活動報告
【ソマリア事業部】元”テロ組織”戦闘員ボロ〜夢は残された家族と暮らすこと〜

私たちが受け入れてきた元テロ組織メンバーであるボロのストーリーと彼の夢をお届けします。

ボロは、15歳の時にアル・シャバーブに加入しました。出身は、私たちが運営するリハビリテーションセンターのある中部ではなく南部ゲド州で、彼の母親は11歳の時に病気で亡くなっていたため、父親と兄弟とともに暮らしていました。

彼の地元もアル・シャバーブの影響を強く受けており、実際に政府軍との戦闘が続いていた場所だったため、ある日、紛争の中で大切な友人を失いました。そうした悲しい現状を変えることを望み、また、お金にも困っていた上に妻が得られることから、アル・シャバーブに加入することを決めました。


▲アル・シャバーブからの投降兵ボロ(当時20歳)

最初の3ヶ月間は、アル・シャバーブの思想などを含む教育プログラムに加えて軍事訓練を受けました。厳しいトレーニングを乗り越えた後には、100人規模の兵隊の1人として中部ガルムドゥグ州に派遣されました。特に大規模の戦闘がある際には、指揮官からタブレット状の薬物を渡され、それによって恐怖心を和らげながら戦っていたと振り返ります。

しかし、イスラーム教徒を守る戦いを掲げているにも関わらず同じソマリア人同士で戦う状況を疑問に思ったことから、組織を抜け出すことを考え始めました。様々なリスクがあるため不安もありましたが、すでに投降していた彼の友人が手ほどきをしてくれたことに加え、私たちが政府と協働で実施している電話相談窓口とも連携し、アル・シャバーブの監視の目が緩くなるラマダーン(日本では断食月として知られる)の期間が終わった日の夜に逃げ出すことに成功しました。

投降兵リハビリセンターでは同じくアルシャバーブにいた頃の同期との再会を喜び、多くの仲間とともに暮らしながら無事に12か月のプログラムを修了しました。彼にとって私たちのリハビリテーション施設は非常に過ごしやすいもので、スタッフの優しさや、衣食住が安全な場所で確保できていることの喜びを感じていると笑顔で語ってくれています。


▲2022年7月16日に実施したスタディツアーの様子


▲永井によるケアカウンセリングの様子


▲ソマリ語と英語の授業を受ける様子

彼の直近の目標は、残された家族とともに暮らすことです。リハビリセンターで畑作業を好んでいた彼は、できれば故郷に帰って農業に携わりたいとも語っていましたが、いまだにアルシャバーブによる支配が続いているため、現在は中部の都市ガルカイヨで投降兵仲間とともに暮らしています。

ボロのようにテロ組織に加入してしまった若者が1人でも多く武器を置き、社会へ復帰していけるよう、これからも精一杯活動してまいります。どうか引き続き温かなご支援のほど何卒よろしくお願いいたします。




政府の意向に左右されない私たち独自の活動は、毎月1500円から活動にご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様からのご支援があってこそ成り立っています。

皆様とともに、この日本からテロ・紛争の解決に挑戦していくことができれば大変幸甚です。

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