個人でできること
アンバサダー
の声

Vol.75 高橋 奏 さん

2026年5月31日


私たちの活動を継続的に支えていただいているアクセプト・アンバサダーの声を紹介する本コーナー。

「アンバサダーの声」第75弾は、酪農の専門農協に勤める高橋 奏(たかはし かなで)さんです。

高橋さん、この度はインタビューへのご協力ありがとうございます!まず、ご出身や現在のお仕事について教えてください。

出身は東京で、現在は実家の近くで一人暮らしをしています。勤め先は、酪農の専門農協です。

子どもの頃から動物が好きで、2012年に口蹄疫(牛・豚・羊などへの伝染病)が流行したとき、酪農家が困っているというニュースを見て「動物を取り巻く人や仕事に関わりたい」と思うようになりました。大学時代は北海道で畜産を学び、その流れで今の仕事に就いています。

実は国内で消費される牛乳や乳製品は海外観光客からのニーズも高いのですが、私が社会人になった頃はちょうどコロナの時期でインバウンド需要が落ち込み、出荷しても売れない状況が続いていました。そのため、余った牛乳をより安価な乳製品に加工したり、生産抑制をせざるを得ないこともありました。

そんな中で、酪農家の方が本当に追い詰められてしまい、廃業や命を絶ってしまう方もいらっしゃいました。それをきっかけに、自分自身もメンタルを崩したことがあります。

さらに、ウクライナの戦争が始まってからは、畜産で使う飼料も海外に依存しているため、物価高騰の影響を大きく受けました。また、最近でも中国人観光客の減少などによって需要が落ちてもいます。こうしたことから、酪農が世界情勢と密接につながっていることをより強く実感するようになりました。

今、酪農業界に身を置きながらも、酪農家の方からは離れた東京にいて、特別欲しいものがあるわけではなく、稼いだお金の使い道が見つからない感覚がありました。だからこそ「意味のあるお金の使い方」として寄付に魅力を感じました。

言葉にされている以上に、辛い経験もたくさんおありだったのだと思います。深い部分までお話しいただきありがとうございます。

アクセプト・インターナショナルを初めて知ったのは、どんなきっかけでしたか?

随分前にテレビで見かけたことがありました。具体的には覚えていませんが、時事ニュースについてひな壇で永井さんが語っているような場面でした。「日本から紛争地に足を運んで解決しようとしている人がいるんだ」と驚いたのをよく覚えています。

私は普段、暇があれば本を読む生活で、図書館にもよく足を運びます。番組の後に図書館に行き、たまたま「あ、この人見たことある」と思い、永井さんの『共感という病』を手に取りました。私は国際貢献や人道支援に関する知識があまりある方ではないのですが、国際的に支援されている領域や対象者には不均衡があることを知りました。ただ、そのときはそこで終わっていました。

そして最近になって、今度は古本屋で『紛争地で働く私の生き方(代表・永井の著書)』を見つけ、読んでみることにしました。本に書かれたリアルかつ生々しい描写。そこに大変引き込まれました。また、その本に出会う前後で中村哲さんの特集をテレビで見て、「国籍人種関係なく現地の方のために支援をしている方でも命を落としてしまう」という厳しい現実を知ったこともあり、「今その活動をしている人がご存命なうちに支援することに意味があるのでは」と思い、今できる支援をしたいと考えるようになりました。

書籍を読まれて、特に印象に残っていることはありますか。

『紛争地で働く私の生き方』を読んでいる中で、永井さん自身にも共感しましたし、テロに加担してしまった若者にも共感できると感じました。テロに加担してしまった若者には、そこに至るまでの背景・環境があると分かったからです。

自分自身、メンタル不調の時に薬を飲みながら働いていたことをごく自然に知り合いに話した際「不安定な人」と誤解されたことがありました。本来はその背景にある状況や経緯があるにもかかわらず、そこが十分に理解されないまま捉えられてしまうことに違和感や悲しさ、悔しさを覚えました。そうした自分の経験と、”不可抗力でそうなってしまった人たち”の背景が重なりました。

その人の背景にまで目を向けること。難しいですがアクセプトの活動の本質がそこにあると思っています。

ちなみにこれまでにご寄付のご経験はありましたか。

特にありませんでした。

街頭募金で「あなたの〇〇円がこういったモノに変わる」という呼びかけを良く見るものの、本当にモノだけで変えられるのかに疑問がありました。

一時的にモノの支援が届いても、構造が変わらなければまた再生産されるのではないかと思っていて…。先進国からの気持ち程度の施しになるのであれば、自分はやらなくてもいいかなと感じていました。

そんななかで、構造的かつ根本的な問題解決に取り組んでいるアクセプトに共感して、寄付を始めました。

▲アンバサダー懇親会での一枚。
(左:高橋さま、右:コミュニケーション局長の山﨑)

実際にご支援いただいて、もし日々の気持ちや生活に変化があれば教えてください。

寄付を始めてから感じたのは、物事の見方が変わったことです。日本から見ると、紛争地で起きていることはショッキングに映りがちで、何も知らないと感情的に反応してしまうことが多いと思います。

でも、アクセプトや永井さんの発信は冷静かつ事実ベースなんですよね。「こういう眼差しで見てもいいんだ」と知ることができました。感情的に反応しなければいけないと思っていたけれど、それがすべてではないと気づけたのは大きかったです。

また、寄付をする前は自分の現状にモヤモヤしていて、稼いでも何にお金を使えばいいのだろうと思っていました。今は寄付を通して、情勢や自分のお金が何に使われるかに関心を持つことで日々の生活に力をもらっている感覚もあります。

最後に、これからの目標や夢、もしくは世界にどうなってほしいか、お聞かせいただけないでしょうか。

今はまだ具体的なビジョンを全く描けていないです…。

ただ、永井さん含め第一線で活躍している方々は、自身の使命や覚悟と、活躍しているフィールドがすごく調和していて、役割を果たしているように感じます。器に徹しきれているというか。私はまだまだですが、構造的にすり減ってしまう人の側に立って手放さずに一緒に生きる、そういう器になれる自分を目指したいです。

改めて、お忙しいところお時間をいただきありがとうございました。

「その人の背景にまで目を向けること」の大切さを改めて感じさせていただきました。また、酪農の現場で感じてこられた葛藤や痛み、そしてご自身の経験があるからこそ、紛争やテロの問題も”遠い誰かの話”ではなく、自分ごととして捉えられているのだと思います。

高橋さんの「すり減ってしまう人の側に立ちたい」という言葉に、私たちも大きな力をいただきました。

今後もぜひ「ともに」歩むことができれば幸いです。

インタビュー担当:山﨑琢磨


【読者の皆様へ】
政府の意向に左右されない私たち独自の活動は、毎月1,500円から活動にご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様からのご支援があってこそ成り立っています。

皆様とともに、この日本から挑戦していくことができれば大変幸甚です。

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