「子供たちが憎しみにのみ込まれることのないように」ガザ北部の避難民キャンプとの中継イベント開催レポート|ガザ人道支援キャンペーン|NPO法人アクセプト・インターナショナル

人道支援と対話構築の両輪で
パレスチナ和平の新たな道を切り拓く

ガザ人道支援・新たな和平構築に向けた寄付キャンペーン

停戦合意後も
予断を許さない状況が続くパレスチナ。
脅かされる命を守りつつ
真の和平を実現するために、
皆様の力をお貸しください。

「子供たちが憎しみにのみ込まれることのないように」ガザ北部の避難民キャンプとの中継イベント開催レポート

去る1月26日、ガザ北部の避難民キャンプとの中継イベントを開催いたしました。

当日は100名以上の方にご参加いただき、ガザのリアルな現状を共有するとともに、厳しい状況の中でも前を向いて生きていく人々の姿と思いを皆様にお届けすることができました。

登壇したのは、現地スタッフのネビーン(女性)に加え、私たちが活動する避難民キャンプで生活しながら私たちの活動にボランティアとして協力してくれているハナ(女性)、そして先日行ったガザの若手リーダーとの対話会合に参加してくれたタラール(男性)です。

▲左から順に代表永井、ネビーン、ハナ、タラ―ル

避難民キャンプ周辺はインターネット環境が悪くリアルタイムで動画を配信することが困難なため、事前にネビーンが撮影してくれた動画をまとめて皆様にご紹介しました。

▼避難民キャンプの現状に関する動画レポート
以下ではトークセッションの要点をお伝えします。

テーマ①:率直に今ガザの状況はどうか?少しずつ改善されているのか?

ネビーン:
はい、状況は少しずつ良くなっています。食料も手に入るようになってきましたが、値段は以前の比にならないほど高いです。例えば戦争以前はキャベツ3玉が5シェケル(250円)で買えましたが、今は1玉で15〜20シェケル(750〜1000円)ほどします(以前の9倍〜12倍)。新鮮な野菜も手に入るようになってきましたが、とても値段が高いというのが現状です。

また、空爆の数は確実に減りました。安全に道を歩くこともできますし、夜は安心して眠ることもできるようになりました。これ自体が私たちにとってはとても奇跡的なことです。

永井:
実際にキャンプで生活しているハナやタラールはどのように感じていますか?

ハナ:
状況は以前に比べると確実に良くなってきています。特に水の問題がとても改善されてきたと感じています。現在カルメルキャンプ(アクセプトの支援先)で生活する人々の75%が清潔な水にアクセスすることができていますが、これは以前では考えられなかったことです。

食料はやはりとても高いですが、ガザ地区には現地のNGOなどによる炊き出しがあるため、食料を調達することができます。

このように状況が確実に改善されてきていることにとても感謝しています。しかしまだまだガザの人々の生活の質が改善されていく必要があると思っています。

タラール:
ガザでの生活は依然として厳しいものだと私は感じています。しかし、状況は良くなってきています。食料や水の供給だけでなく、がれきの撤去なども少しずつ進んできています。ガザ地区内の移動も以前に比べてしやすくなっています

永井:
移動がしやすくなったということは、ガザ地区内で友人とも再会できるようになりましたか?

タラール:
できます。しかし、交通費はとても高いです。ガザ地区の北と南を移動するのには30分ほどの時間を要しますが、35シェケル(1750円)かかります。これはガザ地区の最低賃金を上回っています。戦争以前は10シェケル(500円)で行けたんです。

永井:
例えば家族や友人と会うために、カフェや喫茶店は利用できますか?

タラール:
利用はできますが、キャンプの中なのでテントのようなものです。また、現在は冬で雨風などが厳しく外出が難しいので、基本的にはテント内でオンライン通話をして友人と連絡を取ります。

永井:
冬の寒さや雨などが厳しい日も多いガザの状況を踏まえて、私たちは毛布の配布を開始しました。実際のところ、冬のガザの生活はどのようなものですか?

