について勉強したり、話を聞いたりする機会があることが自分にとって面白く心地よく、勉強の機会になっています。


以前から社会問題に関心があったのですね!

さまざまな課題に取り組む団体は数多くある中で、辻さんがアクセプトのアンバサダーにご就任いただいた経緯やきっかけは何だったのでしょうか?

たまたまネットで永井さんのインタビュー記事を見つけ、「ソマリアという国も、若いテロリストのことも何も知らない…」という思いから続けて永井さんの著書『共感という病』を拝読しました。読んでみて、ひどく衝撃を受けました。これまで私は、海外の問題に対してできることがあればと、細々と食糧支援寄付などをしてきました。しかし、アクセプトの活動範囲はこれまで見聞きしてきたものと全く違い、知らないことばかりでした。何より社会課題の中に「共感を得やすい課題/得にくい課題」という差があるという指摘に衝撃を受け、私自身「分かりやすい課題」にしか目が入っていなかったのではないか、と愕然としました。アクセプトが取り組む「テロリストの更生」という課題は、これまで考えたこともなかったため、最初は協力へのハードルが高い印象を抱いたのも否めません。でもだからこそ、そこに正面から向き合う活動に感銘を受け、またこの現状を知らなかった自戒の念もあり、まずは寄付からやってみようとアンバサダーになることにしました。

▲保護猫と在宅勤務をしている辻様


私もアクセプトを知るまではテロリストの更生など考えたことはありませんでした。

代表・永井の著書『共感という病』も読んでくださったとのことですが、何か変化はありましたか?

永井さんの著書『共感という病』を読んでから、「共感」という概念の多義性について考えることも増えました。これまで「共感でつながること」はポジティブなイメージだったのですが、共感の「輪」を作るということは、同時に外縁を作ることであり、それによって無意識に区切っているものがあるのではないかと、最近よく考えています。会社でも身近なコミュニティでも、あるいは社会で起きていることを考えるなかでも、無意識に締め出しているものがないか、気をつけて生活したいなと思っています。


無意識に締め出しているものがないか気をつけるのはとても大切な心掛けですね。

永井の著書に加えて、アクセプトの活動から影響を受けたことなどは何かありますか?

アクセプトが活動の中で重視されている「対話」についても、日常生活の中で考えることが増えたように思います。本当に平和な中で生活してきたのだな…と呆れてしまいますが、私はつい最近まで「どんな人とも本来は分かり合えるし、分かりあうべき。そのために努力するのが正しい!」と思っていたのだと思います。

アクセプトの活動を知り「対話」の重要性を認識し始めた頃、私はどうしても噛み合わない相手とどうコミュニケーションをしていくか悩んでいた時期でした。職場や友人関係など身近なコミュニケーションの中でも、それぞれの人が拠って立つ“正義”は異なります。そこを踏まえずに自分の正しさを押し付けて生活してきたかもしれないと反省しましたし、価値観や生きてきた境遇が違う中で、相手と簡単に分かり合えるなんて想定すること自体おこがましく、もっと他者を尊重し謙虚に向き合いたいと感じるようになりました。

アクセプトが取り組む課題解決プロセスの中の「対話」とは全くスケール感が違いますが、他者と向き合うということをもっと真摯に捉え、自分の正義を押し付けないことを、日頃から大切にしたいと感じています(そういう姿勢を身につけられると、誰かを傷つけることも減るのではないかな…と自戒を込めて思っています)。

▲林業のボランティアをされているときの様子


対話は日常に溢れているので、辻さんのように私たちの活動と結びつけて考えてくださる方も増えている実感があります。私自身も、日々の対話から相手の想いを尊重することで、人間関係における対立が減ったように思います。

辻さんは日常生活でもアクセプトの対話の姿勢を実践なさっていますが、今後アンバサダーとして挑戦してみたいことはありますか?

今はまだ毎月の寄付しかできていませんが、いずれ周りの人にもアクセプトの活動を紹介したり、紛争について学んだり議論したりする場を、身近なコミュニティでも設けることができたら…と思っています。身近なところでは、家でよくアクセプトの活動の話をしているので、家族から「永井さんがニュースに出ていたよ」といった報告を受けることが増えました。


いいですね!ワークショップでも勉強会でも、何かご一緒できる機会があればとてもありがたいです。アンバサダーの皆様の横に広げる活動に、私たちは助けられ勇気づけられています。

それでは最後に、読者の皆様に向けて何かメッセージをお願いします!

アクセプトが取り組んでいることは、難易度が高く、なかなかスポットが当たりにくい課題かと思います。そこに正面から向き合い、着実に成果を出しているアクセプトインターナショナルの活動は、素晴らしいと思います。イベントやメールニュースなどから、私もいろいろなことを学んでいます。

ただ、知ること・学ぶことだけで止まっていてはどんな課題も解決しません。私も「知ることの先でできることはなんだろう?」ということを考えていきたいと思っているので、皆さんのお考えもたくさん聞かせていただきたいです!


辻さん、この度は共感がもたらす負の側面や対話の手法など、読者の方々が日々の生活にも活かせるお話をお聞かせいただきありがとうございました。

今後も、私たちとともに誰しもが平和の担い手となれる世界の実現に向けて歩んでいただけたら幸いです。


インタビュー担当:南部壮太郎


【読者の皆様へ】
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