コラム

国際NGOとは?NPOとNGOの違いやその活動内容などを解説!

国際NGOとは何か?NPOとの違いは?本記事では、その定義・役割・活動内容・NGOとNPOの違いをわかりやすく解説。寄付や参加方法も紹介します。

国際NGOとは?その定義と世界における位置づけ

まずNGOとは、Non-Governmental Organization(非政府組織)の略称として知られています。NGOは、政府や国際連合といった公的機関から独立し、特定のイデオロギーや政治的な制約にとらわれず、市民の立場から活動を行う組織です。この独立性と柔軟性こそが、NGOの持つ大きな強みです。

実は、この「NGO」という用語は、1946年の国連の会議において、政府でも国際機関でもない民間の非営利団体を指す専門用語として生まれた比較的新しい言葉です。¹しかし、NGOの歴史が浅いわけでは決してなく、赤十字国際委員会(ICRC)などの100年以上の歴史を持つ国際NGOも存在します。

一方で、NGOは市民社会組織(Civil society Organization: CSO)の一つでもあり、近年の国際社会では、NGOを含む非営利の市民団体全体をまとめてCSOと呼ぶ傾向が強まっています。²

国際NGOの役割

国際NGOは、主に人々の命と生活に直結する開発、貧困、平和、環境といった世界規模の課題に取り組んでいる組織を指します。³NGOの役割と強みとしては、国家や市場のメカニズムから一定の距離を置くことにより、柔軟な対応力と人道的な精神に基づいて活動できる点が挙げられます。

NGOは元来は国家や市場から離れた立場から活動を行うことを目的としていましたが、近年では、単体での活動ではなく、国家を含む他の組織と協力しながら活動を進めることが多く、実際、日本に拠点を置くNGOの8割強は他の組織と連携しているといわれています。⁴

日本では、国際NGOと政府系機関の連携は1990年代から活発になりました。その背景には、それまで任意団体が多かったNGOに法人格が付与されるようになったことや、公的な資金支援の仕組みが整い始めたという経緯があります。

例えば、現在でも活発に利用されている国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業や、外務省によるNGO連携無償資金協力などの資金援助の仕組みは、90年代に、日本政府がNGOの国際協力活動を支援するために始められた制度です。

国際NGOの活動は現場のニーズに応じて多岐にわたりますが、国際協力において主な対象分野は開発・環境・人権・平和の四つに大きく分類されます。⁵

開発

貧困や飢餓の撲滅を目指し、教育、保健医療、職業訓練、農業支援などを行います。多くのNGOでは、単に食料や物資を提供するだけでなく、現地の人々が技術を身につけ、自立して持続的に生活を向上するための仕組みづくり(人づくり・コミュニティづくり)を重視しています。また、近年では、インフラ整備だけでなく、女性のエンパワーメントなどの支援も重要視されています。

環境

環境問題に取り組むNGOでは、気候変動や生態系の破壊といった課題に対して、現地での保全活動や国際的なルール作りを通じてアプローチしています。具体的な活動内容としては、森林や海洋の保全、生物多様性の保護、環境負荷の少ない農業技術の普及などが挙げられます。特に、気候変動は干ばつや異常気象を引き起こし、人々の生命を脅かす問題でもあるため、環境保護と貧困削減を両立する支援も重要視されています。

人権

あらゆる差別や格差、暴力などから人々の尊厳を守り、すべての人々の権利の実現を目指すことも、国際NGOのもっとも重要な役割の一つです。NGOの中には、女性や少女の教育や健康を支援し、児童婚や性暴力を防ぐ取り組みを行う団体があり、また、子どもの権利、マイノリティや難民、障がいを持つ人々の権利保護、社会支援など、様々な立場の人々が尊厳を持って暮らせる社会を目指し活動を行っています。

平和

紛争地や紛争後の地域で、安定した社会を再建する平和構築の取り組みも国際NGOの役割です。具体的には、元戦闘員の社会復帰支援、地雷や不発弾の除去と回避教育、さらには対立するコミュニティ間の対話と和解を促す取り組みなどが挙げられます。

▶平和構築とNGOについては、こちらでより詳しい内容について解説しています。ぜひ併せてお読みください。

また、当法人はテロや紛争の解決や平和の構築に向けて、ソマリア、ケニア、イエメン、パレスチナなど、テロや武力紛争の影響を受ける地域において活動を展開しています。具体的な活動内容としては、紛争の当事者に対し、テロ組織などの武装勢力から抜け出す支援に加え、カウンセリングや教育、職業訓練などを通じた包括的な社会復帰支援を展開しています。

日本の国際NGOの活動傾向

日本の国際NGOは、特にアジア地域との結びつきが強く、海外事業の約5割弱をアジアでの活動が占めています。⁶ そして特に開発支援に注力し、教育・職業訓練、開発・貧困といった分野に力を入れている傾向があります。また、国内における活動では、地球規模の課題を市民に伝える情報提供活動や、政府・企業への政策提言といったアドボカシー活動も積極的に行っています。

NGOとNPOの違い

今まで国際NGOについて解説してきましたが、似たような場面で使われるNPOとNGOは何が違うのでしょうか?

