[2026年1月]
日頃より温かいご支援、誠にありがとうございます。
ニュースレター担当の髙梨です。
「メンバーの声」では、アクセプト・インターナショナル(以下、アクセプト)のメンバーのご紹介をしております。
共に問題解決を目指す「同志」であるアンバサダーの皆さまに当法人のメンバーの人となりを知っていただくことで、より身近に感じていただくとともに、内部でどのような活動をしているのかも知っていただけたら幸いです。
今回は、国内事業局長と事務局長を担当している吉野京子(よしの きょうこ)さんにお話を伺いました。
1.アクセプトでの業務について
髙梨:
お忙しいところ、インタビューを受けていただきありがとうございます。早速ですが、まずはアクセプトでの業務について教えていただけますか?
吉野:
現在は国内事業局長と事務局長を兼務しています。
今回は国内事業局にある2つの部署のうち、在日外国人支援のお話をしますね。活動開始当初はコロナ禍だったため定住している方々からの相談が主でしたが、2023年頃から難民認定申請中の方からの相談が増え、現在では相談者のほとんどがそうした方々です。
難民認定申請中で在留資格が不安定な間は支援や生活情報を得ることが難しく、言葉や文化、宗教などの壁も重なり、本当に孤独なんです。
部屋を借りることは難しいためホームレスに陥りやすく、そういう方たちを中心に民間の助成金をもとに食料支援を行ったり、必要に応じてシェルターの提供や病院などへの同行支援、就労許可を得られることを見据え日本語学習指導をしたり、他にも彼らの背景や需要に合わせて支援を提供しています。また、子どもが学校に通えるようになった場合、学校や行政と連携をしながらの支援にも取り組んでいます。
また、本国や家族などの状況にもよりますが、日本で暮らすよりも帰国した方が良いと判断されるケースもあるため、そうした場合は帰国のための情報提供や相談支援も行っています。
※難民認定申請者に関する補足
私たちのもとに相談に訪れる難民認定申請中の方々は、母国での政治的な迫害や紛争などから逃れてきた方が多く、私たちの海外事業とも密接に関わっています。一人一人入国までの経緯を伺っていると、渡航先として自身で日本を選んでいるのではなく、命を守るため最も速く渡航がかなう国がたまたま日本だった、という事例を多く耳にします。また、ブローカーなどの仲介者に行き先を決められたと話す方も多く、(彼らにとっては)法外な仲介料を支払うために家や家畜を売ったり、借金をして費用を工面するなど、決して裕福な人達が日本に来ているわけではないのが現実です。中には非識字者もおり、全てを失ったうえに多重債務状態の人もいますが、それでも命が助かり平和な日本でなんとか再起しようと努力している人がいるのもまた事実です。
髙梨:
日本で難民認定申請をされる方は、どこの国の方が多いのですか?
吉野:
入管庁の発表によると、上位国はタイやスリランカなどアジアの国となっていますが、アクセプトに相談に来る方々は70%以上がアフリカからで、20%が中東、いずれも単身男性が圧倒的に多いです。
髙梨:
難民と聞くと、住んでいる地域が戦争などで危険だから、安全な場所を求めてやってくるというイメージがあったので、最近だと中東の方が多いのかなと思っていました。
吉野:
そうですね。中東から日本に逃げてきている人もいますが、アクセプトへの相談者はアフリカからの方が多いです。また先述の通り、日本に来たくて来たと言う人は意外と少なく、出国するまでの経緯の中で日本へ行くことになった、と話す方が多いです。
髙梨:
ありがとうございます。とても勉強になりました。
そんな吉野さんがアクセプトに加入したきっかけを教えていただけますか。
2.バックグラウンド/加入したきっかけ
吉野:
前職は日本の難民政策実施団体での難民支援で、15年ほど難民支援に従事していました。特に難民認定申請者を対象にした支援現場にいた時期が長く、日々、どの国のどんな人が何人来訪するのかわからない刺激的な現場でした。ここでの経験、知識、出会った人々は今でも私の財産です。
そんな充実した職場でしたが、一旦リセットしようと思い退職、悠々自適な生活を2か月ほど送っていました。そんなある日、ヒマつぶしにネットでとあるプラットフォームを眺めていたところ、あいうえお順でもアルファベット順でも一番上にあった団体が目に止まりました。人道支援や国際協力団体の名称は、15年の前職の中でほとんど把握していると思っていた私が聞いたことのない団体。「アクセプト・インターナショナルってなんだ??」となり早速検索。
