昨年の11月から今年の1月まで、人道危機が続くガザ地区への支援拡大と新たな和平プロセスの促進を目的とした寄付キャンペーンを行ってきました。改めて皆様のご支援に心より感謝申し上げます。
この間、各地に離散するパレスチナの人々の団結に向けた対話会合や、ガザ北部に暮らす若者を対象したトラウマケアなど様々な取り組みを実施してきました。今回は、さらなる強化の上で展開している緊急食料支援と給水支援についてご報告いたします。
なかなか見えづらい食料支援の背景にあるものや具体的な価格なども含めてお伝えしていますので、ぜひご覧ください。
ガザ地区の食料・水の現状
2025年10月の停戦を受け、食料を含む支援物資や商業用物品がガザに流通するようになり、以前よりも食糧不足は緩和されつつあります。しかし、国内避難民キャンプのなかには食料パッケージの配布や給水が行き届いておらず、今なお深刻な食料・水不足に直面してる場所もあります。
また、露店に食材が並んでいたとしても、供給量が少ないために価格が高騰しており、仕事や収入源のない家庭には手が届かない状況が続いています。昨今のイランとイスラエル・米国の緊張感が高まるたびにガザの検問所が封鎖され、支援物資さえも満足に搬入できなくなるなど、周辺地域情勢に対しても極めて脆弱な状況に置かれています。
こうした中、国際機関や各国政府が中心となって小麦や豆類、食用油、缶詰など支援している一方で、野菜・果物といった生鮮食品を支援している団体は多くなく、ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足し、免疫力低下や感染症のリスクが高まっています。
また、戦闘で破壊された水道設備の修理が進められているものの、部品不足などにより復旧には時間を要しているのが実情です。
給水トラックを用いた給水支援もガザ地区全体をカバーしきれているとは言えず、過酷な夏の到来を前に、飲み水さえ十分に確保できない方々も少なくありません。
食料支援の開始と給水支援の再開
上記のような現状を受け、私たちはガザ北部において、食料支援や給水支援を受け取れていない特に脆弱な約700世帯(約3,200人)の国内避難民の方々に、トマト、ピーマン、バナナ、りんごなどの野菜や果物に加え、清潔な飲料水の提供を開始しました。

こうした食料は、ガザ地区外から商業用として搬入される野菜や果物を扱う卸売業者から調達しています。市場の供給量が安定しないため、2023年10月7日以前の4〜10倍の価格に高騰することもあります。
■食料の参考価格
トマト:1kgあたり700〜1,600円(1個あたり:約 105円 〜 320円)
バナナ:1kgあたり700〜1,600円(1房あたり:約 420円 〜 1,280円)
きゅうり:1kgあたり700〜1,400円(1本あたり:約 70円 〜 140円)
ガザ内部は攻撃によって農地や農業インフラの96%が使用できない状態とされており、国内流通できるほど農業生産が回復できていないため、外部からの輸入に頼らざるを得ない状況です。
農地の復興・再整備に向けて国連機関などが支援をしていますが、ガザ地区への物資の搬入の許可が下りないなど、復興にも相当な時間がかかることが見込まれます。実際、テント用のパイプでさえ、一定の長さを超えると「武器に使われる」と見なされて搬入できないケースもあるのです。
▲給水支援を行う現地スタッフと現地ボランティア
ボランティアとして参加する若者の存在
以前にも実施したように、食料の配布にあたっては対象キャンプ内やその周辺に住む若者ボランティアとともに行っています。
彼ら自身も苦しい状況にありますが、家族やキャンプの人々に貢献したいという強い想いを持って参加してくれています。
例えば今回参加してくれたモンタセルは33歳の若者で、今回の支援では避難民の方々に積極的に支援物資を届けてくれました。
「人々に手を差し伸べたいと思い、ボランティアに参加しました。こうしたキャンプでは、私が届ける笑顔の一つひとつが勝利(成果)なのです。実際に参加してみて、純粋な幸福感を感じました。人々の目、特に子どもたちの目に喜びが宿るのを見ることで、私の心は平穏で満たされました。その瞬間に、これこそが自分のやるべきことなのだと確信しました」。
このように語る彼の想いに、私たち自身が励まされる思いです。そして何よりこうした現地の人々の思いに応えるためにも、引き続き皆様のご寄付を大切に活用し、彼らと共にやるべきことを果たして参ります。

▲水を運ぶ現地ボランティアのモンタセル
また、寄付キャンペーンを通じて日本からもたくさんの方々が思いを寄せてくださっていることを現地に伝えるため、1万円以上のご寄付をお寄せいただいた方でご希望の方のお名前をバナーに掲載し、支援を展開しています。

▲ご芳名バナーと給水トラック



「自分たちが忘れられていないと感じられた」との声もあり、こうした取り組みも継続していきたいと考えています。
今後の展望
今後も現地の若手リーダーや各国の関係者を巻き込んだ対話による和平プロセス構築の取り組みを進めていきながら、緊急度の高い支援を必要としている人たちへ届けてまいります。
支援活動には多くの困難が伴い時間もかかりますが、皆様からお寄せいただくご寄付によって活動を続けることができています。
引き続き私たちの取り組みを継続・発展させるために、皆様からの温かなご支援・ご協力をいただけましたら幸いです。
