今回はフーシ派として活動した後、組織を離脱した一人の若者のエピソードを紹介します。
ハキーム(仮名)は、13歳の時に、兄弟や近所の人と共にフーシ派に参加させられました。彼らはフーシ派によって武器で脅され、抵抗したり、断ることはできなかったと言います。
彼らが強制的に受けさせられた、宗教教育と軍事訓練では「イスラーム教徒の宗教的な義務だから、戦闘に参加しなければならない。君たちは特別なのだ」といった考えを押し付けられました。
そして、ハキームは前線へ派遣されましたが、その途中で奇跡的に車から降りて逃げ出すことができ、隠し持っていたわずかなお金で電話をして何とか家族と再会することができました。
その後、家族と共に逃げてきた街で、私たちが提供する脱過激化・社会復帰プログラムに参加し、新たな人生に向けて準備をしてきました。8月12日に放送されたTBS系「報道特集」では、彼自身の過去の経験を語っています。
*TBS系「報道特集」はこちらからご覧いただけます。なお左がハキーム。
ハキームは幸いにも、戦闘を経験することなく逃げ出すことができましたが、彼と同じように強制的にフーシ派に加入させられ、実際に前線での戦闘を強いられている若者が多くいます。
彼らは負傷したり、戦争捕虜として捕らえられ、釈放の見込みもない収容所での生活を強いられています。長引く収容生活の中で、その多くは将来への希望を見出せていません。
世界最悪の人道危機と言われる状況下で、彼らのような存在はなかなか注目されるものではありません。そんな紛争の最前線で取り残された人々だからこそ、私たちは彼らに手を差し伸べ、支援を行います。
また、私たちがこれまで脱過激化と社会復帰の取り組みを行ってきた、戦争捕虜の若者たちも「エンジニアになりたい」「電気整備士になりたい」など、彼ら自身の目標や夢を語りはじめています。彼らも一人の人間であり、イエメンの未来を創るのに欠かすことのできない若者なのです。
戦闘員としての生き方を強いられてしまったイエメンの若者たちが、1日でも早く武器を捨て、イエメンの平和を担う一人となれるよう、どうか皆様のお力をお貸しください。
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