【ビデオメッセージ付き】ガザの若手リーダーとの中継イベント開催レポート|ガザ人道支援キャンペーン|NPO法人アクセプト・インターナショナル

人道支援と対話構築の両輪で
パレスチナ和平の新たな道を切り拓く

ガザ人道支援・新たな和平構築に向けた寄付キャンペーン

停戦合意後も
予断を許さない状況が続くパレスチナ。
脅かされる命を守りつつ
真の和平を実現するために、
皆様の力をお貸しください。

【ビデオメッセージ付き】ガザの若手リーダーとの中継イベント開催レポート

去る12月14日、ガザの現場で奮闘する若手リーダーを招き、代表・永井との対話セッションを開催しました。

当日は現場のリアルな現状を共有してもらいながら、いま私たちがパレスチナの未来のために何ができるのか、参加者の皆さまとともに考える機会としました。

登壇したのは、ガザで3人の娘とともに暮らしながら当団体の現地スタッフとして働いているネビーンです。彼女は長らくガザで人道支援に従事しており、当法人が主催している新たな和平プロセスに向けた対話会合にも参加してきました。

残念ながら現地の状況により参加することが叶わなかったもう一人の若手リーダーであるアハマドは、ビデオメッセージを通じて出演しました。以下がその動画です。

動画出演に対しても皆様から温かなリアクションをいただき、重ねて御礼申し上げます。以下では、リアルタイムで登壇したネビーンとのトークセッションの要点を皆様にお伝えします。

テーマ①:なぜアクセプトに参加したのか?

ネビーン:
私を含めパレスチナの若者たちに、アクセプトは対話を行う機会を提供してくれました。私たちのアイデアに耳を傾け、和平に向けた新たな行動に繋げようとする活動は非常にユニークで重要な取り組みだと感じました。これが私がアクセプトに入ろうと思った大きな理由です。

永井:
なるほど、今ガザでは世界各国からたくさんの組織が支援を行っていますが、その中で日本の組織や日本人と一緒に働いた経験はありますか?また、日本のNGOと働くとなった時、最初にどのような印象を持ちましたか?

ネビーン:
日本人や日本の組織と働くのは初めてです。アクセプトは現場の声、特にガザの若者たちの意見を非常に大切にしてくれています。そうした真摯な姿勢にとても感銘を受けました。私はガザの若者たちから、対話を通じて希望を取り戻そうとする強い熱意を感じます。だからこそ、そうした場を彼らに提供してくれるアクセプトとともに働けることを、とても嬉しく、そして光栄に思っています。

テーマ②:停戦中のガザはどのような状況か?停戦前とどのような変化があるか?

ネビーン:
停戦前と停戦後では大きな変化がありますが、依然として人々は厳しい状況に置かれています。爆撃は今も毎日続いており、多くの人々が殺され続けています。また、イエローライン(停戦後のイスラエル軍による撤退線)の外側にあるほとんどの家が破壊されており、多くの国内避難民が家に戻ることができていません。現在はガザ市やハン・ユニス市が唯一、人々が生活できる場所だといえます。

また食料や水の不足などに加えて、今ガザは冬を迎え毎日のように雨が降っています。ほとんどの人々がテントで生活しているため、雨でただでさえ少ない持ち物が全て濡れてしまいます。冬の寒さをしのぐ毛布も不足しています。このような状況でどのように明日を生き延びたらよいのか、誰にも先は見通せません。

ただ、停戦前については文字通りの「飢饉」だった一方で、停戦後は様々な物資支援、食料や衣服、毛布などが届くようにはなっているため、停戦前と比べると身の安全が確保されるようになったと感じています。

テーマ③:深刻な人道危機が続く中で、先日アクセプトが開催したガザでの対話会合は率直にどうだったか?

ネビーン:
先日の会合に集まった若者たちの目をみて、やはり対話は非常に重要だと確信しました。対話の中で、この2年にわたる戦争で失われていた希望を、彼らの目に見たのです。

アクセプトは、ガザの若者たちがパレスチナの外にいる政党関係者と対話する機会をつくっています。こうした対話を重ねる中で、若者たちは「自分たちが意思決定の主体となり、パレスチナの新しい未来を自ら築いていける」という確かな手応えを得ています。

「あなたの声は重要だ。何よりもあなた自身がかけがえのない存在であり、あなたこそがパレスチナの未来をつくっていく」。こうしたメッセージが、対話を通じて若者たちにしっかりと届いていると感じます。

ガザの人々は、対話の場に参加する強い熱意を持っています。そして私自身も、対話を通して大きな希望を抱くことができています。

永井:
非常に力強いメッセージをありがとう。彼らの熱意を私たちは真摯に受け止め、さらなる対話の場を構築していきたいですね。

~質疑応答~

以上の対話を踏まえ、参加者からの質問にお答えする時間もつくることができました。以下ではその内容をいくつかご紹介します。

質問①:ガザにいる人々のメンタルケアはどのようにされているのでしょうか?

