標記に関して、2022年度に公益財団法人JKA様からご支援いただいた国内における非行少年、少女への相談支援事業が完了したことをお知らせいたします。
当事業では、少年院出院後、保護観察終了後の少年およびそのご家族、また司法手続き中にある者に対して、情報提供と社会定着のための相談支援を行いました。
現在の日本社会では、一度犯罪行為に及んだ少年が、必要な支援に繋がることが出来ずに犯罪を繰り返してしまう状況があります。彼らの多くは障害や虐待経験、貧困等のあらゆる生きづらさを抱えており、それに非行や犯罪の問題が加わることにより、さらに問題が複雑化しています。彼らは更生保護領域、障害や生活困窮等、それぞれの制度支援だけでは対応が困難なケースが多く、適切な支援を受けづらい状況に置かれています。
このような課題意識から、支援の間を繋ぎ適切な支援に接続し、包括的かつ長期的に関わるための相談支援事業を実施しました。
2022年度には、2つの少年院と4つの保護観察所、少年鑑別所等の関係機関と連携し、13名の少年や若者、9名のご家族や雇用主等に支援を実施しました。彼らは、愛着の問題や知的や精神障がい、生活困窮など様々な生きづらさを抱えており、制度サービスだけでは対応が難しいケースが多くありました。具体的には、日頃の細かなコミュニケーションから市役所等の窓口やハローワークへの同行、通院同行、社会資源の接続や、警察からの身元引受等の緊急対応を行いました。実際に支援を行った中で、引っ越しを行い生活環境を変えて安定に繋がった少年、自殺願望が強かったが精神的に安定し、就労にむけて事業所に通うことができるようになった少年、暴走族から抜け出して就労した少年等がおり、彼らの生活をよりよく変化させることができました。
また、当領域に関する認知拡大のための啓発啓蒙活動も実施し、3回のオンラインセミナーの開催で120名を超える方に参加いただくことができました。
少年少女への直接支援から社会への啓発啓蒙活動まで、このような取り組みが広がることで、非行や犯罪に繋がる状況にある子どもや若者の抱える生きづらさ、支援の必要性について明らかにし、その関わりや支援ノウハウを社会に浸透させていくことで、彼らが犯罪に繋がることなく安心して生活する社会を創ることができると考えています。
国内においても、深刻なニーズを抱えているものの、様々な理由から取り残されてしまいがちな人たちに対して、今後も積極的に支援を実施してまいります。
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