Vol.61 鈴木 幸恵 さん
私たちの活動を継続的に支えていただいているアクセプト・アンバサダーの声を紹介する本コーナー。
「アンバサダーの声」第61弾は、現在中学校教師をされている、鈴木 幸恵(すずき ゆきえ)さんです。
鈴木さん、インタビューへのご協力ありがとうございます!まずは、バックグラウンドやご経歴を簡単に教えてください。
現在中学校教師をしています。もともとは日本語教師でした。大学での専攻は日本語。学生時代から日本と海外の架け橋になりたいと考えていました。日本語教師という仕事を通して海外の方々と接したことで自分の視野がグローバルに広がったと思います。日本での常識は海外では当たり前ではないこと、生活、文化、習慣など異なることを受け入れるのは、始めの頃は驚きの連続でした。次第に、自分が「日本」について、また「世界」について、何も知らないことを実感するようになりました。
その後、結婚・出産。子育て中に「海外の生徒」よりも、まずは日本の中の常識をグローバル化することの方が先、と考え、中学校教師を目指すことになります。
日本の常識のグローバル化、とても興味深いです。
では、鈴木さんがアンバサダーにご就任いただいた経緯やきっかけについても教えていただけますか?
正直なところ、娘の影響です。それまで永井さんのことも全く知りませんでした。娘からアクセプトインターナショナルの活動内容を聞いて、当初は「なぜ日本の若者がソマリアへ?しかも危険では?」という感じでした。たまたまそのときに永井さんが出演したテレビドキュメンタリーを観て、娘から聞いていた話と、映像として理解した永井さんの活動がようやく一致しました。それでも半ば、「永井さんって方は、おそらく本当はタレントか何かの職業の傍らでボランティアをなさっているの?大変ねぇ~」。くらいに勘違いしていました(すみません)。どこか、他人事、ソマリア?あまりに遠くて、現実味が湧いてきませんでした。それが本音です。
その一方で、仕事柄、生徒たちを前に、「平和のために私たちができることは何があると思う?」と一緒に考える機会が多々あります。自分の中に明確な答えも持っていないことに違和感を覚えつつ、生徒たちの考えにうなずかされることがあります。生徒たちは必死になって「平和のために自分たちができること」を純粋に探し求め、考えを絞り出していきます。そんなとき、永井さんの顔が浮かび、日本の若者が、実際に行動を起こしているではないかと、今目の前にいる生徒たちの未来の姿に永井さんを重ねるようになりました。
「私たちは、平和を願う権利がある」。生徒の発した言葉にハンマーで頭を殴られたような気がしました。すると別の生徒が「願うだけじゃダメだよ。アクションを起こさなきゃ!」と。その通りです。そこで微弱ながらもアンバサダーとして協力することにしました。
月々の金額は小さいですが、気分は投資家ですね。永井さんの活動に投資をすることで、リターンとして一人の青年が助かってくれたらそれでいい。そう思っています。
▲ニューヨークにて娘さんとそのご友人とのひと時
気分は投資家…そんな風に思っていただき身の引き締まる思いです。
寄付(という名の投資)をしてくださる中で、アクセプトに求めることは何かありますか?
特に新しく求めるものはありませんが、教育機関へのアプローチをかけていただきたいなぁと考えます。日本人の価値観を世界規模に修正していくためには、大人になってからよりも子供たちへの正しい知識の導入が必要だと考えるからです。
ほぼ生活に困窮しない、治安のよい日本にいて、「ソマリア」での出来事は、他山の石でしかありませんし、またアンバサダー依頼をかけても何のために?お金の流れは?と疑心暗鬼になる方も多いのが現実ではないでしょうか。ユニセフと何が違うの?と問われたときに、「永井さん」を知っていただくことは、重要な鍵だと考えます。
疑心暗鬼に思われる中でどうすべきか。私自身、答えを探っているところです。
鈴木さんは代表・永井について知ることが鍵だとおっしゃられていますが、彼に関して何か思うことはあるでしょうか?