タラール:
1週間前、ガザはここ最近で一番寒さが厳しかったです。私の近所の人は、寒さにより電気ショックを受けたような感覚に陥ったと言っていました。このような厳しい寒さの中で、アクセプトが配布している毛布は本当に人々の命をつないでいるといえます

ハナ:
避難民キャンプで生活している人々の状況は特に深刻です。キャンプにいる80%の人々がテント生活を強いられているためです。私自身戦争により家を離れざるを得ませんでしたが、その際衣類や毛布など寒さをしのぐためのものを何一つ持っていくことはできませんでした。キャンプにある学校の屋上で生活してた時期もありましたが、そこは本当に寒さが厳しく、人生で最もつらい時期でした。

また、80%以上のキャンプが嵐により大きなダメージを受けているため人々は非常に厳しい状況下に置かれています。つい先日私たちが配った毛布は、本当に人々の生命線だといえます。

▲ガザ北部避難民キャンプでの毛布配給の様子

テーマ②:このような厳しい状況下に置かれていながらも、現地ボランティアとして活動してくれているモチベーションはどこから生まれているのか?

ハナ:
私の原点は常に私の周りにいる人々への「愛情」だといえます。キャンプに住む人々とのつながりは私にとってもはや一つの大きな家族のようなものです。彼らの生活の質を向上させたいという、その一心なんです。キャンプ内の学校への配給ボランティアにはできる限りすべて参加するようにしています。

最近はキャンプ内の若い女性に対して教育を提供する取り組みも始めました。彼女たちへの教育機会はとても不足しているんです。私の原動力は常に私の周りにいる人々を助けたい、彼らの苦しみを和らげたいというその思いから生まれています

タラール:
私にとってボランティア活動とお金をもらっての活動というのには大きな違いがあります。ボランティアはお金のためではなく、自分の信念や大義を貫くために行うものです。コミュニティに何かしらの変化を生み出せると信じて活動しています。

何より私はこの厳しい戦争下の中でガザで生きている「ガザ人」なのです。私の境遇はほかの人と比べればいくらかましであったと思います。だからこそ私は、一人のガザの若者として、ガザの人々の声、そして現状を世界に伝えることができます。そして何より、私は自分自身が社会に何かしらの変化をもたらすことができると信じているのです

永井:
ありがとう。非常に尊敬すべき若者たちで、一緒に働けることをとても光栄に思っています。

▲当法人とともに避難民キャンプで活動している
スタッフとボランティアメンバー

テーマ③:890人以上の日本人の方々(イベント時点)がパレスチナのために何か行動を起こそうと支援をしてくださっている。このことについて率直にどのように感じるか?

ハナ:
パレスチナと日本、これだけ物理的にも距離が離れている中で、私たちに共感し、何か行動しようとしてくださる心優しい方々がたくさんいらっしゃるということが、とても信じがたいことです。本当に感謝しています。寄付だけでなく、私たちが置かれている現状を学ぼうとしてくれているということだけでも、とても嬉しく思います。そして清潔な水や毛布の支援にも本当に感謝しています。

タラール:
感謝してもしきれないです。寄付をしてくださっている方はもちろん、私たちに関心を寄せて心配してくださっているということだけでもとてもありがたいことです。本当にありがとうございます。

ネビーン:
私たちが置かれている現状を知ろうとしてくれていること、それ自体が本当に素晴らしく価値のあることだといえます。本当に感謝しています。皆さんがこれまで私たちに対してしてくれたこと、そしてこれから行おうとしていること、そして何よりもこれからもこうした対話を生み出していくことが、何よりも素晴らしいことだといえます

質疑応答

時間が限られた中でも、参加者の皆様からのご質問にお答えしました。以下ではその一部をご紹介します。

質問:ガザと対立している相手側へどのような気持ちがありますか?現地にいらっしゃる方のお気持ちが知りたいです。

ネビーン:
すべての人がそれぞれの意見を持つ権利があると思いますので、それを尊重しています。私たちと対立する人々の意見や行動を平和的に受け入れていきたいと思っています。私は、彼らが私たちについてもっと理解しようとさえしてくれれば、彼らの意見や行動は変わるのではないかと信じています

ハナ:
ネビーンと同じく、すべての人がそれぞれの意見を持つ権利があり、それを尊重しています。しかし現状について深く調べ、様々な言説の両面を見てほしいです。何よりもそうした出来事の目撃者の声に耳を傾け、リアルな現状を知ってほしいのです。

タラール:
ガザやパレスチナに対するヘイトが様々なメディアで見られますが、彼らがなぜガザの人々を憎んでいるのか、それを考えていく必要があると思います。


質問:仕事など収入を得る機会はあるのでしょうか?