NPOとは?

NGO: Non-Governmental Organization(非政府組織)

NPO: Non-Profit Organization(非営利組織)

直訳すると「非政府」「非営利」と異なる言葉ですが、実際には明確な線引きが存在するわけではありません。いずれも、政府や企業から独立し、市民の立場で社会課題の解決に取り組む団体です。

日本における慣習的な使い分け

NGOとNPOは、ともに海外から入ってきた言葉ですが、日本ではその活動範囲によって次のような慣習的な使い分けがされる傾向にあります。

NGO: 開発途上国における支援や国際協力活動を主に行う非営利団体

NPO: 日本国内において福祉活動や社会課題解決の活動を行う非営利団体

「NGO」と「国際NGO」はどちらも国際協力に携わる非営利団体を指しますが、「国際NGO」という表現は特に国際的な活動を強調したいときに使われることが多いです。⁷ただし、これらは法律に定められた定義ではなく、日本の市民社会で一般的に使われている慣習的な区別にすぎません。

法律上の違い:「NPO法人」の位置づけ

日本のNGOの多くは、活動の信頼性や寄付の受け入れの便宜を図るため、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づいて認証を受け、「NPO法人」という法人格で活動しています。

したがって、NGOは国際的な活動をしている非営利団体(NPO)を指す呼称であり、その多くはNPO法人という法律上の枠組みの中で活動している、という関係性で理解することもできます。また、中には「認定NPO法人」や「公益財団法人・一般財団法人」など別の法人格を取得して活動を行うNGOも存在します。

国際NGOに関わる方法

ここまで、国際NGOが国際協力に深く関わる活動を中心に行っていることを説明してきましたが、実際に市民の一員として国際NGOの活動に対してどのように参加できるのかもご紹介します。

寄付をする

国際NGOの活動は、その独立性と柔軟性を保つため、市民からの寄付に大きく支えられています。

継続的な寄付者になる

月々の寄付、いわゆるマンスリーサポーターになることは、NGOの活動を安定的に支える大きな力になります。多くの団体では月1,000円~3,000円程度から始められます。

当団体では毎月1500円からのご寄付をしていただく方を「アクセプト・アンバサダー」と名付け、活動を継続的に支えていただいています。

単発寄付を行う

緊急性の高い人道支援や、特定のプロジェクトのために単発で寄付を行う方法です。まとまった資金を特定のタイミングで活動に活用できるため、すぐに支援を届けたい場合に適しています。また、ポイントや航空会社のマイレージ等を寄付できるプログラムも広がっています。このような方法での寄付は現金を使わずに気軽に始められるため、ハードルがグッと下がります。

情報収集と啓発活動に協力する

国際協力は、まずは現状を知り、その情報を広めることから始まります。世界で起きている問題を理解しそれを周囲に伝えることも、国際協力の第一歩です。

NGOのイベントやセミナーに参加する

多くのNGO団体が活動報告会やセミナー、勉強会を開催しています。最近ではオンラインの開催も増えており、自宅から気軽に参加できるようになりました。こうしたイベントに参加することで、インターネットで調べるだけでは見えない現地の状況や、NGOの取り組みをより深く理解できます。また、同じ関心を持つ人たちとのネットワークづくりの場にもなります。

メディアや書籍で学ぶ

国際協力に関する書籍、ドキュメンタリー番組、ニュース記事などを通じて学ぶことも大切です。正確な知識を持つことで、より自分に合った支援先や方法を選択できるようになります。特に紛争地での活動は、メディアを通して現実を知るきっかけとなります。

過去には、当法人のイエメンでの活動が、TBS「報道特集」で特集されました。以下のリンクから動画をご覧いただけます。

また、当法人の代表は、活動の理念や現場での経験に基づいた書籍を出版しており、紛争解決や社会復帰支援のリアルを深く知ることができます。

詳細についてはこちらをご覧ください。▶ 書籍に関する情報はこちら

ボランティア・プロボノとして参加する

イベント運営補助、事務作業、翻訳、広報・SNS運用支援など、ご自身のスキルや時間を活かして活動をサポートする方法です。団体によっては、海外での活動を支える専門的なスキル(プロボノ)を募集している場合もあります。

エシカル消費を実践する

日々の買い物を通じた国際協力も、以下で紹介するように実践することができます。

フェアトレード商品を選ぶ

フェアトレードとは開発途上国で作られた製品を適正な価格で購入することで、現地の労働環境改善に繋げる取り組みです。コーヒーやチョコレート、紅茶といった食品から、洋服、コスメまで、認証マークのついた商品は身近なお店でも手に入れることができます。