もっと有名になってほしいと思います(アクセプトインターナショナルがさらに成長してほしいから)。あと、命と健康だけは手を抜かないでほしいです(母目線です)。
仮に、自分の息子が永井さんだとしたら・・・と勝手に想像してみました。 間違いなく、親として腹をくくるでしょうね。「何もあなたがやらなくてもよいのに・・・」と言ってしまうと思います。そして、息子の決断を、断腸の思いで応援することでしょう(ううん、どうかな)。
世界の平和は願うけれど、自分の家族がたずさわるのは別問題?この考え方自体が、平和ボケした日本人なのだと自分で深く自覚します。
「永井さんを知る」ことは、こうした日本人的な矛盾した平和論と自分自身が向き合わされます。これが、私が永井さんについて感じることです(それだけでも大きな意義があります)。
私も永井を知ってから平和な世界を作るにはどうしたらいいのかをより考え始め、自分自身がどうそこに貢献できるかを常に自問自答しています。
それでは最後に、読者の皆様に向けて何かメッセージをお願いします!
Youtubeを見ていたら勝手に9.11アメリカ同時多発テロの映像が流れてきました。たまたまこの夏、ニューヨークを旅していたばかりでしたので、自分が歩いたあの場所で、あの事件が起きたと思うとなんとも言葉にならない感情がわいてきました。
映像では、飛行機が突入するシーンに驚く人々の怒りや動揺、助けを求める人々や救助に当たる人々の喧騒。救助を待ち、崩壊しかけたビルから救助を信じて手を振る人々の映像、そして、ビルの崩壊と逃げ惑う人々。胸をえぐられるような思いがしました。「なぜ」「どうしてこんなことを・・・」「理由は?」
それもこれも「テロ」が原因。心の底から「二度とこのようなことがあってはならない」と願いました。それと同時に「誰がこれを止められるのだろう」とも。決して簡単なことではありません。簡単ではないから、政府も国も慎重になるのです。そう考えたとき、永井さんの活動は間違いなくその一端を担っている活動の一つだといえます。
世の中には、「いじられる」と都合が悪いことがたくさんあります。永井さんの活動は、誰もが踏み込もうとしない分野に、知恵と勇気をもって「いじる」ことで、確実に「テロ」活動に圧力をかけています。アンバサダーとして私一人の力はとても小さいですが、一人でも多くの人が「テロをいじる」活動に加担したとき、世界はどう変わるのか、私が生きている間に見ることができればうれしいです。
この度はインタビューのお時間をいただきありがとうございました!鈴木さんの熱い思いを聞くことができ、とても有意義な回になったかと思います。
今後も、私たちとともに誰しもが平和の担い手となれる世界の実現に向けて歩んでいただけたら幸いです。
インタビュー担当:南部壮太郎
【読者の皆様へ】
政府の意向に左右されない私たち独自の活動は、毎月1,500円から活動にご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様からのご支援があってこそ成り立っています。
皆様とともに、憎しみの連鎖をほどいていくことができれば大変幸甚です。
アンバサダーの声
- 2024.07.24
Vol.65「加害者にも目を向けようとするアクセプトの理念は、他にはない唯一無二のもの」太田 貴也 さん - 2024.03.29
Vol.64「自分の正しさを押し付けて生活してきたかもしれないと反省」辻 芙実子 さん - 2024.03.27
Vol.63「これは無理だろうという限界は自分が決めてしまっている」城田 則子 さん - 2024.03.11
Vol.62「大きな成果に向けた積み重ねの一部に自分がなる」ナロック 悠耶 さん - 2024.03.02
Vol.61「世界はどう変わるのか、私が生きている間に見ることができればうれしいです」鈴木 幸恵 さん - 2024.02.13
Vol.60「活動に賛同している意思表示としてアンバサダーを続けています」倉持 光代 さん - 2024.02.11
Vol.59「一度何かのイベントに参加してみると自分なりの関わり方を見つけられるのではないかと思います」近藤 英一郎 さん - 2024.02.04
Vol.58「寄付をさせていただいていると思っています」中村 千絵 さん - 2024.02.04
Vol.57「自分にはできないからと諦めるのではなく、時処位に応じて協力できることを考えていけたらいいなと思っています」榊原 美紀 さん - 2024.01.27
