活動報告
【インドネシア事業部】刑務官・保護観察官への研修/刑務所での新規事業開始にむけた調整

インドネシアは現在紛争中ではないものの、テロ組織が水面下で活動しており、テロの脅威が存在しています。2010年頃から、テロ組織が現地政府や警察当局による摘発を受け、勢力は縮小した一方、いまだにモスクや学校、SNSなどでリクルート活動が行われ、若者が過激な思想を持ってしまうケースがあります。また、刑務所からの釈放後に、地域住民から「元テロリスト」として差別を受け、社会から孤立することで、再びテロ組織に加担してしまう事例も報告されています。

このような背景から、私たちは、若者の過激化を防ぐための啓蒙・啓発活動や、刑務所内の受刑者や出所後のいわゆる元テロリストの方を対象に、彼らが過激な思想から抜け出し、社会へ復帰するための支援を包括的に行っています。

今回は、こうした活動の一環で実施した、テロに加担した受刑者への支援を担当する刑務官・保護観察官に対する研修、最高セキュリティ刑務所での新規事業開始に向けた調整、また、国際規範の制定に向けて実施している武装勢力に関わった経験を持つ若者へのインタビューについてご報告いたします。


1. 刑務官・保護観察官の対話スキル向上に向けた能力強化研修
インドネシア中部ジャワ州にあるヌサカンバンガン島にて、受刑者の矯正・更生支援を担当する刑務官・保護観察官計44名に対し、受刑者とのカウンセリング時に必要な対話スキルの向上を目的とした研修を行いました。

刑務所内では、受刑者が、政府と関係のある刑務官・保護観察官に対して不満や憎しみを募らせ、カウンセリングに必要な関係構築や対話が行われていないことが課題となっていました。適切なカウンセリングを実施できないために、受刑者たちが過激な思想から抜け出すことがより困難になってしまうこともあり、対話スキルの改善が必要な状況でした。

そのため、私たちは、ソマリアなどの紛争地で実践している、受刑者へのケアを重視したカウンセリングの方法や、その実践に必要な対話スキルについて刑務官に伝えました。具体的なカウンセリングでは、受刑者がテロ組織に加担するに至った背景・想いを尊重し、それを「受け入れる」ことで関係性を築くことが重要になります。そして、対話を通じて彼らのアイデンティティを再定義し、その想いや感情の非暴力的な手段での実現を目指すことを共有しました。

この取り組みを通して、受刑者と刑務官・保護観察官の関係構築と対話を促し、適切なカウンセリングを行うことで、受刑者が暴力に頼るのではなく、平和の担い手として社会に復帰していく環境作りを目指してまいります。

▲ハイブリッドで行った、
刑務官・保護観察官への対話力向上に関する研修


2. 最高セキュリティ刑務所での新規取り組み開始に向けた協議
国際NGOなどによる介入が困難である、ハイリスクな受刑者にアクセスし、彼らへの支援を拡大させるため、最高セキュリティ刑務所の担当者や現地政府と協議を行いました。

現在、刑務所内でハイリスクな受刑者が関わりを持つことができるのは刑務官と保護観察官に限られています。そのため、彼らが信頼できる相手やコミュニティは周りになく、彼らが触れられる価値観も限定的であり、過激な思想をより強めてしまいかねない状況にあります。それを改善すべく、私たちは次の2つの新しい活動を提案し、実施に関して刑務所側と口頭で合意することができました。

・受刑者と日常的なコミュニケーションをとるパートナーになるための「交換日記・手紙」の導入
・受刑者の内省と他者理解を促し、彼らの内発的な変化を生み出すことを目指す「作文指導」の実施


これらの活動を通じて、受刑者たちが多様な価値観や異なる他者の考えに触れ、第三者である日本人と関係を構築する中で、自身の考え方や内面に向き合い、アイデンティティを見つめ直すきっかけとなり得る点について、刑務所側から高い評価をいただきました。テロ組織に加担してしまった人々が、平和の担い手として自ら変化するための仕組みを作るべく、本取り組みを加速させてまいります。

▲新規事業開始に向けた会議の様子

3. 今後の展望
今後は最高刑務所を始めとする現地関係機関との連携をさらに強め、刑務所内にて若者を中心とする受刑者に対して、私たちがこれまで培ってきたアプローチに加えて、交換日記・作文指導などの新たな取り組みを展開し、彼らが暴力に頼るのではなく平和の担い手として生きていけるよう支援してまいります。

テロ・紛争のない世界の実現に向けて、どうか引き続き温かなご支援・ご声援をいただけますと幸いです。




私たち独自の活動は、毎月1500円から活動にご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様からのご支援があってこそ成り立っています。しかし、暴力に絡め取られた若者たちをより多く救い出し、新たな道を力強く支え、紛争の解決に繋げるためには、まだまだ多くの力が必要です。

皆様とともに、この日本からテロ・紛争の解決に挑戦していくことができれば大変幸甚です。

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