ネビーン:
ガザにいるすべての人々がメンタルケアを必要としているのは確かです。対処の方法は人それぞれで、大きな声を上げて対処する人もいれば、じっと静かに耐える人もいます。私を含め多くの人がメンタルケアのプログラムに参加してトラウマに対処する術を模索していますが、究極的にはこの恐怖と苦境に”慣れる”しか方法がないとも感じています。

永井:
私もソマリアなどの紛争地で偵察のためのドローンの音を聞くと心拍数が上がったりしますが、ガザにいる人々は四六時中その音を聞いているのかと思うと、想像を絶します。最近はアメリカの精神科医の方と相談して、オンラインでガザの人々のメンタルケアができないかという話もしているところです。

質問②:ガザの人々の実際の状況を知りたいです。とくに前線となっている北部とそれ以外の地域では状況が異なるのでしょうか?援助がどれほど届いているのかも気になります。

ネビーン:
停戦後は援助は毎日届くようになりました。停戦前は人々は文字通り飢餓に陥っていましたが、アクセプトをはじめとするNGOの尽力もあり、ガザの人々に“肉がつき始めた”ように感じています。とても良い変化です。

地域ごとの状況も確かに違いがあります。イエローラインに近い地区は今も継続的に爆撃や銃撃が続いていますが、ガザ市やディル=アル・バラフ市、ハン・ユニス市内に住んでいる人々はそこと比べると比較的安全な生活を送れています。しかし建物や道路、インフラのすべてが破壊されているため、原始的な生活に戻っているような形です。

質問③:ガザで避難生活を送っている人々が、日常の中で些細な幸せを感じることはありますか?

ネビーン:
2年にも及ぶ戦争の中で“生き残った”ということがまず何よりも幸せに感じます。また、私を含め子どもを失わなかった人は、子どもたちが生き残っているということが幸せです。そしてたった一つでも破壊されなかった部屋が家に残っていれば、それだけで幸せです。

また停戦合意がなされたという事実にも幸せを感じています。他にも、ガザ北部から南部などの「移動の自由」があること、食べ物を食べられること、物価はとても高いですが市場で物を買えること、車に乗れること、自分の目で海を見られることなど、少しの間でも戦争のトラウマを忘れ、日常のかけらを感じることのできる瞬間が幸せです。

質問④:降雨もあると聞きますが、実際にガザの人々はどのように生活されているのでしょうか?ニュースではその辺りが見えないので教えていただきたいです。

ネビーン:
給水トラックが人々に毎日飲み水を配給していますが、依然として綺麗な飲み水は不足しているといえます。食べ物も非常に高価なため、人々は食料を手に入れるのにも苦労しています。そのため多くの人々が、無料で食料を配給しているコミュニティーキッチン(炊き出し)に頼っています。

冬のテント生活も非常に厳しいものです。ガザの人口の半分近くがいまだテント生活を強いられていますが、雨風によりテントはとばされてしまいます。運よくテントを失わなかったとしても、雨が降っている間はテント内に水が流れ込んでくるので、人々は椅子の上に寝たり、立ち続けてしのぐしかないのです。テントではなく破壊されなかった家に住む人々もいますが、窓などがない状態のため同じ状況にあるといえます。

しかし、それでも人々は今生き残っていることに幸せを感じているのです。状況は依然として厳しいですが、それでも停戦により爆撃が止み、移動できる範囲が少しずつ広がっているという事実が私たちにとっては何よりも重要です。

永井:
私たちもまさに給水トラックを使用して水の配給を行っており、必ず継続して行っていく必要があります。またネビーンも強調してくれたように、キャンプ内の人々からは「寒さが非常に厳しい」という話をよく聞きます。先日も子どもが2人凍死してしまったというニュースもありましたが、水支援に加えて寒さからガザの人々を守るための支援も行っていく必要があります。

質問⑤:アクセプトは第一線で活動しているため、寄付は必ず現地に届くと思っています。今回の寄付の使い方についても改めて少しだけ説明してもらってもいいですか?比較的直接的に、かつ意義が高い所に使ってもらえると思っています。

ネビーン:
まず、私たちの置かれている状況に関心を寄せ、この場に集まってくださっていることに心から感謝を申し上げます。皆さんからのご寄付は、たとえ少額であっても、ガザの人々が生きていくための大きな支えになります。一つひとつのご支援が、どれほど貴重でありがたいものであるかを、私たちは日々実感しています。そして皆さんのご支援は今ガザで最も厳しい状況にあり、最も支援を必要としている人々の手に届いています。

