活動内容
活動
アプローチ

平和の担い手を増やし
憎しみの連鎖をほどく

私たちは、国内外で憎しみの連鎖をほどくべく、テロや紛争の当事者を含め、平和の担い手を増やしていくための取り組みを実施しています。

分断された世界の中で、私たちは終わらない武力紛争や増え続ける難民に直面しています。その背景には「やられたら、やり返す」といった憎しみの連鎖があり、それが解決されない限り平和は訪れません。

私たちが対象とするのは、紛争地でテロ組織を離脱できずに苦しむ若者、人道危機に置かれた子どもや避難民、社会的排除に直面する人々など、あまねく苦難に直面している人々です。彼らが憎しみの連鎖といった負の連鎖から離脱できる場を創り、テロや紛争の当事者を含め平和の担い手を増やしていくことが、平和への循環を生み出すために必要です。

そのために、紛争の当事者への取り組みとしては、テロ組織などの武装勢力から抜け出す支援に加え、カウンセリングや教育、職業訓練などを通じた包括的な社会復帰支援を主に展開しています。地域社会に対しては、そうした当事者だった人々とともに、紛争の被害を受けた人々への緊急支援などを実施しています。また、よりグローバルな社会に向けた取り組みとして、彼らが平和の担い手になるために必要な国際規範を創るための働きかけを行っています。

憎しみの連鎖をほどき、平和への循環を生み出していく

主な活動地域

現在は、ソマリア、ケニア、インドネシア、イエメン、コロンビアなど、テロや武力紛争の影響を受ける現場、および日本の6カ国で主なプロジェクトを実施しています。

また、米国ニューヨークやスイスのジュネーブなどを拠点に、さまざまな理由から武器を持たざるを得なかった若者が平和の担い手となるために必要な国際規範の制定に向け、さまざまな働きかけを行っています。上記の国々に加え、南スーダン、フィリピン、レバノン、バングラデシュ、シエラレオネなどでは、紛争の当事者だった若者たちと密に協力・連携しています。

テロや紛争の当事者への取り組み例

熾烈な紛争地であるソマリアやイエメンに加えて、テロや紛争の影響を受けるケニア、インドネシア、コロンビアなどにおいて、テロ組織や武装勢力からの離脱した投降兵、刑務所で服役中の受刑者、戦争捕虜などを対象に、以下のような取り組みを実施しています。

  • 投降促進

    現地軍や地域コミュニティなどと連携し、テロ組織などの武装勢力にいる若者が組織を抜け出すための情報の拡散、投降の受付に加え、最前線での啓発・啓蒙活動などを行っています。

  • ケアカウンセリング

    当事者の抱えている問題を受け止め、平和的な手段を用いてそれを解決するために彼らが何をすべきか共に考えることで、新たな目標・アイデンティティを打ち立てることをサポートしています。

  • 職業訓練

    地域社会で需要のある職業スキルを獲得するための職業訓練を行い、彼らの収入創出を支援しています。また、トレーニングで得たスキルを、実際の生活の中でどのように活用するかについても彼らとともに考えます。

  • 宗教再教育

    彼らが教え込まれた考え方を真正面から否定するのではなく、社会との和解、罪と赦し、平和と非暴力などをテーマに議論することで、少しづつ彼らの理解を相対化し、多角的な視座や批判的思考力を培うことを目指しています。

アクセプト・インターナショナルのRPAモデル

上記のような当事者に対する取り組みは、独自に構築したRPAモデルに基づいています。

従来のように対象者を一方的に矯正するのではなく、同じ人間として一人一人と向き合い、彼ら自身が平和の担い手になるよう後押しするという、私たちの根幹となるアプローチが整理されています。

RPAモデルは、2020年のパリ平和フォーラムにて地球規模課題の解決策として選出されました。フランスのマクロン大統領が主導し、国連事務総長や各国首脳が集まる同フォーラムは、世界をよくする解決策を紹介し議論する大規模なイベントです。日本からの選出は史上初となります。

地域社会・国際社会への取り組み例

上記のような紛争の当事者への取り組みに加え、地域社会・国際社会への取り組みもさまざま行なっています。

  • 地域社会との和解セッション

    地域社会と元受刑者との相互理解を促進するため、地域社会のリーダーと元受刑者を招待し、和解セッションを月に1回開催しています。セッションでは、テロ組織に参加してしまった抜き差しならない背景や刑務所での生活について元受刑者に話してもらうとともに、地域の一員としてともに問題を議論することで、和解のための土壌を創っています。

  • 水・食糧・薬などの緊急支援

    紛争やそれに伴う災害など被害を受けた地域コミュニティに対して、ニーズに応じて水や食糧、薬などの緊急支援を行っています。また、紛争の当事者だった若者も支援活動に参加することで、地域社会との和解にも繋げています。

  • 国際規範の制定に向けた働きかけ

    テロ組織などの武装勢力に関わっている/いた若者は脆弱であるものの、平和を構築する上で重要な存在です。しかし、18歳未満の子ども兵と異なり、彼らを国際的に保護するための枠組みがありません。このことが、彼らが憎しみの連鎖から離脱することを困難にしています。そうした問題意識をもとに、彼らが直面する複雑な問題を見つめ直す必要性や、彼らを平和の担い手として捉え直すことの重要性などを国際社会に訴えかけています。そうした働きかけを通じて、2031年までに彼らの教育や保護を実現する国際規範を制定することで、すべての若者が暴力から解き放たれる道を創ることを目指しています。

  • テロ組織アル・シャバーブ元構成員

    ヌル・アリ

    17歳の時に政府軍によって弟を殺害され、復讐のために組織に加入。2年ほど戦闘員として働いた後、逮捕されて懲役15年が言い渡される。刑務所では私たちのプログラムを通じて自身を見つめなおし、やがて模範囚と認められたことで刑期が数年免除され、2023年に釈放。現在は憎しみの連鎖をほどくべく、当法人の現地スタッフとして働いている。

  • イエメン反政府武装組織フーシ派投降兵

    ユアン・アブドゥル

    2015年から続く紛争の中で厳しい生活を強いられる中、長男として強制的にリクルートされ、15歳の時に武装勢力フーシ派に加入。銃の組み立てや撃ち方などを訓練され、前線に駆り出されることとなったが、その道中に逃げ出すことを決める。フーシ派からの投降兵が多く集まる地域になんとか行き着き、父親と再会。再会を喜ぶ父の姿を見て、ともに支え合って生きていくことを強く決意。現在は私たちのプログラムで学んだソーラーパネルの設置スキルを使い、電力不足に悩むイエメンで地域社会に貢献している。

  • 捕虜交換イエメン政府代表団

    ハーディ・ヒージ

  • アクセプト・インターナショナルが日本のNGOでなければ、何か別の目的があるのではないかと疑っていたでしょう。若者たちが暴力の連鎖から抜け出すための活動に、イエメン政府代表団として賛同します。

  • ジュネーブアカデミー
    政策研究代表

    エリカ・ハーパー

  • テロ組織を含む暴力的過激主義組織の問題は、その他の緊急事態の裏で見過ごされています。しかし、この問題がグローバルに拡大していくことはもはや避けられません。その時、軍事的なアプローチだけで問題を解決することは困難です。今世界で求められているのは、アクセプト・インターナショナルが行っているような根本原因に対する平和的なアプローチです。

憎しみの連鎖をほどくために、
今世界で、あなたが必要とされています。