活動報告
【ソマリア事業部】大干ばつ緊急支援プロジェクト及びテロ・紛争の解決に向けた活動の進捗

大干ばつ緊急支援プロジェクトの進捗
ソマリアでは主に、いわゆるテロ組織アル・シャバーブからの逮捕者や投降兵の脱過激化・社会復帰支援に加え、アル・シャバーブからの投降(脱退)を促す取り組みなどを行なっていますが、2022年8月からはソマリア中部にて、大干ばつを受けた緊急支援を展開しています。

緊急支援プロジェクトは、主に次の2つの活動で構成されています。

① 今まさに危機に直面している命を救うための緊急物資(食糧、水、医薬品等)の提供、緊急治療、衛生・栄養面での啓発などを含む支援
② 若者が暴力に頼らずに生きていくための支援の強化


それぞれの支援状況についてお伝えします。

①緊急物資の提供、緊急治療、衛生・栄養面での啓発などを含む支援
これまでの期間で合計約1万人の方々に対して、食糧、水、医薬品を届けるとともに、破傷風やコレラなどの感染症予防や近隣の医療機関に関する啓発プログラムを実施することができました。


▲啓蒙・啓発プログラムの様子

支援対象としているのは、ソマリア中部におけるアル・シャバーブの支配地域から40kmほどの場所に新設された国内避難民キャンプ合計10か所です。同キャンプでは、干ばつの影響だけでなくアル・シャバーブによる脅威から逃れてきた人々が急増しています。

ソマリア中部は飢饉やテロのリスクが非常に高いにも関わらず、南部に比べて取り組みが不足しています。また、特に同キャンプは新設されたばかりで支援が十分に届いていないことから、支援対象としました。中でも、乳幼児・5歳未満の子どもや、妊産婦・授乳中の女性など脆弱な立場に置かれた方々に優先的に支援を届けています。


これまで合計5300人に対して、1カ月分の米10kg・豆10kg・栄養価の高い粉ミルク2.5kg・料理用油3リットルを提供しました。これらは、栄養補給の面で特に不足しているためです。加えて、清潔な水にアクセスできず下痢などの病気や感染症の罹患が重大な問題となっているキャンプに対しては、給水車を用いて安全な飲料水・生活用水を届けました。また、子どもたちの中には栄養失調によって歩けなくなっている子もいるため、医薬品の提供に加えて、医療機関との連携のもと緊急治療も実施しています。

こうした支援の実施に加え、国連をはじめとしたさまざまな援助機関が国際社会に支援を呼びかけていますが、残念ながらこのままでは飢饉(famine)が発生するとの予測が2022年9月5日に正式に発表されてしまいました。


前回の飢饉が発生した2011年には、およそ26万人以上が亡くなりました。現在は飢饉の一歩手前の段階ではありますが、すでに多くの命が失われている状況です。


なお、世界全体で見ると、直近の飢饉は2017年に南スーダン、2011-12年にソマリアで発生しました。ソマリアは10年ぶり2度目の飢饉に見舞われようとしています。

②若者が暴力に頼らずに生きていくための支援の強化
―なぜ緊急対応と紛争解決を組み合わせるのか―
ソマリアばかりが何度も飢饉に直面する背景には、同国におけるテロ・紛争の問題があります。実際、隣国のエチオピアやケニアでも同じように干ばつは起きていますが、飢饉にまでは至っていません。違いは、大規模な紛争が発生しているかどうかです。

そのためソマリアにおいては、緊急時の人道支援も重要である一方、それだけに頼ってしまえば、再び干ばつが発生した際に同じことが繰り返されてしまいます。だからこそ、紛争解決に向けた取り組みも同時に展開することで、問題に対して包括的にアプローチする必要があると私たちは考えています。

―テロ・紛争解決に向けた取り組みの進捗―
まず、緊急支援プロジェクトの実施場所であるソマリア中部では、いわゆるテロ組織アル・シャバーブにいる若者が組織を抜け出す支援に加え、彼らが社会復帰するための拠点としてリハビリセンターの運営を行なっています。

組織を抜け出す支援については、現地の軍と協働し投降を呼びかけるリーフレットを配布するとともに、フリーダイヤルの電話相談窓口を設置していますが、こうした支援の強化により、これまで累計で328名の若者が武器を置くことを実現できました。


▲新たに投降した3名の元アル・シャバーブ戦闘員

実際に最前線の現場で私たちのリーフレットは確実に届いており、それを見た若者たちからの問い合わせは絶えません。しかし、テロ組織の支配領域から投降相談の電話がかかってきてから安全な場所で保護するまでの道のりは険しく、組織に見つかれば報復される可能性もあることから、投降は文字通り命懸けです。

それでも、組織の中で苦しんでいる若者たちが武器を置ける環境を創ることで、紛争解決に大きく貢献することができることから、スタッフ一丸となってさまざまな側面から彼らの投降をサポートしています。

また、私たちが州政府と協働してソマリア中部で独自に運営している投降兵リハビリセンターにおいては、これまでの基礎教育やケアカウンセリングに加え、新たにイスラーム教の再教育ゼミと職業訓練を本格的に開始しました。


▲大工の職業訓練の様子

本リハビリ施設は、投降兵の受け入れだけでなく、地域コミュニティとの接合点としての役割も果たしており、地域の有力者である長老たちや若者の代表者たちなども交えたセッションなどを行うことで、若者の過激化防止や、元テロ組織メンバーとコミュニティとの和解醸成も狙いとしています。

およそ3年間まともに雨が降っていないことによりさまざまな危機が発生している中だからこそ、これまで以上に人々が武器を取ってしまうことを防ぐとともに、同じくテロ組織の中で苦しんでいる人々がやり直す道を選べるよう、取り残された人々へのリーチを広げています。

干ばつによる影響は今後も長く続くことから、緊急対応に加え、紛争解決や教育に関する取り組みも合わせることで、複合的に問題解決に臨んでいく所存です。




政府の意向に左右されない私たち独自の活動は、毎月1500円から活動にご参加いただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様からのご支援があってこそ成り立っています。

皆様とともに、この日本からテロ・紛争の解決に挑戦していくことができれば大変幸甚です。

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