いつも大変お世話になっております。ソマリア緊急支援チームです。
昨年度は皆様の多大なるご支援により、ソマリア中部の国内避難民キャンプに、食糧、水、医薬品などを届けるとともに、暴力の連鎖を止める緊急支援プロジェクトを計2万人以上の方々に届けることができました。改めて厚く御礼申し上げます。
本日はプロジェクトの進捗報告とソマリア大干ばつの近況をお伝えします。
まずこの度、1万円以上のご寄付をいただいた皆様(希望者のみ)へのリターンとしてプロジェクト記念碑が完成いたしました。これから緊急支援の拠点である投降兵リハビリセンターに設置する予定です。
一足先に、完成した記念碑の写真を現場に送ったところ、これほど多くの方からご支援いただいたことに驚きと感謝の声が届きました。お一人お一人からのご支援で成り立っていることを伝えていくことで、現場の関係者の士気も高まることを実感しています。
国内避難民キャンプで暮らす人々への生活支援
引き続き展開している緊急支援プロジェクトは、栄養状態を改善するための食糧の提供、水の配給、医療スタッフによる診断、医薬品・栄養剤の処方、などに加え、緊急下において危機に晒されている教育支援も新たに実施しています。
干ばつだけでなく、長期化・激化している紛争などの影響で、中部ソマリアでは40万人ほどの子供や若者たちが教育を受けることができていません。また、多くの国内避難民などの流入により、子供の教育へのアクセスや保護の問題は深刻化しています。
そこで、国内避難民キャンプからも子供や若者が通学しやすいにも関わらず破損などで整備が行き届いていない小学校などに対し、床や照明などの設備の修繕や、机・椅子・黒板の支給を行っています。今後、国内避難民を含む地域の子どもや若者への基礎教育支援や職業訓練を提供していく予定です。
投降兵リハビリセンタ―
また、本プロジェクトの2本目の柱として実施してきた「若者が暴力に頼らずに生きていく支援の強化」については、投降兵リハビリ施設の運営が軌道に乗っています。
本センターでは運営開始から1年間で25名の投降兵を受け入れていますが、現在、順番待ちをしている投降兵も多くいます。以前にも増して、本センターに収容できる人数を増やし、受け入れ態勢を強化する資金確保の必要性がより一層高まってきています。
また、昨年12月には初の卒業生を2名送り出しました。親戚も出席した式では、記念としてレモンの植林を行うなど、彼らの再出発を後押しする象徴的な一日となりました。
ソマリア中央政府の担当者が本施設を視察した際には、提供されているプログラム、特にプロファイリングシートと職業訓練に高い評価をいただいております。
先日も、投降兵リハビリ施設にて基礎教育、ケアカウンセリング、イスラーム教の再教育ゼミ、職業訓練などの12か月のリハビリプログラムを終えて卒業した若者たちが、社会に戻り暴力に頼らずに新たな人生の一歩を踏み出しました。
多くの投降兵はテロ組織アル・シャバーブの支配地域から逃げてくるため、センターまでの移送には安全面での深刻なリスクが伴います。
そのなかで真に必要とされる取り組みを継続できているのは、使途が限定される助成金ではなく、皆様からの温かなご寄付をもとに活動しているからに他なりません。重ねて御礼申し上げます。
国連による最新の報告書
しかし、大干ばつの影響は現在も深刻です。3月25日に発表されたソマリア政府と国連機関の共同研究報告書によれば、2022年の大干ばつによる死者数は少なくとも4万3千人に上ります。
加えて、今年6月までの食糧危機による死者数は1日あたり135人に届き、1万8千人から3万4千人の新たな死者が出るとも予想されています。
これを受け、国連による新規の人道支援基金が設立されていますが、加盟国にとって外交的な優先度の低いソマリアへの支援金は集まりにくく、必要な金額のうち15%以下の資金しか集まっていない状況です。
最後に
このように一連の大干ばつの影響が長期化しているからこそ、包括的で継続的な取り組みが求められています。本記事をご覧いただいている皆様におかれましては、ネクストゴールの4,000万円の達成に向けて、ご支援をご検討いただけますと幸甚です。