団体概要
代表挨拶

私が早稲田大学に入学した2011年、「比類なき人類の悲劇」と形容されていたソマリアを知りました。飢饉や内戦などで多くの命が失われているにもかかわらず、当時ソマリアを支援している日本のNGOはほとんどなく、治安の悪化によって国際機関も撤退を余儀なくされる状況でした。

そこで自分に何かできることはないかとさまざまな人に話を聞きにいきましたが、返ってくる言葉は「危険すぎるからやめろ」「安全な場所で経験を積みなさい」「死んでしまったら逆に迷惑だ」といった厳しいものでした。しかしそうしたアドバイスをくださった方々を含め、結局のところ危険、金にならない、共感できない、前例がないなどを理由に誰もが取り組みをできていないことに強い問題意識を抱きました。

私は幼少期の家庭環境があまり良くなく、「大人」や「常識」とされるものに対して強い反発心を持っていたともあり、そう考えるに至りました。そしてだからこそ、大切なのはまずもって問題に対する姿勢なのだと悟り、ソマリアに特化した唯一のNGO「日本ソマリア青年機構」を2011年9月に立ち上げました。当時は仲間と共に出し合った3万円が原資でした。

模索を続ける中、2013年9月からは、いわゆるテロ組織のリクルート対象であるとともに治安悪化の主要因でもあるソマリア人ギャングへの取り組みを開始しました。同じ若者として彼らを受け止め・受け入れ、若者として再出発することを目指す取り組みを通じて、彼ら自身が気づき変わっていく様子を目の当たりにしてきました。最終的には、170名規模の地域三大ギャング組織の解散という確かな成果に繋げることができました。

2017年4月、活動を続けつつイギリスで修士号を取得した後、改めて私・私たちは何をすべきかを考えました。

そこで至った結論は、難民や貧困などさまざまな課題を発生・拡大させる要因であるテロや武力紛争の解決、ひいてはその背景にある憎しみの連鎖をほどいていく新たなアプローチこそが本質的に必要とされている、というものでした。アクセプト・インターナショナルとしての新たな挑戦の始まりです。考え抜いた末に軸に据えたのは、ギャングたちとの取り組みで学んだ「アクセプト(受け止める・受け入れる)」という姿勢でした。

それ以来、ソマリアに限らずニーズが非常に高いものの支援の担い手が限られている領域において、憎しみの連鎖をほどいていく取り組みを展開しています。

また、こうした最前線の現場での取り組みと並行して、創立10周年を迎えた2021年からは、世界各地でテロや武力紛争に関わった若者たちの権利の保護や復活の後押しのための新たな国際規範の制定に向けて、ニューヨークやジュネーブ、オックスフォードなどを舞台に国際アドボカシー活動や研究活動なども行なっています。

さらに、その取り組みを推進する母体として、2024年9月には若者戦闘員に関するグローバルタスクフォースを立ち上げました。アジア・アフリカ・中南米・ヨーロッパなどの約20カ国から、紛争の当事者だった人々や紛争の被害を受けた方、さらには国際法や人権などの専門家が参加しており、彼ら彼女らと共に2031年までに然るべき具体的な規範を積み上げるべく活動しています。

以上のような私たちの取り組みは前例がなく、教科書もありません。しかし、前例がないのであれば創る覚悟です。皆様と共に、ここ日本から、新たなアプローチを生み出し現実化してまいります。どうか温かなご支援を何卒よろしくお願いいたします。

NPO法人アクセプト・インターナショナル 代表理事
永井 陽右

<プロフィール>
NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事。主にソマリアやイエメン、パレスチナなどの紛争地にて、いわゆるテロ組織を含む非政府武装勢力との交渉や和平に向けた対話構築、非政府武装勢力からの離脱とその後の社会復帰支援、緊急人道支援などを実施。また近年は、テロや武力紛争に関わる若者に関する国際規範の制定に向けても取り組んでいる。国連ではアドバイザリーボード、専門家会議や専門作業部会のメンバー等。オックスフォード大学客員フェロー。京都大学大学院非常勤講師。著書に『紛争地で「働く」私の生き方』(小学館)など。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)紛争研究修士課程修了、早稲田大学社会科学研究科博士後期課程修了。

2026年1月31日までの期間は、ガザ人道支援・新たな和平構築に向けた寄付キャンペーンを実施しています。永井のメッセージも掲載されておりますのでこちらのリンクから詳細をご確認ください。

なお、単発ではなく継続的なご寄付で活動をご支援いただけるアクセプト・アンバサダーも募集しています。詳細はこちらのリンクをご確認ください。

憎しみの連鎖をほどくために、
今世界で、あなたが必要とされています。