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【支援者限定イベント実施報告】 現地スタッフと共に考えるアクセプトの取り組み(2025年4月22日開催)

先日開催したアンバサダー限定イベント「現地スタッフと共に考えるアクセプトの取り組み」についてお伝えします。

当日は、私たちが特に力を入れて活動しているソマリア・イエメンより現地スタッフの代表をそれぞれ迎え、オンライントークセッションを開催しました。代表・永井の進行のもと、参加者のご質問にもお答えしながら、現地スタッフの活動内容やそこにかける思いについて詳しくお伝えすることができました。

※アンバサダーの方で見逃してしまった方やイベント後にアンバサダーにご就任いただいた方は、support@accept-int.org までご連絡ください。本イベントのアーカイブ動画をお送りいたします。

1. 開催背景
ソマリアとイエメンはいずれも長引く紛争により甚大な被害を被っている地域ではあるものの、紛争終結への見通しがたっておらず、国際的な支援も十分ではないため特に力を入れて活動しています。

本イベントは、現地スタッフより活動の詳しい様子をお伝えするとともに、皆さまの疑問にお答えするために開催いたしました。彼らの人となりや活動にかける想いにも光を当て、なかなかお伝えすることが難しい現地スタッフの生の声「を聴いていただく貴重な機会となりました。

2. 登壇者紹介

アムガッド・シャルガビ
イエメン現地事務所代表。大学卒業後、イエメン国内で人道支援を始めとする様々なプロジェクトの実施に携わる。2022年から当法人に参画し、武装勢力フーシ派にいた若者や子どもに対する社会復帰支援事業に従事し、現在はイエメン現地事務所の代表として、政府機関や現地関係機関などとの調整やマネジメントを担う。1児の父。

アブドラ・アハメド
ソマリア現地事務所代表。妻と子どもとアル・シャバーブの支配地域に居住していた際、アル・シャバーブの爆撃に巻き込まれ、腹部が裂けた経験を持つ。復讐心を抱きながらもテロに加担する人々をも受け入れるべきという信念のもと、ソマリア政府機関にて投降兵の更生支援を行っていた。現在は当法人の現地スタッフとして、首都モガディシュの中央刑務所などでの社会復帰支援事業を主導している。3児の父。

3. 当日の様子
以下、当日のディスカッションからいくつかのトピックを抜粋してお伝えします。

現地での活動の様子
アムガッド:私はイエメンでのプロジェクトの管理やさまざまな調整の仕事をしています。現場での実働としては、若者たちが過激派から植え付けられてしまった考えをどうにかして和らげていくために、ケアカウンセリングに力を入れています。非常に困難な仕事ですが、イエメンで平和を築くために最善を尽くしています。

アブドラ:ソマリアでの私たちの活動はここ数年で増加しています。武装勢力を離脱して恩赦(特別な許し)を受けた投降兵や、逮捕された受刑者に加えて、将来武装勢力に参加してしまう可能性が高い人々に予防の取り組みとして手を差し伸べるようにもなりました。

活動におけるリスク
安全対策をさまざま講じていますが、紛争地での活動にあたり、両者ともに過酷な経験を乗り越えて活動を続けています。それに対する思いを、二人に聞いてみました。

アムガッド:アクセプトで働き始める少し前の話ですが、滞在していたホテルが襲撃され、腹部が裂けて内臓が飛び出し、意識を失い8ヶ月間入院した経験があります。それでももし僕がこの仕事をやめたら、すでにテロリストになっている若者たちや将来そうなるかもしれない人たちをいったい誰が助けるのか、という覚悟で活動に取り組んでいます。

アブドラ:数々のリスクはありますが、私は諦められません。自分がやっていること、そしてこの仕事を愛しています。活動に取り組み続けることが私の義務であり、目標です。

▲イエメンのリハビリ施設で職業訓練を行うアムガッド

なぜ、そこまで強い情熱やモチベーションを持ってこの仕事を続けられるのか
アムガッド:私がやらなければ、誰がやるのでしょうか。 ありがたいことに日本の皆様が支援してくれているのに我々が動かなければ、イエメンはずっとこの混乱に苦しみます。イエメン人そして人間として、世界中の国すべてが平和になるべきだと感じています。活動に取り組むことは、イエメン人としての私の義務なのです。「 異なる背景を持っていても一緒に生きていけば良い」という情熱のもとに活動しています。

