1．更生保護支援部の立ち上げ期の活動
更生保護支援部は、2020年11月より事業を立ち上げ、活動しています。当初は、犯罪や非行をした方が社会に戻る際に生活や更生のサポートを行う民間ボランティアである「保護司」に焦点をあて、保護司の高齢化と担い手不足という課題に対し、新たな担い手創出のための勉強会や保護司との座談会の開催、制度に関する調査・提言活動などを行ってきました。
担い手増加に向けた勉強会や座談会を実施し、これまでのべ130名の方に参加いただいたほか、実際に参加者の1名が保護司として就任、4名が就任に向けた準備にかかることができました。
一方、保護司や専門家と協働するなかで、更生保護制度の外にいる非行少年たちへの支援の不足を改めて認識し、2022年1月より、非行や犯罪をした若者に対する直接的な相談支援を開始しました。
2．現在の活動内容
2023年6月現在で、更生保護支援部は4つの柱で活動をしています。
① 10〜20代の非行・犯罪をした若者に対する相談支援を含む社会定着支援
② 10〜20代の非行・犯罪に繋がる恐れのある若者に対してのアウトリーチ活動および相談支援
③ 非行や犯罪に関する悩みを持ち、帰る場所のない若者への緊急居住支援および生活支援
④ 一般の方を対象とした啓発啓蒙のためのオンラインゼミ
それぞれの取り組みの詳細をご紹介します。
① 10〜20代の非行・犯罪をした若者に対する相談支援を含む社会定着支援
非行や犯罪をする若者の多くは、生活困窮や虐待経験、知的障がいや精神疾患など様々な生きづらさを抱えています。周りの理解や必要な支援を受けることができずに非行や犯罪につながり、そしてそのレッテルが彼らの抱える問題をより悪化させ、社会復帰、社会定着を困難にする悪循環を引き起こしています。
私たちは、この負のサイクルを断ち切り、彼らが周りに頼れる人を持ち、社会のなかで犯罪をすることなく生きていくことができるよう、相談支援を含む社会定着支援を実施しています。
2022年1月から相談支援を開始し、非行をした少年10名、非行をする恐れのある少年を2名、刑が決まる前の裁判を待っている少年を4名、計16名とそのご家族を支援しています。少年院や保護観察所、区役所や他の支援団体と連携をしながら、彼らの生活を支えています。
▲相談窓口サイト「キミのミカタ」：https://kiminomikata.org/
② 10〜20代の非行・犯罪に繋がる恐れのある若者に対してのアウトリーチ活動および相談支援
当事業では、非行・犯罪をした若者に対する支援だけではなく、非行・犯罪に繋がる恐れのある若者に対してもアプローチを行なっており、2022年8月より、新宿歌舞伎町での声かけ活動を始めました。
▲新宿歌舞伎町の広場
居場所を求めて繁華街に通う中で、犯罪に巻き込まれる危うさを抱えながら生活をしている若者に対し、毎回コミュニケーションをとりながら、困った時に連絡ができるよう相談窓口の紹介をしています。
2022年8月の開始から2023年5月までの間に、490名を超える若者に声をかけ相談窓口の紹介をすることができました。
▲声かけ活動で配布している相談窓口カード。
カイロ、ヘアオイル、カロリーメイトなどとともに提供しています。
③ 非行や犯罪に関する悩みを持ち、帰る場所のない若者への緊急居住支援および生活支援
彼らの抱える居住の課題として、刑務所等の出所者が、帰住先を確保できていない状態で刑期満了となり出所するケースが多くあります。実際に、相談支援を実施してきた少年たちの中にも、住み込みで働いていた職場に定着できず、職と住まいを同時に失った少年、家族との折り合いがつかず家庭に居場所がない少年など、「住居」に関する課題が多くありました。
そういった課題に対し、2023年6月から、緊急居住支援も開始します。半年〜1年程度、住居を提供し、金銭管理や就労就学支援など自立のための生活支援を行います。
④ 一般の方を対象とした啓発啓蒙のためのオンラインゼミ
こうした若者が抱える課題について、まだまだ世の中の認知度・理解度が低いのが実情です。そこで、一般の方を対象に更生保護について共に学び、考えるためのオンラインゼミを開催しています。
2022年から現在まで4回開催しており、保護司の方や少年院で社会福祉専門官として勤務をされている方、元受刑者の方等をお招きして、実際の支援の現場に関する話や当事者の声を聞き、学ぶ機会としています。
これまでに合計130名以上の方にご参加をいただき、実際に非行をした少年や若者に関わる支援者から話を聞くことができる貴重な機会としてご好評をいただいています。
今後も、支援が必要な若者に1人でも多く出会い、彼らが犯罪をすることなく社会に希望を持って生きていくことができるよう、引き続き支援をしてまいります。
私たちは、毎月1,500円からご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様に支えられながら活動しております。
皆様とともに、日本や世界の若者が抱える問題の解決に挑戦していくことができれば大変幸甚です。
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