ケニアにおける取り組み
私たちはテロに関わった受刑者や失業した若者たちが暴力ではない道を歩むための支援に加え、彼らを支える支援体制の強化を行なっています。
①武装組織への加入防止・過激化防止
若者失業者やギャングへの収入創出支援
首都ナイロビの準スラム地域で脆弱な立場に置かれている若者失業者やギャングの若者などを対象に、職業訓練やビジネスプラン構築の支援に加え、目標設定や金銭管理、コミュニケーションスキルなどのライフスキルトレーニングなどを行っています。具体的な職業スキルは、スマートフォンの修理スキルや簡単なデザイン、パソコンスキルなどです。これにより彼らの小規模な起業を通じた収入創出を促し、社会との関係を構築しながら暴力に頼らずに生きていくことを支えています。
②リハビリテーション・社会復帰支援
首都ナイロビ、沿岸部モンバサ、西部キスムの最高セキュリティ刑務所において、テロに関わった受刑者の社会復帰に向けた取り組みを行っています。ソマリアやイエメンでの経験を活かして、ケアカウンセリングや職業訓練、宗教再教育や幻滅対策セッションなどのプログラムを、刑務所当局と協働で実施しています。さらに、地域コミュニティと元受刑者との間での相互理解を進める対話イベントの実施を通じて、和解の醸成にも繋げています。
③支援体制の強化
準スラム地域で脆弱な立場に置かれた若者たちを地域で支える地方政府職員や、刑務所で収容される受刑者の社会復帰を支える刑務官や保護観察官などの能力強化に向けた研修を実施しています。主な研修内容は、対象者との関係構築やケアカウンセリング、職業訓練後の収入創出支援や双方向の対話型で進める宗教再教育の方法などです。
同時に、刑務所におけるカウンセリング設備の新設や職業訓練施設の修繕といった施設そのものの改修も行っています。
過去に実施した取り組み
ソマリア人若者ギャングへの社会復帰支援
2013年より、首都ナイロビのソマリア人若者ギャングを主な対象に社会復帰支援を実施してきました。彼らは地域社会から犯罪者として排除される一方、その背景には、ケニア社会からの差別やハラスメント、高い失業率や不安定な治安などの厳しい環境がありました。そこで、彼らが自身の可能性に気づき、社会変革の主体者として行動を起こす意識改革プログラムに加え、スキルトレーニングや定期的なカウンセリングなどを長期に渡って提供してきました。こうした取り組みの末、2018年には170名規模の地域三大ギャング組織の解散式を実現することができました。現在はほとんどの若者たちが仕事を得て家族を支え、穏やかな人生を歩んでいます。
北東部マンデラにおける若者の受け入れセンター
国連人間居住計画(UN-HABITAT)からの要請を受け、ソマリアと国境を接する北東部マンデラで若者の過激化を防ぐ共同プロジェクト「One Stop Youth Resource Centre Project」を実施していました。マンデラは、ソマリアを拠点にするアル・シャバーブのリクルーターの存在や、中央政府から周縁化されてきた歴史により、若者の過激化リスクが高く、実際にソマリアに渡って組織に加入する者も少なくない地域です。そのような重要性にもかかわらず、頻発する攻撃や誘拐事件、地理的なアクセスの悪さからこれまで国際的な支援から取り残されてきました。私たちは、マンデラ州政府職員への研修、暴力的過激主義対策に関するワークショップ、プロジェクト内でのモジュール作成などを担当しました。
トゥルカナ・ガリッサ郡における気候変動及び紛争に対するレジリエンス強化支援
国際移住機関(IOM)のプロジェクト実施パートナーとして、気候変動に脆弱なコミュニティに対する紛争解決ワークショップと職業訓練を実施しています。北西部トゥルカナ郡、北東部ガリッサ郡は人口の大半を牧畜民が占めているものの、気候変動を主な原因とする干ばつの影響で水や牧草地が不足し、多くの家畜が死亡しています。これにより、牧畜民コミュニティ間での限られた資源をめぐる争いや家畜の略奪などが増加しているほか、栄養失調や飢餓のリスクが拡大しています。このような人道状況を改善し、気候変動に脆弱なコミュニティのレジリエンスを強化するために、ワークショップを通じた紛争解決・紛争予防のための行動計画の策定支援や、牧畜民自身の生計向上を目的とした職業訓練を行いました。