アブドラ:平和のために遠くからソマリアまで来て、テロや紛争を減らそうとしてくれる人々やそれを支えている皆様の存在がモチベーションです。また「この仕事を通じて、あなたの国は変えられる」と励ましてくれる妻のおかげでもあります。

▲イベント当日の様子

4. 参加者からの質問と声
トークセッションでは、参加者からたくさんのご質問をいただき、時間の許す限りお答えさせていただきました。以下では、そのうち2つを抜粋しご紹介します。

Q.受益者との関わりの中で、官僚的な態度や厳しい対応をされることもあると思います。でも、そんな中で「いつか互いに理解し合える」と信じていますか?
アムガッド: 信じています。最初は困難がありますし、受益者から受け入れられないこともありますが、何度も試み、話しかけ、どうしたらその人に届くのか考え、あらゆるアイデアを出して接します。個別の面談やグループセッション、時にはゲームや短時間の遊びを通じて信頼関係を築いています。

アブドラ: 時には受益者が大声を上げたり、何か意地悪な言葉をかけてきたりすることもあります。彼らにカウンセリングを行い教育や生活支援を続けていく中で「彼の態度はなかなか変わらないな」と感じることももちろんあります。それでも私は彼らを信じ続けます。

Q. 受益者の中で、元は過激派に属していたけれど、今では友達になった人はいますか?
アムガッド:はい、もちろんいます。例えば、特別捕虜収容所で出会ったラビアという男性です。彼はもともとフーシ派に説得され、イエメン政府関係者の家の近くに爆発物を仕掛けるよう命じられました。個別カウンセリングを通して彼は徐々に心を開いてくれ、なぜ逮捕されたのか、そしてその時どのような気持ちだったのかなど、過去を語ってくれました。今では拘置所内で他の受刑者にアラビア語を教える教師になっています。

アブドラ: 私もたくさんいます。ヨーロッパやアフリカに行った人もいれば、ソマリア国内に残っている人もいます。ソマリアでは道のいろいろな場所で安全対策のためのチェックポイントがあるのですが、そこで私を見かけて声をかけてくれた人もいました。彼らの「上司」として接するのではなく「友人」として接するようにしたことで、多くの人と強い絆を築けています。

▲元投降兵と街中のセキュリティチェックポイントで出会い、永井にビデオ通話かけたアブドラ

ディスカッションは大変盛り上がり、あっという間の90分間となりました。参加者の皆様からは、開催後アンケートでも多くの温かな感想をいただきました。

「現地アクセプトメンバーとのリアルタイムの交流も貴重でしたし、永井さんと英語で会話をしていて普段のコミュニケーションの雰囲気も感じとることができ、とても有意義でした」

「ソマリアとイエメンのスタッフの声を直接聞けて凄く貴重な体験ができました。周りの人に反対されたり、脅迫などがきてもこの活動を誇りに思い、続けたいという思いが伝わりました。アムガッドさん、アブドラさんにお子さんがいることや、永井さんと初めて会った時のこと、リハビリセンターでの活動、働く時間が長く大変でもやりがいを感じていること、同じバックグラウンドを持つ友人の話などとても興味深く、1時間半が短く感じました」

5. アンバサダーの皆さまへのメッセージ
イベントの最後には、彼らからアンバサダーの皆様への一言が寄せられました。

アムガッド:「アンバサダーの皆さま、いつも寛大で温かいご支援をありがとうございます。皆さまのサポートと関心がなければ、私たちは現場で何の進展も得られません。どうか今後も、アクセプト・インターナショナルとそのメンバーたちを支えてください。私たちも、現在の悪い状況を”より良い”状態に変えていけるよう、最善を尽くします。改めてありがとうございます」

アブドラ:「皆さんの支援がなければ、テロ組織を離脱する若者たちはいません。アクセプトに寄付をするという”小さな行動”が、ソマリアにおける命を救い、犯罪を未然に防ぎ、彼らに新たな希望を与えています。本当に心から感謝しています。今後もソマリアとイエメンの「ゼロ・テロリズム」の達成に向けて、引き続きのご支援をお願いいたします。日本語の勉強も頑張ります!」



引き続き現地スタッフとも力を合わせ、憎しみの連鎖をほどく活動に取り組んで参ります。今後とも温かなご支援をどうかよろしくお願いいたします。

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※現在アンバサダーではない方に関しましても、アンバサダーご登録後support@accept-int.org までご連絡いただければ、本イベントのアーカイブ動画をご視聴いただけます。お気軽にお問い合わせください。

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