活動報告
【ソマリア事業部】イードを迎えたリハビリ施設とテロ組織からの投降状況

[2024年6月]

ソマリア事業部では、いわゆるテロ組織アル・シャバーブからの投降促進に加え、投降兵・逮捕者が脱過激化し、社会へ復帰するための取り組みを行っています。

今回は、ソマリア事業部よりリハビリテーション施設の近況、および投降に関する進捗をお届けします。


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1.イード・アル=アドハーを迎えたリハビリ施設
イスラム圏では、6月、日本で言うお正月のようなイード・アル=アドハー(以下、イード)を迎えました。イードは、イスラム教の神(アッラー)への信仰を示し、感謝を伝えるイスラム教にとって大切な行事の1つです。

イードでは、羊や牛、ラクダを神(アッラー)に捧げます。捧げられたお肉は、貧しい人々や親族、近隣の方々と分け合って食事をします。イードの精神は思いやりに溢れたものであり、人々との絆を深め、命の大切さを教えてくれるものです。日本では「犠牲祭」と訳されることから「怖い」などの間違った印象を持たれることもありますが、実は大変温かく賑やかなものなのです。

そんなイードを迎えたソマリアのリハビリ施設では、施設を共同運営している現地政府からヤギを寄付していただきました。リハビリプログラムを受けている若者達はヤギを解体し、温かく和やかに食事を共にしました。大切な行事の一つであるイードが、お互いの絆を深め、イスラム教徒としてのアイデンティティを再認識する良い機会となっています。

▲現地政府から寄付いただいたヤギとともにイードを楽しむ若者。

なお、かつて私たちのプログラムを卒業し、現在は料理のスキルを活かして同リハビリ施設のコックとして働いている(仮名)ムスタファが、今回の調理を担当しました。かつては憎しみの連鎖の中にいた彼が、現在はリハビリ施設で社会復帰を目指す若者たちのためにコックとして張り切っている姿は、私たちのパーパス「誰しもが平和の担い手となり、共に憎しみの連鎖をほどいていく」をまさに体現しています。

▲右から2人目の若者がムスタファ。
調理をしつつ、リハビリ施設の若者とともにイードを楽しんでいました。

今後も、若者が周りとの絆を深め、命の大切さを学び、自身のアイデンティティを見つめ直すことができるよう、イードのような機会を大切にしていけたらと考えております。そうして、1人でも多くの若者がムスタファのような平和の担い手になれるよう、リハビリ施設を運営してまいります。


2.投降状況の進捗
続いて、いわゆるテロ組織アル・シャバーブからの投降状況の進捗をお伝えします。

アル・シャバーブにいる若者は自由に話すこともできずにこき使われ、上官の命令のもと、死のリスクがある前線に駆り出され、多くの若者が命を落としています。そのため「テロ組織、ないしは憎しみの連鎖から逃れたい」と考えている若者は実は数多く存在しています。

そんな若者が実際にテロ組織から離脱するために、私たちは、紛争の最前線で投降に関する情報を広めるリーフレットの配布や、広範囲へのラジオ放送、そして電話相談窓口の運営を行ってきました。

これらの取り組みを通じて、テロ組織から抜け出したい若者にリーチし、これまで500名以上の離脱を実現しており、現地でも高く評価をいただいております。

そして、イードの期間はアル・シャバーブの監視の目も緩むこともあり、ソマリア中部にて新たに2名が投降することができました。140 kmほどの道のりを隠れながら逃げ、私たちや現地政府軍と合流することができました。

▲ソマリア中部にて投降した若者2名。

彼らはアル・シャバーブにおいて見廻り担当として税の徴収などを行っていました。アル・シャバーブは、支配地域において地域住民から税を徴収し、活動資金にしています。

投降した若者2名に話を聞くことができました。

「アル・シャバーブにいたが、組織の人間が何も罪を犯していない一般人に対して暴力をふるっているところを何度も見かけた。だから、組織を信じられなくなり、投降を決意したんだ」。

「でも、リハビリ施設までは遠く、ほとんど歩いてきたから本当に大変だった。しかも、地域住民に助けを求めることはできなかった。もし、地域住民がアル・シャバーブと繋がっていて、彼らに投降を密告されたらと思うと怖かったんだ」。

「アクセプトのリハビリ施設では、今まで受けられなかった教育や職業訓練の機会があると聞いた。これからは、そのプログラムを受けながら、新たな人生を歩むことを目標にして頑張っていきたい」。

なお、地域住民からアル・シャバーブに密告される可能性について言及されていますが、地域住民もアル・シャバーブから監視されています。投降兵の存在を知りながらもアル・シャバーブに伝えなかった場合、罰を受ける可能性があります。投降兵だけではなく、地域住民も必死に生き抜いているのです。

今回投降した若者2名が語る通り、、投降することは危険かつ過酷です。その中でも、平和に生きていくことを目指して必死に投降した彼らに対して、私たちも応えなければなりません。彼らが平和の担い手として社会へ復帰できるよう、覚悟を持ってリハビリプログラムを通して支援してまいります。

今後もより多くの皆さまとともに、彼らが平和の担い手として社会に復帰することを後押ししていけたらと願っています。皆様の温かなご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

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