活動報告
【ソマリア事業部】現地の情報省と共同で開催した対話フォーラムについて

ソマリア事業部では、いわゆるテロ組織アル・シャバーブにいる若者が武器を置き、社会に復帰するための取り組みを行っています。また、ソマリアの一般社会がテロ組織やテロリストについての理解を深めることも重要であるため、私たちはこれまで、地域コミュニティと元テロリストとの対話の機会を創るとともに一般社会への啓蒙・啓発などを行ってきました。

今回はそうした一般社会を巻き込んだ取り組みの一環として、ソマリア政府の情報省と共同で開催した対話フォーラムの模様をお伝えします。

1. ソマリアにおける対話フォーラムの開催背景・目的
7月および9月に、ソマリアの首都モガディシュにおいて、ソマリア政府の情報省と共同で対話フォーラムを開催し、政府関係者・治安当局・宗教指導者・地域コミュニティのリーダーや一般市民など様々な関係者に参加いただきました。

対話フォーラムの目的の1つは、関係者同士の相互理解の促進や協力体制の構築です。ソマリアの地域コミュニティの中には、紛争やテロが続く中でアル・シャバーブだけでなく政府や警察・軍などに対する不信感を抱えている方も多くいます。現地の様々な関係者同士が社会の安定や平和の実現に向けてすべきことの理解を深め、互いの信頼や協力を築いていく努力が必要です。

また、対話フォーラムでは、若者のアル・シャバーブへの加入を未然に防ぐために啓蒙・啓発することも目的としています。アル・シャバーブの支配地域に住む人々は、過激な思想や宣伝に触れる機会が多く、偏った思想しか知らない人も少なくありません。また、支配地域に住んでいない人々については、組織への勧誘の手口についてよく理解できていないケースもあります。それにより、若者がテロ組織から勧誘を受けたときに組織に加入しやすくなってしまうのです。そのため、今回のような対話フォーラムやメディア等を通じて、アル・シャバーブが発信する過激な思想だけではなく、暴力に頼らない生き方や手段があることを知り、後者に転換していくことが重要です。

2. 対話フォーラムにおける参加者の声
対話フォーラムには、情報省の大臣や、実際にアル・シャバーブに父親を殺されてしまった若者を含め様々な関係者が参加し、テロの問題やソマリアの平和に向けた活発な対話がなされました。以下では、7月の対話フォーラム参加者の声をいくつかご紹介します。

情報省大臣 ※私たちと本フォーラムを共催:
「アル・シャバーブによるテロの問題を解決し、ソマリアにおける平和と安全を実現するには、政府や地域コミュニティの人々が互いに手を取り合いながら宗教的・社会的な問題をどのように解決していけるかを考えることが重要です。それぞれの立場ですべきことを共に考えて行動していきましょう」

警察庁副長官:
「アル・シャバーブと政府軍などの間で続く紛争の中で、アル・シャバーブの支配から解放された地域において、警察は地域コミュニティの人々の保護や信頼関係構築のために積極的に動いています。しかし、一般市民は、政府軍や警察に対する懐疑心・不信感も強く、なかなか信頼関係を築いていくことが難しい現状があります」

一般市民(若者):
「父親がアル・シャバーブのテロ攻撃に巻き込まれて亡くなってしまいました。その時は、自分の魂が死んでしまったように感じました。苦しくて悲しい経験をしたけれど、だからこそテロの問題を解決しなければいけないと強く思います。恐怖もありますが、勇気を出してみんなで力を合わせて話し合っていけることを願っていますし、行動していくべきです」

まさに参加者が語るように、テロ・紛争を解決するには、政府や警察のみならず、一般社会をも巻き込み、ソマリア全体が力を合わせることが重要です。そのことを多様な関係者とまず共有することができたのは、テロ・紛争解決の実現に向けて非常に有意義でした。

▲対話フォーラムにて、登壇者の方が話している様子。

さらに9月の対話フォーラムでは、元アル・シャバーブ高官で、現在は政府の恩赦を受けてソマリア国家テロ対策センターの副センター長を務めている方も参加し、テロ対策センターの取り組みについて紹介する場面もありました。かつてテロ組織の重要なポジションにいた方が、平和の担い手として社会に向けて発信する姿は、一般社会の認識を変えるきっかけの1つとして大変重要なものとなりました。

▲元アル・シャバーブ高官で、
現在は政府の恩赦を受けてソマリア国家テロ対策センターの副センター長を務めている方。


3. 代表・永井の言葉
対話フォーラムでは、当法人の代表・永井もスピーチをしました。

永井のスピーチ内容(一部抜粋):
アル・シャバーブやテロに関する話を公の場で話すのはとてもセンシティブにも関わらず、多くの方々に集まっていただいたことについて心からリスペクトしています(※アル・シャバーブに対してネガティブな発言をし、それがアル・シャバーブに知れ渡ると、脅迫や命の危険にさらされかねません)。ソマリアにおける平和の実現は、たった1人や1つの組織で成しえるものではなく、1人1人の想いや行動が積み重なって成しえるものだと思っています。だからこそ、ソマリアの市民であるあなた方1人1人が平和構築への鍵であると信じており、私たちは皆様を全力でサポートしていきます。

また、ソマリアの平和に対する考え方は多種多様であり、皆さんの立場によって異なるかと思います。その中で、「どのようにすれば平和を築いていくことができるのか」を共に考えられるような協力体制を築いていければと考えております。

今後も情報省と協力して皆さんの意思と努力を支えてまいります。今日ここで、様々な立場から平和に向けて積極的に語り合えたことをとても光栄に思います。

▲対話フォーラムにて、永井によるスピーチの場面。

4. 今後の展望
今回の対話フォーラムでは、多くの方々に参加していただき、ソマリアの平和に向けて大変有意義な議論をすることができました。今後はより多くの方々を巻き込むべく、オンラインでの対話フォーラム開催を含め、様々なアプローチ方法を検討しています。

引き続き、アル・シャバーブにいる若者が武器を置き、社会に復帰するための取り組みを継続・拡大していくとともに、こうした一般社会を巻き込んだ取り組みを通じてソマリア社会全体が平和に向かって歩み続けられるよう、尽力していく所存です。今後とも温かなご声援をどうかよろしくお願いいたします。




こうしたテロ・紛争解決に向けた取り組みは、毎月1,500円から活動にご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様のご寄付によって成り立っています。私たちの活動をさらに拡大し、テロ・紛争のない世界を実現するには、まだまだ多くの方に賛同いただくことが必要です。

どうかこの機会に、私たちとともにアンバサダーとして歩んでいただけたら幸いです。

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