活動報告
【ケニア事業部】刑務所での実地調査と保護局との連携強化

ケニア事業部は、ギャングを含む若者失業者の収入創出支援を通じた過激化防止に加え、刑務所におけるテロ関連受刑者のリハビリや社会復帰支援の取り組みを実施してきました。ケニアは熾烈な紛争地ではないものの、ソマリアを拠点とするテロ組織アル・シャバーブがテロ攻撃や戦闘員のリクルートを行っているなど、テロ対策の推進において重要な国の一つです。

本記事では、テロ受刑者を収容する最高セキュリティ刑務所で支援を展開するにあたっての実地調査、および受刑者の釈放後の社会復帰を支援する「保護局」との連携強化についてお伝えします。

最高セキュリティ刑務所での実地調査
首都ナイロビのカミティ最高セキュリティ刑務所と、沿岸部にあるケニア第2の都市モンバサのシモラテワ最高セキュリティ刑務所にて、カウンセリング施設の建設や職業訓練施設の改築を実施するための実地調査を行いました。

受刑者の中には過激な思想を持っている方や、現状への不満からテロに走った方も少なくありません。私たちのケアカウンセリングでは、彼らと対話を行い、過激な思想・社会への不満を持つようになった背景・理由を尊重したうえで、若者・一市民・親などとしてのアイデンティティを再定義し、その感情を非暴力的な手段に転換していきます。しかし、刑務所内には受刑者が落ち着いて話をできる場所がないため、、新たに建設することを予定しています。

カミティ最高セキュリティ刑務所の刑務所長は私たちのプロジェクトに対して大変好意的で、彼自身、東京都府中市の刑務所にて1か月ほど刑務官向けの研修を受けた経験もあり、日本には大変感謝していると繰り返し伝えてくださいました。日本に対する信頼が、センシティブな領域において事業を円滑に進める上で武器になることを実感できる瞬間です。

▲テロ関連受刑者専用の収容エリア

カミティ刑務所では、トイレが各部屋内に設置されておらず共用のものしかありません。夜間は独房の鍵を閉められてしまうので、個室でバケツに用を足す必要があります。そのため非衛生的な環境であり、刑務所の国際基準から見ても非人道的であることから、刑務所長より設備改善のニーズが寄せられました。収容環境改善は、受刑者の過激化の防止にも繋がるため、来年以降トイレを各部屋に設置することを検討しています。

▲テロ関連受刑者の居房

モンバサのシモテワラ最高セキュリティ刑務所においても、同様のニーズが寄せられました。特にカミティ刑務所よりも人口密度が高いことから受刑者が不満を抱えやすく、また、過激な思想が蔓延しやすい環境となっていることは明らかであるため、シモテワラ刑務所においても設備改修の対応を進めていく予定です。

シモテワラの刑務所長からは「はるか遠い日本からこんな珍しい分野に支援してくれるのはなぜか?」と度々驚かれつつも、本当にありがたいことだと繰り返しお話しいただくとともに、国際的課題であるテロリズムの解決に向けて是非協力していこうと激励の言葉をいただきました。

昨年政権が変わった影響や、国家の安全保障に関わる極めてセンシティブな対象へのアプローチであることから、刑務所訪問の承認が下りるまで実に1年以上かかってしまいましたが、実際に現場に赴き、関係各所へ挨拶するとともに詳細のニーズを擦り合わせることができ、非常に有意義な時間となりました。

保護局との連携強化
また、刑務所での実地調査と平行して、保護局との連携強化も実施しています。「刑務所でのリハビリを担う矯正局」と「受刑者の釈放後の社会復帰を支援する保護局」は、それぞれ支援対象者に関する知見や観点、考え方が異なります。そこで、刑務所でのリハビリ支援のみならず社会復帰後の支援を行ってきた私たちが、保護局と矯正局との間の溝を埋めつつ、双方の協力を促すことで、対象者への包括的なサポート体制を整えることを狙っています。

▲保護局をはじめとした社会復帰に関わるアクターとの会議の様子

ケニアでは、過激化リスクが高いエリアでテロに関わった人が捕まって刑務所に収容され、釈放された後には故郷へと戻り、そこで再び過激化してしまうというサイクルが残念ながら存在します。

だからこそ、一度過激化した人が故郷に戻った際には、彼らが「なぜ過激化し、テロに関わってしまったのか」という経験を活かし、むしろその地域の啓蒙啓発に繋げることが理想です。彼らの経験をもとに、その地域の過激化防止に貢献し、まさに平和の担い手として社会復帰していくことを後押しし、好循環を生みだす必要があるのです。

日々、ソマリアやイエメン、そして日本国内での活動経験をもとに、問題解決に向けた本質的なアプローチを考案できるのが私たちの強みです。

今後の取り組みについて
今後、刑務所においては、設備建設などの支援で目に見える成果を残しつつ、受刑者へのケアカウンセリングや刑務官への研修も実施しながら、包括的に社会復帰支援体制を強化していきます。また、保護局との連携強化はもちろん、現地NGOなど多くの関係者を巻き込みながら取り組みを進めてまいります。

受刑者の社会復帰に向けた取り組みは長期的かつ多角的なアプローチが必要であるため、大変多くのコストがかかるのが実情ですが、テロや紛争のない世界の実現に向けて、ソマリアの隣国であるケニアにおいても取り組みを加速させてまいります。今後も温かなご支援をどうぞよろしくお願いいたします。




私たち独自の活動は、毎月1500円から活動にご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様からのご支援があってこそ成り立っています。

しかし、暴力に絡め取られた若者たちをより多く救い出し、新たな道を力強く支え、紛争の解決に繋げるためには、まだまだ力不足です。

皆様とともに、この日本からテロ・紛争の解決に挑戦していくことができれば大変幸甚です。

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