Vol.52 高橋 淳さん
アクセプト・インターナショナルの活動を継続的に支えていただいているアクセプト・アンバサダーの声を紹介する本コーナー。
「アンバサダーの声」第52弾は、代表理事・永井の著書『紛争地で「働く」私の生き方』の出版に際して読書会(今年3月に実施)を企画していただいた、高橋 淳(たかはし あつし)さんです。
高橋さん、インタビューへのご協力ありがとうございます!まずは、バックグラウンドやご経歴を簡単に教えてください。
社会福祉系大学を修了後、障害者福祉の入所施設で生活支援員として、利用者の生活面のサポートやできることを活かす支援づくりに関わりました。
その経験を活かし、ソーシャルワーカーとして地域で生活する障害のある方の相談に応じたり、個別の支援計画を作成したりと、障害者福祉の支援を行う事業所との繋ぎ目を担いました。
その後、法人から出向の声がかかり、現在、厚生労働省障害保健福祉部で障害者福祉行政の一端を担っています。昨年までは、発達障害者支援係として発達障害への支援に関する事業を管轄していました。
障害者福祉行政の分野において長らくご活躍されてきたんですね!
続いて、アンバサダーにご就任いただいた一番のきっかけや、続けていただいている理由について教えていただけますか?
永井代表の著書『共感という病』を手に取ったことがきっかけで、団体の存在を知りました。その中で、アクセプトがニーズに基づいた支援を行っていること、「対話の姿勢」を大切にしていることを知りました。 その後、2022年に「ファシリテーションサミット」というイベントにて、『憎しみの連鎖を止める対話の実践~テロ・紛争解決の現場から~』を受講し、アンバサダーになりました。 私自身、障害のある人との関わりや海外旅行での体験から、日本には「対話」が足りないと思い、本業の傍ら、読書会や哲学カフェを通して「対話」の機会をつくっています。 「対話」を広めていくと同時に、私自身も「対話」を探求していくために、アンバサダーとして関わることで、日々学ばさせていただいています。▲高橋さんが友人と開催された「自分らしさって何だろう?」をテーマに語る会の様子
アクセプトでも「対話」に関したイベントを企画・開催いただいており、本当に感謝しております!
これまで携わっていただいたイベントについて、詳しくお聞かせいただきたいです!
一つは、研修会を開きました。厚生労働省では、「とびラボ」という、省内に向けて職員自ら研修を企画できる制度があります。そこで、アクセプトの高橋みづきさんに登壇していただき、「ニーズに基づいた支援」についての講話とミニワークショップを行いました。
開催したところ、参加者からは「私たちは、ニーズに基づいた取り組みをしていないのかも」「テロは潜在的であって、日本でも起こりうる」という気づきを得てもらえました。
研修を企画する過程で、研修実施の決裁をとるため、官僚たちを前にプレゼンをしました。その際、官僚から「この内容は、外務省や法務省で行うものではないのか。なぜ厚生労働省で行うのか」と開催の意義を問われました。
そこで、私から「厚生労働省は、誰の、何を司っているのでしょうか。彼らの取り組みや人と向き合う姿勢から、当省が学ぶべきことは多分にあります!」と説き伏せました。
開催することができ、その意義が参加者の方に伝わってよかったです。開催時の概要は、厚生労働省のHPに掲載されています。
※該当の厚生労働省のページはこちらです。
▲厚生労働省での研修を開催いただいた時の写真
もう一つは、永井代表の著書『紛争地で働く私の生き方』が出版された際、アンバサダー内で読書会を企画・実施しました。
一冊の本を通して感想を話すと、それぞれ注目する部分の違いを知れたり、読者自身の体験が思い起こされたことを聞けたり、視点や捉え方が違うことを実感できます。また著者の思いや出版までの裏話を聞くことで、本への視点が変化します。
これを実感することも、自身の「対話」の取り組みの一つ。いきなり「対話しようぜっ」はハードルが高いので、話しながら、楽しみながら対話的な試みができたらと思い、「読書会」という形をつくっています。
今後もアンバサダー内では読書会を企画したいなぁと思っています。
▲代表理事・永井の新著の読書会
先ほどより「対話」に関する話題がでておりますが、私たちが「対話」を通して実現を目指していることの一つに「テロ・紛争解決」があります。そのために必要なことについて、高橋さんのお考えをお聞かせください。
「紛争」「テロ」と聞くと、日本に住む私たちにとって縁遠いことだと思います。
しかし、パートナーとの喧嘩や職場での人間関係、親子のわかりあえなさなど、紛争にあたる出来事や状況は私たちの日常に溢れています。
人は、紛争的な状況になった時、力でねじ伏せたい、相手を罵倒したい、声を荒げて恐怖心を与えたいというテロリズムに近い発想をもつこともあります。
ソマリアやイエメンなどいわゆる紛争地では、手段として銃火器をとるという行為に及んでいるだけで、表現する方法や言葉を知らないだけなのかもしれません。その時の心理や抱く気持ちは、日本に住む人とそう変わらないのでは。
アクセプトインターナショナルが取り組む課題は、私たちの生活と重なるところがあると思うのです。
「紛争」と聞くと、状況は一見複雑かもしれませんが、「対話の姿勢」をもつことで、ただ話を聞いてほしい、寂しい、認められたい、隣にいてほしいなど、実は相手の求めていることが、割と些細なことだと分かるかもしれません。それは当人も自覚していないことでもあります。
日常的な紛争的なことを含め、解決のためには、まずは互いの考えや価値観を「あなたはそう考えるんだね」と『accept=受け止める』態度をもつことが必要なのではと私は思います。
私たちの根本的な考え方・態度である『accept』を高橋さんの言葉でお聞きすることができ嬉しく思います。共にテロ・紛争解決を目指す同志として、今後ともよろしくお願いいたします。
最後に一言、読者の皆さんに向けて何かメッセージをお願いいたします。
「対話が大切」
「ニーズに寄り添う」
これらを掲げて活動する企業や団体は数多くありますが、どこか綺麗ごとのように感じ、実行が伴っていないところも散見されます。
そのなかで、アクセプトインターナショナルは、対話を通して、「ニーズに基づいた支援」を実践している数少ない団体です。
永井代表をはじめ、アクセプトインターナショナルが実践している、他者と向き合う姿勢から、人として学べることが数多くあると私は思います。
プロボノやアンバサダーとして関わる経験は、多くの学びをもたらしてくれます。
高橋さん、この度は私たちも大切にしている「対話」に関するお考えなど、大変深いお話しをしていただき、本当にありがとうございました!
メンバー一同、日頃からご支援してくださっている皆さまのご期待に応えるべく、日々一生懸命に問題解決に取り組んでいく所存です。今後とも温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします!
アンバサダーの声
- 2024.07.24
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Vol.3 「アクセプトの活動に市民をどう巻き込むかという、自分の研究に関わる点でのアドバイスをしています」 矢部 航 さん - 2017.11.28
Vol.2 「『関心を持つだけでも立派な活動』という永井さんの言葉に押され、参加させていただきました」 鶴田 桂策 さん - 2017.10.19
Vol.1 「寄付で活動をサポートすることに加えて、メンバーの皆さんに会議室の貸し出しをしています」 田村 明宏 さん