「うさんくさ!!」&「あ~学生のサークルか~」というのが第一印象
いつもならそれで終わりですが、その時はとにかくヒマだったのでオンラインイベントに参加してみることにしました。
そして当初の予想は覆りました。もうですね、驚愕というか衝撃というか、目指していることとそれに向かう理屈が非常に明確で実現可能、そしてそのために既に実績を出しているということに、「おぉ~、これは相当すごいぞ・・・」という感想に変わりました。このイベントをきっかけにボランティアとして参画し、3か月後には職員になっていました。
▲カンボジア旅行中
髙梨:
ちなみに、前職の団体に入ったきっかけはどんな流れだったんですか。
吉野:
長期間海外で生活する中で、出産を経験し、日本人を含め様々な国籍の人に出会いました。出会った人の中には、自分の国を愛し誇りを持っている人もいれば、アイデンティティクライシスに陥っているような人もいて、それを見て自分の子どもにはきちんと日本語を話せるようになってほしい、日本の文化や伝統を理解できる子になってほしいと思い、帰国を決めました。
帰国後、ウェブで「難民相談員募集」という求人を見つけました。オーストラリアで難民支援をした経験があり、イギリスとオーストラリアのソーシャルワーカーの資格も持っていたので、それが活かせるのではないかと思い応募したところ入職が決まりました。
髙梨:
長い間難民支援に関わってこられたんですね。
吉野:
そう言うと難民支援が好きだと思われるかもしれませんが、特別な思い入れがあったわけではありません。オーストラリアで暮らしていたときに、たまたま家の近くに難民支援施設があって、スーダンからの難民がまとまって入国していた時期だったんですね、で、ソーシャルワーカーの資格が役に立つかなと思って関わったのが難民支援の最初です。
髙梨:
色々な巡り合わせがあったんですね。では次に、アクセプトの好きなところ、自慢できるところはありますか?
3.アクセプトの好きなところ・自慢できるところ
吉野:
自由と責任のバランスがちょうどいいところと、全員が一生懸命なところです。全員が本気でプロ意識を持っていて、それぞれ担当業務に対する責任感が非常に強いです。だからこそ、世界でも珍しい、そして難しい仕事に挑戦できるのだと思います。
その中で、私は最年長の職員なんです。アクセプトに入るまでは、年齢を重ねるということは経験と知識が蓄積されて、若い人よりも仕事ができるし、新しいものを作れると思い込んでいて、若い人は知識も経験もないから限界がある、と思っていたんです。それを180度ひっくり返してくれたのがアクセプトでした。
メンバーの情熱とフットワークの軽さ、こだわりながらも臨機応変な発想を持ち、何よりタフ、明るい。時々危なっかしいところもありますが、そういう時は私の人生経験が役立つというか、出番というか。
▲アクセプトのメンバーとのウェルカムランチ
髙梨:
吉野さんがいてくださるからこそ、柔軟に勢いよく動ける部分もあるのではないですか?
吉野:
私はここではそういう役割なんだと思っています。いかに職員が気持ちよく、安心して自分を発揮できるか。これからどんどん世界に広がっていくアクセプトを裏方として支えることが使命だと思っています。
4.アクセプトで苦労していること、学んだこと
髙梨:
では、アクセプトで苦労していること、もしくは苦労から学んだことはありますか?
吉野:
大きな苦労はない、というと怒られそうですがデジタル関係は手こずっています。PCやスマホ操作はもっぱらコミュニケーション局長の山﨑さんや代表に手伝ってもらっています・・・。
髙梨:
これまでの経験やキャリアと違う部分もあったと思いますが、印象に残っていることはありますか?
吉野:
何と言っても若者のパワー、その突破力ですね。皆、芯がしっかりしていて一生懸命で真面目、使命感を持っている。そしてブレない、すごいと思います。
▲大の阪神ファン。支援者の方のつてで、木浪選手のサインを頂いた際の様子。
5.アクセプトでの活動のやりがい
髙梨:
アクセプトでの活動のやりがいは、どんなところに感じていらっしゃいますか?
