イエメンでは終わりの見えない武力紛争が根本的な要因となり、世界最悪の人道危機とも呼ばれる状況が長期にわたって続いています。
このような厳しい状況にあるイエメンで、私たちはイエメン政府側と戦闘を続けている、アンサール・アッラー(以下、フーシ派)と呼ばれる武装組織からの戦争捕虜に対する取り組みを行なっています。
“戦争捕虜” という言葉は聞き慣れない方も多いかもしれませんが、対立する勢力間で敵側に捕らえられ、戦線から離脱した戦闘員や軍人のことを指します。国際人道法では、戦争捕虜は保護の対象であり、人道的な待遇をすることが定められています。
しかし、今や数千人にもなると言われるフーシ派の戦争捕虜たちは、イエメン政府側の支配地域にある特別収容所において、劣悪な環境下で収容されているのが現実です。必要な生活物資が不足し、窓もない部屋にすし詰めにされ、部屋の外に出ることさえ許可されないこともあり、彼らはイエメン国内外のあらゆる支援やサポートから取り残されています。
特にフーシ派の戦争捕虜は、10〜15歳ほどの年齢で強制的にフーシ派の教育を受けさせられ、戦闘員とならざるを得なかった子どもや若者が多くいます。彼らは、学校やモスクで何も知らない間にリクルートされたり、貧困のため食料などの支援と引き換えに家族によってフーシ派に差し出されることで、戦闘員となってしまうケースが後を絶ちません。
つまり、フーシ派の戦争捕虜の中には、望んで戦闘員になったのではない、子どもや若者も多く含まれているのです。中には釈放の見込みもなく、特別収容所で4年以上過ごしている若者も存在します。
さらに、収容所から釈放された後もフーシ派の支配領域では、彼らは再び戦闘員として前線に送られるか、それを拒否すれば命を狙われる可能性もあり、多くの若者が釈放後の自分自身の将来に対しても明るい希望を見出すことが難しい状況にあります。
そんな彼らが一人の若者として、新たな場所で、戦闘員ではない新しい生き方を実現できるよう、脱過激化と社会復帰支援を行うことがまさに今必要とされています。紛争の当事者であった彼らこそがイエメン和平への鍵なのです。
極めて難しい取り組みですが、私たちであれば実現できます。一人でも多くのイエメンの若者が武器を置き、彼ら自身の手でイエメンの平和を実現することができるよう、プロジェクトに取り組んで参ります。皆さまのご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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