寄付付き商品を購入する

購入金額の一部がNGO団体に寄付される商品も増えています。例えば、森永製菓のチョコレートを購入すると、対象商品の売り上げの一部がカカオ産地の子供達の教育支援や児童労働問題への取り組みを行うNGO団体へと寄付されます。⁸

また、当法人では、環境保護を推進する企業と寄付付き商品やサービスで連携しています。

ハチドリ電力: CO2排出量ゼロの自然エネルギーのみを販売しているハチドリ電力を利用すると、電気代の1%を支援先として当法人に寄付することができます。環境にやさしい選択肢、そして、国際協力の支援先として、ぜひ、ご検討ください。

ZEROPC: 環境負担ゼロ、難民ゼロを目指すエシカルパソコンを販売するZEROPCは、購入を通じて購入金額の3%(キャンペーン時は10%)を当法人へ寄付することができます。ぜひ、エシカル消費の一つとしてご検討いただけますと幸いです。

持続可能な選択を心がける

環境に配慮した商品を選ぶ、食品ロスを減らす、リサイクルやリユースを実践するなど、持続可能な消費行動も広い意味での国際協力につながります。

例えば、不要になった洋服やブランド品を着払いで発送し、その買取金額をNGOへ寄付することができるサービスもあります。当法人では、買取サービスBrand Pledgeと連携して、洋服の寄付を受け付けています。部屋に眠っている洋服があれば、ぜひご活用ください。

あなたにできること

本記事では、国際NGOの定義や、NGOとNPOの違い、そしてその関わり方について解説してきました。

国際NGOは、紛争地支援や貧困削減など、多様な社会課題の解決に取り組んでいます。特に独立性と中立性を強みとして、国連や政府機関といった他のアクターだけではカバーしきれない重要な役割を担っています。

しかし、いまだに世界には、生活の苦しさや洗脳、誘拐など、望まぬまま紛争に巻き込まれてしまった子どもや若者がたくさんいます。彼らは強制的に武装勢力に加入させられ、その多くが戦闘で命を落としています。さらに、紛争が拡大すると、子どもや女性を含む立場の弱い方々が難民・避難民として住む場所を追われるなど、より多くの人が厳しい環境に置かれることとなります。

当法人では本記事で解説してきたようなNGOの役割のもと、紛争に巻き込まれた元戦闘員の若者や子どもたちの社会復帰支援に取り組んでいます。

こうした紛争地での活動は、毎月1,500円(1日50円)から活動を支援していただける「アクセプト・アンバサダー」をはじめとした皆様のご寄付があるからこそ実現できています。

彼ら彼女らが「武器」を置き、平和な未来を創ることを実現する。まさに根本的な問題解決を目指す前例のない挑戦に共感していただけましたら、どうかアンバサダーとして共に歩んでいただけますと幸いです。

ただ、いきなり寄付はハードルが高いと思われる方もいるかと思います。当法人では、活動説明会やドキュメンタリー上映会などのオンラインイベントを無料で開催しております。当法人の活動や紛争地のリアルについてより詳しく知りたい方は、ぜひご参加ください。

また、当法人では最新の活動状況をお伝えするニュースレターも無料で毎月配信しています。紛争の最前線の状況について定期的に知りたい方はぜひご登録ください。

アンバサダーになる

アンバサダーとは月1,500円(1日50円)からの継続的なご支援をもとに「テロや紛争のない世界」を、ともに目指す「同志」です。毎月1,500円で1年間支援すると、大工などの職業訓練を、テロ組織にいた若者2名に1ヶ月間提供できます。

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活動説明会やドキュメンタリー上映会などのイベントを無料で開催しております。活動についてより詳しく知りたい方は、ぜひご参加ください。

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出典: ¹ 朝日新聞デジタル(2023)『NGOとは|意味やNPOとの違い、具体的な活動内容を解説』 https://www.asahi.com/sdgs/article/15001654 (2025年12月14日閲覧)

² 外務省・特定非営活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)(2022)「数字で見る日本のNGO 」、 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/100312453.pdf(2025年12月14日閲覧)

³ 外務省HP 「国際協力とNGO」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo.html (2025年12月14日閲覧)

⁴ 前掲 「数字で見る日本のNGO 」

⁵ IBID.

⁶ IBID.

⁷ 外務省HP 「ODAとは?」、 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/kyoumi/faq01.html  (2025年12月14日閲覧)

⁸ 森永製菓HP ガーナ共和国プロジェクト https://www.morinaga.co.jp/1choco-1smile/archives/gh_smile01.html (2025年12月14日閲覧)