Vol.16 篠原 雄之さん
「アンバサダーの声」第16弾は、カンボジアご在住で、JICA職員をされている篠原雄之さんです。
アンバサダーになったきっかけをお聞かせください。
きっかけは2つあります。1つは僕が30歳になってから当時の資産運用で得た収入のうち年間50万円を目安に寄付をする目標を立てており、良い寄付先を探していました。私は国際協力機構(JICA)の職員として働いており、資金を使って課題解決をしていますが、組織に属する時だけではなく、個人としてでもお金を使って、どの様な問題解決ができるのかを考えたためです。そうすることが自分の30代の成長にとって重要だと考えました。そうした中で尊敬する同僚がJICAを退職しアクセプト・インターナショナルに入社したことをきっかけにアクセプト・インターナショナルの活動を知り、アンバサダーになることを決めました。
実際にアンバサダーになってみていかがでしょうか?
現在カンボジアで働いているため、残念ながらアンバサダー限定の懇親会等に参加することは難しいです。それでも、日々発信されるニュースレターやSNSに目を通す中で、世界でどれだけのテロと紛争の解決へのニーズがあるのか、そしてそれに対してJICAなどの公的機関としてできること、そしてアクセプト・インターナショナルだからこそできることは何か、を考えるようになりました。
「アクセプト・インターナショナルだからこそできること…」との言葉がありましたが、これについて具体的にはどのようにお考えですか?
テロや紛争をはじめとする今まで解決の糸口が見えないと思われていた問題を本気で解決するために、実地で具体的な手段を通じて活動していくことや、紛争当事者をはじめとする過ちを犯した人間を受け入れ、信頼する姿勢を見せていることでしょうか。
途上国において暴力等に手を染めてしまった人間に正面からアプローチし、報道対象ではなく人間として言葉を交わす民間人はほぼゼロであり、公平性を重んじる公的機関にもアプローチしにくい分野です。だからこそ、アクセプト・インターナショナルがそうした役割を担っていることは極めて重要だと考えています。
これからの当団体に求めるものはなにがありますでしょうか。
「アクセプト・アンバサダーズ」をはじめ、個人ではなく企業/団体への渉外や講演活動や啓蒙活動にも力をいれはじめていると伺っています。アクセプト・インターナショナルの理念や活動の必要性を民間企業にも理解してもらう中で、民間企業と暴力の関係に革命を起こせたら、大変意義あることだと思います。
私が国際協力業界に身を置く中で、最も重要だと思っている指針の一つにUNCTAD(国際連合貿易開発会議)が作成した「World Investment Report(世界投資報告書)」があります。本レポートによるとSDGs達成のために3.9兆米ドルが必要なのに対し、2.5兆米ドルが不足するという深刻な資金ギャップが指摘されています。このギャップを埋めるには、民間企業をはじめとするこれまでとは異なるアクターの出資が必要であることは言うまでもありません。
一方で、不足している資金の中でも、日本の民間企業の資金はSDGsゴール16「平和と公正をすべての人へ」など、暴力の問題の解決に向かうものが極めて少ないと考えています。貧困層向けビジネスに目が向き始めた近年では、企業が考えるビジネスと相性の良い分野には投資が増えだしています。しかしながら、テロや紛争をはじめとする暴力の問題に関しては「ビジネスでの貢献ができないもの」と捉えている企業がまだまだ多いのではないでしょうか。暴力の問題に真正面から挑もうとするアクセプト・インターナショナルには、こうした企業の発想を転換させる大きな役割があると思います。
最後に一言、何かメッセージをいただけますでしょうか。
国際舞台での課題解決には、日本の常識、自分の常識に捕らわれないことが不可欠だと考えています。暴力に何故立ち向かうかというプリンシプル(基本原則)は絶対に変えないが、具体的に活動する際のルール(団体の決め事等の行動規範)は柔軟に変えていく必要がある、ということです。今後ソマリアでのDRRプロジェクトなど現地活動の難易度が高い地域での活動も強化することになると思います。国際協力に身を置く同志としてこのメッセージをシェアし、さらなる活動の展開に期待を寄せたいと思います。
篠原雄之様、この度はインタビューにご協力ださり、誠にありがとうございました。お話を伺い、「国際協力」という大きな分野の中で、アクセプトが持つ価値、そして生み出すことのできる価値について、メンバーとして一度立ち返り、見つめ直す機会となりました。これからも、どうぞよろしくお願い致します。