Vol.56「無理だと決めつけずにやってみること。この事を実現している団体に、私の考え方も大きく影響を受けました」鈴村 修 さん - 2023.12.17
Vol.55「『少し応援してみよっかな』くらいの気軽さでアンバサダーをはじめてみる人が増えてくれればいいな 」南條 佑太 さん - 2023.06.25
Vol.53 「1人の力では解決できなくても、同じ思いを持つ人たちが集まると、いつかきっと大きな力になると信じて」 中尾 千恵子 さん - 2023.05.23
Vol.52「私自身も『対話』を探求していくために、アンバサダーとして関わることで学ばさせていただいています」高橋 淳さん - 2023.04.06
Vol.51 「永井さんとアクセプトが創る未来を私は見てみたい。できたらそこに、私も参加していたい」 福田 広恵 さん - 2023.03.19
Vol.50 「アクセプトのアンバサダーでいることが誇り」 桐林 千登勢 さん - 2023.01.29
Vol.49 「永井代表の『僕らはソマリアギャングと夢を語る』を読んだのがきっかけです」 前田 関羽 さん - 2022.09.17
Vol.48 「大きな事象であるからこそ、一人ひとりに目を向けて、必要なことを一つ一つ考えていく」 沖村 里咲 さん - 2022.07.31
Vol.47 「子どもに『戦争がなくならないのは仕方ない』とは言いたくない」 矢野 俊樹 さん - 2022.07.31
Vol.46 「アンバサダーになってみて支援を『継続する』ことの大切さを改めて感じている」 成澤 里恵 さん - 2022.06.12
Vol.45 「小学校時代にアメリカの同時多発テロを体験して以来、長い間モヤモヤした気持ちを抱え続けていました」 小出 彩音 さん - 2022.06.06
Vol.44 「何かできる時は手伝いたいし、何もできない時でも支援したい」 加藤 祥晃 さん - 2022.06.02
Vol.43 「『今なお聴かれていない、語られていない声は、どのようなものか』とより考えるようになりました」 小針 美紀 さん - 2022.05.22
Vol.42 「アンバサダーとして、アクセプトの中にいる人たちの信念や生き様のようなものを伝えていきたい」 浦野 真理 さん - 2022.04.17
Vol.41 「テロリストも同じ人間、必要なことをやる、という非常にフラットながら革新的な行動姿勢に惹かれて」 田頭 風子 さん - 2021.10.31
Vol.40 「自分のシステム開発の経験を活かして、IT面を中心にサポートをしてきました」 安達 知仁 さん - 2021.06.30
Vol.39 「『私でも出来る、否、私だからこそ出来ることがありそう』と思えたのはアクセプトだけでした」 賀来 沙樹子 さん - 2021.05.16
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Vol.36 「前例が無い中で難しい課題に自分と同じもしくは若い世代の方が懸命に取り組んでいる姿勢に感銘を受けた」 中野 響子 さん - 2021.01.22
Vol.35 「テロと紛争による被害も、『機会損失』が発生していると私は捉えています」 小川 隆弘 さん - 2020.12.20
Vol.34 「世界中の人々が、自身の未来の可能性を広げる、『教育』や『学び』を受けられる機会を持って欲しい」 鈴木 悠甫 さん - 2020.11.18
Vol.33 「海外ならではのエピソードをアクセプトの皆さんと懇親会などで共有できることが楽しい」 篠原 祥 さん - 2020.10.14
Vol.32 「もっと日本人にも『テロリズム』を身近な問題として認識してもらうことが必要」 福嶋 浩嗣 さん - 2020.09.09
Vol.31 「『受け入れる』という価値観・アプローチをここまで実践に落とされている団体は、唯一無二なのかな」 八名 恵理子 さん - 2020.08.12
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Vol.29 「テロリストや過激な思想を持った人を、かつては『加害者』として私は一面的にしか見ていませんでした」 猪熊 風友乃 さん - 2020.06.10