吉野:
自分が思い描いていた平和な世界が実現できる団体だと思っています。「これはできないよね、無理だよね」ではなく、「やったらできるかも」と思える団体なんです。ベテラン経験者の”現場での常識”を簡単にひっくり返し、どんどん前進できる、そんなところにやりがいを感じます。
難民認定申請者の支援においては、「この人は日本で何をしたいのか、何ができるのか」を一緒に考え、対話を重ねその人の可能性が見えた瞬間は、本当に嬉しいです。
相談者の多くは、本国で真面目に仕事をしたり、手に職を持っていたり夢や希望があったりと、みんなそれぞれ可能性を持っているんです。その可能性を日本で発揮できるようにお手伝いしている時が、やりがいですね。
髙梨:
なるほど、業務的に考えれば、最低限命が守られればいい、という考え方もあるかもしれませんが、吉野さんの一人ひとりの可能性に目を向けていらっしゃるところが素敵ですね。一人ひとりと向き合われているからこそ、見えてくることですよね。
吉野:
可能性を見つけて引き出すのに最も重要なのは「対話」で、相手との信頼関係だと思っています。なので、私は相手に寄り添う優しい言葉だけではなく、叱咤激励、時にはケンカもして人間臭いところを全面に出しています。対等でなければいけないと思っています、結局は人間対人間ですから。
実際に、今通訳としてアクセプトで働いている元相談者が二人いますが、彼らはもともとホームレスでした。そういう変化を見ると、やっぱり嬉しいですね。
5.プライベートなお話
髙梨:
休みの日は何をして過ごすことが多いですか?
吉野:
私は自分の「知りたい!」があると、ものすごく集中して追及するタイプで、時間がある時は国立国会図書館に行っています。国会議事堂の横にある、とても素晴らしい施設です。日本国内のほぼすべての書籍が収蔵されていると言ってもいいくらいで、昔の浮世絵や古地図、偉人自筆の書や漫画、地方の広報誌などなど数えきれないほどの種類の書籍があるので、知りたいことはもっぱらここで調べます。知的好奇心を満たすのが楽しいんです。
歴史上の人物や出来事を調べ始めると止まらなくなって、その人物のゆかりの土地まで行ってしまいます。九州や関西まで、1泊2日の弾丸で行ったことも何度もあります。
6.今後の目標
髙梨:
今後の目標も教えていただけますか?
吉野:
目標は、アクセプトをどんどん大きくしていくこと。現在の活動地だけではなく、情勢の不安定な国を中心にアクセプトの支部を置きたいです。そして、アクセプトイズムを理解するその国の若者を職員として配置したい。なぜなら、その国を立て直すのは、その国の若者だから。
今うちに来ている相談者の中には、日本で困窮した生活を送りながらも腐らずに志高く、未来に希望を持っている若者が何人もいるんです。そして彼らは、国が安定したら国に帰りたいと考えています。なので、そういう若者の可能性を引き出し、祖国で平和構築のために活躍できるような人を育てたいです。
髙梨:
アクセプトの海外と国内の活動が繋がっていくイメージが沸きました。海外と国内で活動を行っているからこそ生まれる可能性ですね。
吉野:
アクセプトでの難民支援は、私のこれまでの知見やコネクションがとても役立っていますし、年齢を重ね人生経験を積んだ私だからこそできるアプローチがあります。若者が中心のアクセプトの中では強みかなと思います。
髙梨:
育てる」というのもキーワードかもしれませんね。これまでの経験や、子育ての経験も含めて、吉野さんだからこそできることなのかなと思います。
▲在日外国人支援事業部のメンバーとともに
6.アンバサダーの皆様へ一言
髙梨:
それでは最後に、アンバサダーの皆さんへのメッセージをいただけますか?
吉野:
いつも応援ありがとうございます。紛争自体は遠い国で起きていますが、ここ日本、皆さんの近くにも紛争や武装勢力から逃げて来た人達がいて、私たちと同じように暮らしています。そして祖国の復興を信じて異国日本で頑張っています。これからも皆さまの変わらぬご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
メンバーの声をお読みいただきありがとうございます。
各回のメンバーの声について、より皆さまのニーズに合ったものをお届けするためのアンケートを実施しております。所要時間は1~2分、全3~4問の簡単なアンケートとなっております。
ぜひご協力いただけると幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