具体的には、水や食料の支援は本当に欠かせません。加えて、暖かい服や毛布を今とても必要としています。人々が寒さをしのぐためには毛布は何枚あってもいいんです。

繰り返しにはなりますが、皆さまから届くご支援の一つ一つが、私たちが生き延びていく上で非常に重要で、とてもありがたいものです。

永井:
補足ですが、今まさに私たちは緊急で毛布の支援をガザに届けようとしているところです。まずはこうしたところに皆さまからのご寄付を使わせていただこうと考えています。

質問⑥:パレスチナの真の平和は武力では達成できず、対話と相互理解によってイスラエル人と共存するしかないと考えますが、イスラエルとの対話を行う気持ちはありますか?

ネビーン:
この質問に答えるのは非常に難しいですが、イスラエル側との間で和平に向けた対話を実現する方法はきっとどこかにあると信じています。また、私は彼らとの対話を通じて「イスラエルの若者とパレスチナの若者は実はそこまで変わらないのではないか」と思えるようになるはずです。私たちが目指しているのは彼らとの和解、そして共存の道なのです。

永井:
アクセプトとしても彼らとの対話を今後も行なっていきますし、ガザ以外の地域にいる若手リーダーたちも同じ意見です。そのための準備を色々と進めていきましょう。

質問⑦:私達のできることを教えてほしい。ガザの情報はほとんどマスコミには出てこない。知るべき情報としてどこのマスメディアが信ぴょう性があり妥当なのかを知りたい。

ネビーン:
私は日本の人々は、信頼に足る情報を見つけて、もっとガザの状況について学ぶことができると思います。何か特定のメディアを挙げることはできませんが、色々なメディアから情報を得るのがよいと思います。また、一つ言えるのは真実とは常に様々な立場の人々の思惑によって歪められるものだということです。だからこそ、現地の人々の声にできる限り耳を傾けてほしいのです。彼らは常に真実を語ってくれます。

そして繰り返しですが、皆さまからのご寄付は、この2年にわたる戦争で大きな被害を受けたガザの人々が、再び前に進んでいくための大きな力になります。

質問⑧:高校生でもできることはあるでしょうか。紛争も含めた社会問題・国際問題に関心の薄い人が多いと学校にいると実感します。だからこそもっとアクセプトや紛争のことを知ってほしいと思っています。

ネビーン:
私が高校生の頃は自分のことを考えるので精一杯で、世界で起きている問題のことなど考えてもいませんでした。もしあなたが高校生でありながら、私たちが置かれている状況に関心を持ってくれているのなら、日本の高校生とガザの高校生、若い世代同士でグループディスカッションをする機会を設けてみるというのはどうでしょうか?とても素敵な場になると思います。

永井:
様々な問題はありますが、若い世代同士だからこそ、これからどのような未来を創っていくのかを共に話し合うことができると思います。

最後に、今日はたくさんのご質問をいただき改めてありがとうございました。皆様がこうして関心を寄せてくださることが、パレスチナの人々にとっても大きな支えになっていると感じます。全てのご質問にはお答えできなかったため、またこのような機会をさらにつくっていければと考えています。

最後に一言

ネビーン:
まず、こうしてこの場で話す機会をいただけたことにとても感謝しています。また、アクセプト・インターナショナルのメンバーの一人として、こうした活動に携われていることをとても嬉しく思います。

皆さんからのご支援はガザの人々が戦禍から回復し、日常に戻っていくための大きな支えとなります。どのような形の支援であっても私たちにとっては非常にありがたいものです。

そして私は今後もこのような機会に積極的に参加していくつもりです。改めて、今日は私の声に耳を傾けてくださって本当にありがとうございました。

苦境から立ち上がろうとするガザの人々と共に

今まさにガザにいる当事者の声に耳を傾け、日々の報道ではなかなか知ることのできないリアルを参加者の皆さまにお伝えすることができました。

また、当日は170名近い方々にリアルタイムでご参加いただき、登壇者のネビーンにとっても日本の支援者の皆さまの存在を近くに感じることのできる機会となりました。今後も日本の皆さまにガザの現状、そしてガザの人々の声を直接お届けできる場を提供していく所存です。

イベントでネビーンが語っていたように、冬の寒さと度重なる雨がガザの人々の生活をさらに過酷な状況へと追い込んでいます。今ガザの人々が最も必要としている支援を一刻も早く現場に届けつつ、彼らと共にパレスチナ和平への動きを加速させるため、以下のボタンより皆さまのお力添えを賜れましたら幸いです。

※ふるさと納税でのご寄付はこちらからお手続きください:https://accept-int.org/join/furusato/

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