Vol.28 「元テロリストに対するイメージの変化をもっと多くの高校生たちに体験してもらいたい」 金田 和大 さん - 2020.05.06
Vol.27 「この活動が拡がったら国際協力の世界が大きく変わるのではないか。そんな気がして応援を始めました」 福西 浩樹 さん - 2020.04.10
Vol.26 「アンバサダー限定イベントに参加し活動内容を知ることができて、新たな知識も身についた」 芥川 駿太郎 さん - 2020.02.01
Vol.25 「アクセプトを通して、テロや紛争の問題についてまずは『知る』ことで新しい世界との接点が増えました」 ロミ さん - 2019.12.23
Vol.24 「アンバサダーになってみて、実際に横のつながりが生まれていることがいいな、と感じた」 中構 優花 さん - 2019.11.04
Vol.23 「団体のお手伝いがしたいという思いと同じくらい『自分のため』という感覚も強いかもしれません」 臼田 輝生 さん - 2019.07.30
Vol.21 「メンバーと近い距離で交流することに、自分自身刺激をもらってます」 宮崎 貴博 さん - 2019.06.14
Vol.20 「団体の成長を近くで感じられることが感慨深かったです」 岡本 明訓 さん - 2019.05.07
Vol.19 「既成概念や枠組みに囚われず、新たな時代を切り拓くために必要な反骨精神や気概があるのを感じます」 杉浦 かおり さん - 2019.03.30
Vol.18 「紛争で奪われる命を守りたい、現場を自分の目で確かめてすべきことを判断したい」 大塚 千宙 さん - 2019.02.15
Vol.17 「アンバサダーになってから、紛争関連のニュースがより目に止まるようになりました」 二茅 理穂子 さん - 2019.01.16
Vol.16 「アクセプトには、企業の発想を転換させる大きな役割があると思います」 篠原 雄之 さん - 2018.12.18
Vol.15 「ソマリアやケニア、インドネシアなどのアクセプトの活動地におけるテロと紛争の現状を知れた」 渋谷 和彦 さん - 2018.11.29
Vol.14 「悲しみを終え平和と幸せに向かう旅路を支える」 生田 チサト さん - 2018.10.31
Vol.13 「他のアンバサダーの方々とも交流する機会があることが面白いと思っています」 齋藤 悠太 さん - 2018.09.30
Vol.12 「開院したクリニックに西真岡アクセプト・インターナショナルクリニックと命名させて頂きました」 眞塩 一樹 さん - 2018.07.31
Vol.11 「メンバーの方々も、アンバサダーは身内だと言ってくれます」 三浦 紗織 さん - 2018.06.30
Vol.10 「今後は県内の教育機関にリーチできる講演やイベントの場を作れればと思います」 北添 春菜 さん - 2018.05.31
Vol.9 「アクセプトの現場での取り組みは、平和構築研究としても非常に興味深いものです」 本多 倫彬 さん - 2018.04.30
Vol.8 「医者になることはテロと紛争の解決に直接は繋がらないけど命を大切にする点では共通しています」 窪田 有希 さん - 2018.03.31
Vol.7 「NPO法人の共同設立にあたり、アンバサダーという立場から少しでも力になりたいと思いました」 栁瀬 惠介 さん - 2018.02.27
Vol.6 「会社の社会貢献部の責任者やボランティア活動を一緒にしている仲間たちにアクセプトの話をしています」 川北 麻衣 さん - 2018.01.30
Vol.5 「初めはアクセプトの活動内容をよく理解出来ていなかったので、ほんの気持ち程度の額でスタートしました」 小笠原 絢子 さん - 2018.01.21
Vol.4 「自分が経営している飲食店のメニューやHPにアクセプトの紹介文を載せています」 中島 拓也 さん - 2017.12.30
Vol.3 「アクセプトの活動に市民をどう巻き込むかという、自分の研究に関わる点でのアドバイスをしています」 矢部 航 さん - 2017.11.28
Vol.2 「『関心を持つだけでも立派な活動』という永井さんの言葉に押され、参加させていただきました」 鶴田 桂策 さん - 2017.10.19
Vol.1 「寄付で活動をサポートすることに加えて、メンバーの皆さんに会議室の貸し出しをしています」 田村 明宏 さん