タラール:
職を得るのはとても難しいです。ガザにある機関のほとんどが戦争の影響で破壊されたか、国外に追われました。そのため、例えばパンを売ったり、炭を作って売るなど、生計を立てるための術をゼロから自力で生み出すしかない状況です。現地のNGOがガザの人々を対象に仕事を提供している場合もありますが、職を見つけるのは本当に難しいです。

ハナ:
ガザの労働人口の60%以上が失業状態にあるといえます。彼らは収入を得る手段を持っていないため、多くは炊き出しに頼っています。戦争前からガザでは失業率は高かったですが、戦争を経てすべてが破壊されてしまい、ほとんどの雇用機会がなくなってしまいました。

質問:ガザの政府や役所などの公的機関は今はまだ全く機能していない状況でしょうか?

ネビーン:
公式な政府や機関は存在しません。瓦礫を撤去するために自治体が活動していますが、インフラを立て直すといった取り組みにはほとんど着手できていない状況です。また、多くの学校も再開されていません。


質問:ガザに住む子供たちの感情を知りたいです。たくさんの人が亡くなったり、理不尽な空爆や、寒さ、生活を強いられている状況で、イスラエルに対して、また世界に対してどのように理解しているのでしょうか?

ネビーン:
子供たちの感情を形容することは私にはできません。ただこの戦争中、子供たちが「憎しみ」にのみ込まれることのないようできる限りのことをしてきました。イスラム教の教えを用いて、この苦境を神からの試練として受け入れていく必要があることや、生き延びていく必要があることを教えてきました。

しかし、戦争は私たちの想像を絶するトラウマを子どもたちに植え付けています。そしてこの2年間、学校に通えなくなってしまったことにより、子どもたちのトラウマはさらに深刻なものになっていると感じます。彼らは自分の感情のコントロールの仕方や、難しい状況への対処方法、他者を尊重する方法などを学ぶことができない状況にあるのです。

私は子供たちに、私たちを攻撃してくる人たちであっても「憎しみ」を向けるべきではないと教えています。「憎しみ」の感情は、ただただ子供たちのトラウマを増幅させるものにしかならないからです。「良き人間であろう、私たちが今持てるもので、前を向いて生きていこう」。そのように子供たちに伝えています。

永井:
貴重な考えのシェアをありがとう。例えばガザの人々に対してオンラインで心理カウンセリングを提供したり、子供たちに教育機会を提供したりなど、私たちにもできることがあるのではないかと思っています


質問:皆さんが描く未来像をお聞きしてみたいです。

ハナ:
私は大学で建築を専攻していましたので、その知識を生かしてガザを再建していくために、自分ができる限りのことをしたいと思っています。私はガザは数年すれば以前のような美しい町に戻ると信じています

タラール:
まずは学校を卒業して、そしてガザを再建していくことにすべての力を注いでいきたいと考えています。

ネビーン:
ガザにとどまり、ここでガザの復興に従事していきたいと思っています。子供たちとともに、以前よりもさらに美しいガザを見ていくことができればと思っています

最後の挨拶

タラール:
今日はこうして集まってくださってありがとうございました。こうして話す機会を頂けたことにとても感謝しています。

ハナ:
皆さまが私たちのために行ってくださったすべてのことに感謝してくれています。こうして私たちのために時間を費やし、私たちの話に耳を傾けて、行動に移してくださる日本の方々にとても感謝しています。本当にありがとうございます。

ネビーン:
皆様と機会を頂けたことが何よりも嬉しいです。本当にありがとうございます。またこうした機会に積極的に参加していくつもりです。

永井:
3人が伝えてくれたように、このような機会を皆さまと共有できたことが本当に幸運だと感じています。やるべきことは山積していますし、決して容易に達成できることでもありませんが、皆さまとともに今後も挑戦し続けることができればと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

キャンペーン達成に向けて

今回でガザ寄付キャンペーン期間中の特別イベントは最後となりますが、今後も皆さまに彼らの近況、そしてパレスチナ和平に向けた進捗を随時ご報告させていただきます。

寄付キャンペーン終了まで残り3日。破壊し尽くされた状況下でも前を向いて懸命に生きるガザの人々の背中を日本から後押しするために、ぜひ皆さまのお力添えを賜れましたら幸いです

今すぐ寄付をする
この新着記事が気に入ったら、
拡散いただけないでしょうか?
一覧ページへ戻る