取り残された若者を、
社会変革のリーダーに。
ケニアは、2019年時点で難民キャンプを中心に48万人以上の難民を抱えるなど、世界でも有数の難民受け入れ大国です。中でもソマリアからの難民は約26万人と、全体の半数以上に及びます。しかし、増えすぎた難民を危惧したケニア政府は、特にソマリアからの難民を犯罪やテロと結びつけ、安全保障上の脅威とみなすことで、殺人や不当逮捕・勾留などの超法規的措置や難民キャンプの閉鎖を正当化するなど、人権を軽視する動きが続いています。そうした背景には、ソマリアを拠点とする所謂テロ組織アル・シャバーブの台頭があります。アメリカを中心とした国際社会は「テロとの戦い」の名の下、ケニア政府による強硬な措置を容認してきました。
2011年にアフリカ連合ソマリアミッションの部隊としてケニア軍がソマリアに侵攻すると、その報復としてケニア国内においてもアル・シャバーブによるテロ攻撃が展開されるようになり、ソマリア国境付近の北東部及び沿岸部に加え、首都ナイロビなどで多くの犠牲者が発生しています。
所謂テロ組織アル・シャバーブは、ケニア国内でのテロ実施にあたりギャングを含む脆弱な若者たちをリクルートしていると考えられています。特に、2014年にケニア政府による強制捜査を受けた首都ナイロビのイスリー地区やその周辺の準スラム地域には、アル・シャバーブのリクルーターの潜伏も指摘されています。また、地域全体の失業率の高さも相まって、ギャングを含む脆弱な若者たちは、生きていくために窃盗や薬物などの犯罪に手を染めることも多く、社会の中でさらに孤立してしまう問題もあります。こうした背景から、リクルーターによる勧誘を受けて過激化し、テロに従事するリスクを抱えているのです。
しかし同時に、彼らは将来の社会を担う「若者」でもあります。私たちはその将来性に着目し、未来ある若者として受け入れ、自ら道を切り開く力を養成することを目指して2013年よりさまざまな取り組みを実施しています。